古いブログに書いた記事です:
===20180615===
ジャズベーシスト&作曲家&人気音楽ユーチューバ―のアダム・ニーリーさんのかなり前の動画に、「どうしてクラシック音楽のミュージシャンはリズム感が「違う」のか?」というエピソードがあります。クラシック音楽のリズム感の「違い」の原因について考察していて、とても興味深く見ました。
(「リズム音痴(おんち)」といわずに、「リズム感が「違う」」と表現したところが、すべての音楽を分け隔てなく考える(と私は思う)二―リーさんらしいな、と思います。)
一方、教授が「クラシック音楽の出身なので、リズム楽器にコンプレックスがある」という趣旨のことをどこかで言っていた記憶があります。
上記にまったく及びませんが、ピアノすらロクにできない私でも、いっちょまえに、リズム感に大きな劣等感を持っていて、ドラムに非常にあこがれます。私が好きなドラマーは:
Ben Riley: モンク大師のカルテットの後期のドラマー。昨年お亡くなりになったそうです。ご冥福をお祈りします。(前期のドラマーのダンロップさんのドラムもカッコイイですが、私はライリーさんの控えめで軽やかなドラムが好きです)
Jason Marsalis: マルサリス兄弟の末弟。マーカス・ロバーツトリオのリズムの要(かなめ)。ベルリンフィル(小澤征爾)と共演して、完璧なリズム感と、ドラムという楽器の魅力を余すところなく披露。
Gerald Cleaver : クレイグ・テイボーンさんの盟友。デトロイトジャズの系譜を受け継ぐ。ジャズのあらゆる分野に完璧に対応。NYのインプロブ音楽シーンで最も忙しいドラマーといわれる。
Tomas Fujiwara : トミカ・リードさんのカルテッドをはじめ、先進的ジャズの分野での確かな仕事。クリーヴァーさん()に続く、今後有望なドラマーと直感した。
Eric Harland: 若いうちからその実力を認められてマッコイ・タイナーやデイブ・ホランドなど大御所たちのバンドで活躍。タイトかつ勢いのある演奏がカッコイイ。
神保 彰(じんぼ あきら): 言わずとしれたカシオペア。ドラム演奏時の座った姿勢が雄弁に物語るその実力。
高橋 幸宏(たかはし ゆきひろ): 説明不要! 健康にだけは気をつけて末長く活躍してください!
Ian Paice: ディープ・パープル。大御所にしてなお燃え続ける疾走感。
Rick Allen: デフレパード。私が中野サンプラザで見たコンサートの時は、まだ両腕のドラマーでした。今は、実質的に腕3本以上の演奏ぶり&存在感。生身の身体能力だけで楽器演奏の上手下手を語る人は、彼の演奏を見て目を覚ますべきだ。音楽の真髄はもっと深く大きいところにあることを証明し続けている。また、人間が機械を活用して得られる大きな可能性も示してくれている(これについて異論を言う人がいたら、「だったら、蒸気機関発明以前の楽器だけ弾いててください」と言いたい。ていうか、どんな楽器も、今の時代に100パーセント手作りのほうが希少)。
他にもいますが長くなるので以上です。 もっとも、「そりゃそうだろ!」っていうスゴイ方ばかりだと思います。
私はかつては、「ドラムはただのウルサイ楽器」としか思っていませんでした。ところが、もう10年以上前になりますが、西直樹さんのトリオのライブで、ドラムの人が、まるで海にいるタコのように見えてから、自分の文化度の低さ、野蛮さを痛感したのでした。そのドラマーの人は、腕が8本とはいかないまでも、なんだかたくさんあるように見えて、しかも、タコの足のように柔らか~い腕さばきで、とても音がきれいだったのでした。そのとき私は、本当に上手いドラマーの演奏は、とても美しい音がするんだ、つまり、ドラムを美しく演奏することがいかに難しいかということを感じたのでした。以来、「ドラムはウルサイ楽器だ」と言う人を見ると、運が悪いことに本当に上手いドラマーの演奏を聞いたことがない人なんだ、と思っています。また、リズム楽器を「野蛮な楽器」よろしく軽視する人は、音楽という芸術の半分しか楽しめていない、耳が1コしかないんだなぁ、もったいないことだなぁ、と思っています。
(鍵盤楽器はバロック音楽はリズムセクションを一手に担当する楽器だったと思います。ジャズのビッグバンドでも、ピアノはドラムやベースと一緒にリズムセクションを担当して、花形のホーンセクションを盛り立てる役どころです。)
もとの記事:
https://ameblo.jp/tokyotoad/entry-12383718389.html?frm=theme
tokyotoad