ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ一人遊びの日々

ドラムとオーケストラの共演

 

古いブログに書いた記事です:

 

===20180624===

前回の記事で書いた、好きなドラマーに関連して、

 

Jason Marsalisさん(Marcus Roberts Trio)と、Ian Paiceさん(Deep Purple)がオーケストラと共演した動画を見て、ドラムは、少人数のトリオやバンドと、大所帯でリズム感も違うオーケストラをつないで音楽を成り立たせる、扇の要(かなめ)の存在だなぁと感じました。

前回の記事はこちら

 

◆Jason Marsalisさん(Marcus Roberts Trioとベルリン・フィル(小澤征爾)の共演):

Gershwin PIANO CONCERTO in FA Marcus Roberts Trio, Ozawa, Berliner Phil

小澤征爾さんの人脈によって、唯一無二の顔合わせが実現したんだなぁと感動します。マルサリスさんが、ドラムという楽器の魅力を余すところなく披露しつつ、オケとトリオのリズムをキッチリつなぎ、また、リズム感を微妙にずらしているところもありそうで、そこが得も言えぬグルーヴ感になっている気がする。またノリノリで合わせてくるベルリン・フィルもサスガだなぁと思いました。ジャズのルーツを色濃く感じさせるロバーツさんのピアノソロも、白いジャズに楔(くさび)を打ち込むかのように、「ジャズの本家は我々である」と言わんばかりに、魂を強烈に揺さぶります(ロバーツさんの洗練された超絶技巧をあえて出さずに、意図的にそのような演奏にしたんでしょう)。日本人の指揮によるドイツの楽団が、ジャズの影響を受けたユダヤアメリカ人の作曲家の大作を、ジャズ発祥の地域出身のトリオと共演するという、音楽という形で地上に理想郷が出現したひと時だったんなぁと感じます。3rd movementの最後で、小澤さんがマルサリスさんとオケのリズムセクションの双方に対して、目と指さしで何度もタイミングを合わせる動きをしているのが印象的でした。曲の最後の最後でキメで打楽器が合わなかったら大惨事だもんね、打楽器の責任の重さが感じられるシーンでした。

 

◆Ian Paiceさん(Deep PurpleのキーボードJon Lordさんのトリビュートコンサート):

オーケストラをバックに歴代のメンバーによるBurn 

こちらは、Deep Purpleの名曲「Burn」を歴代のバンドメンバーが演奏するバックにオーケストラが入るという、バンド主導の演奏ですが、ドラムのペイスさんは背中に重たくて動きの鈍い巨大な生き物を感じながらの演奏だったんじゃないかなぁと思いました。スポーツカーと大型タンクローリーの加速や足回りが全然違うように、少人数だけどPAでターボチャージした音でスピードやドライブ感を出しやすいロックバンドとちがって、大人数のオーケストラは初動もトップスピードへの加速も遅いので、ペイスさんの重量感とスピード感を兼ね備えたビートが、全体を力強く引っ張って、その結果、大盛り上がりの演奏になったんだなぁと思いました。最後のトゥッティが、バンドからかなり遅れて入ったのは、オケとバンドのリズム感の違いから、同時にやるとバシッと決まらないので、バンドが決めてから、オケは後から入ってバンドの倍音に徹したのかもなぁ、と感じました。また、クラシック音楽もハードロックも、同じ民族から生まれたので、ハーモニーやリズム感は基本的に同じだから、共演して合わないはずがありません。

 

マーカス・ロバーツトリオも、ディープ・パープルも、今年の秋に日本で公演があるみたいです。

 

もとの記事:

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