おんがくの彼岸(ひがん)

大人の独学ピアニストtokyotoadのブログ

ピアノで左手が動かないのは「右利き動作」が原因

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ピアノで左手の指が動かないのは、

その人が右利きだからだと思います。

 

「そんなこと、当たり前だ!」

そうですね。 でも、本当にそれだけでしょうか?

「当たり前」なら、どうして、左手の指練習をしても、ほとんどの人が上手くいかないんでしょうか?

「それはあなたの練習不足! 左手の指練習をもっともっとしましょうね!」

それもそうでしょうが、それだけでは、

「右利きであること」が一体どういうことなのか?

という、具体的な原因に光を当てていないと、私は思います。

 

右利きの人は、生まれてから今まで、右手を主に使って生きてきました。

日常生活のなかで、右手はいつも、メインの主役の動きをしてきました:

ものをつかむ、お箸を持つ、鉛筆を握る、フタを開ける、ハサミを持つ...。すべて右手の仕事です。

これに対して、左手は、日常生活のなかで、右手の動きを支える、裏方の動きをしてきました。 

 

右利きの人は: 右手=主役の動き、左手=裏方の動き

になっています。

日常生活において、右手(主役)と左手(裏方)の動く向きが全く違うことが、根本的な問題です。 

右利きの人が、

ミカンがひとつ置かれたお盆を持って、

そのミカンをつかんでテーブルに置くとき、とくに意識をしなければ、

ミカンをつかむのは右手。お盆を支えるのは左手になります。

そのとき、ミカンをつかんだ瞬間の右手は、手の甲が上になって、親指は左側にあるはずです。 そして、右腕の手首も前腕も、手の甲と同じ側が上になっています。

これに対して、お盆を支える左手は、手のひらが見えていて、左の手首も前腕も、手のひらと同じ側が見えているはずです。 脈をとるときに触る手首の静脈や、肘(ひじ)の内側が、見えているはずです。

ミカンもお盆も置いて、両手に何も持たないで、いまの動きを再現すると、

右腕は、右から左に向きに回転して、手の甲が上になって、親指の爪側が左を向く。

左腕は、右から左に向きに回転して、手のひらが上になって、腹を見せた親指は左側を向く。

右利きの人がバスケットボールでシュートをするときに、 頭の上でボールを持って投げる直前の両手の向きと同じになります。 固形石けんを両手のひらで泡立てるときや、おむすびをむすぶときも、そうなります。 

つまり、右手の動きに対応して、左手は右手の受け皿となる向きに動く。 

だから、左手は手のひらを上に向けるのです。

これが、右利きの人の日常生活の動作です。

「右利きの生活の動作」。つまり「右利き動作」です。

「右利き動作」は私が作った造語です)

 

これが、ピアノで左手が動かない原因です。

右利きの人がピアノで左手を動かしづらいのは、

左手が、右手の受け皿になろうと、いつも手のひらを上に向けたがっているからです。

ところが、ピアノを弾くためには、左に回転して上を向こうとする左手を、右に回して下を向けて鍵盤をたたかなければなりません。

でも、上を向くクセがついてしまった左手の、とくに親指は、上方向にそっくりかえりたくてしょうがない。

だから、左手の指くぐりが上手にできなくて、「左手の親指が固い」と言われるのです。

 

これが認識できていない状態で「左手の指練習をもっとしましょうね」だけでは、何年、何十年たっても、ぶっちゃけ死んでも、左手は動くようにはなりません。

なぜなら、左手が左に回転して上を向のは、長年の「右利き動作」によって身体が捻じれて、体重が左斜め前方にかかっているからです。

いつも、上半身の重みが数十キロも、のしかかっているから、上を向くクセがついた左手は動かないし、左の親指は曲がってくれないし、左の小指が崩れるし、左手の音が右手より大きくなってしまうのです。

 

右利きの人は、生まれてからずっと、人によっては何十年も、「右利き動作」で生きてきたので、この「右利き動作」が骨の髄まで染み込んでいます。

「右利き動作」の最たる例が、右投げのピッチャーのオーバースロー投球の動作ですが、右利きの人は、起きてから寝るまで、野球のピッチングよりももっと微細で、数え切れないほどの回転運動を右の肩~肘~手首~指にかけて、一年365日続けています。

それが、何年、何十年と積み重なるうちに、「右利き動作」がしやすいように、身体の回転軸が背骨から左側に外れていき、身体の軸が捻じれ、上半身の体重が左半身にかかるようになります(とくに、頭の重みが大きく影響している)。

その結果が、背中の左側の鈍痛であり、左の股関節・膝・足首の痛みや、左の五十肩です。

背中の左側の腰や肩甲骨の内側が凝るのは、凝っている場所が、「右利き動作」の回転運動の支点になってしまっているからです。

一方で、「右利き動作」の支配を常に受け続ける左腕は、胸鎖関節~左の肩関節~左肘~左手首~左手の各指の指先まで、すべての関節が、身体の左外側に捻じれていって、ついには固まってしまいます。 それで、左手の手のひらが上を向くようになるのです。

だから、この問題に対処しなければ、ピアノで左手が動かない問題は、未来永劫なくならないでしょう。

というのが、子どもの頃からピアノで左手が動かしづらく、大人になってピアノを再開してから、動かない左手をなんとかしようと3年以上試行錯誤してきた私が悟った結論です。

左手が動かない人で、

 ①身体が固い(股関節が固い人は全身が固まっている)

 ②身体が捻じれて歪んでいる(左の股関節や膝や足首が痛い、など)

という人は、まずは、身体をほぐして、身体の捻じれを取っていくと良いと思います。 ①+②で身体が捻じれて固まっている人が多いと思います。 全身がほぐれて柔軟になってくると、身体の捻じれが取れていき、それに伴って左手が動かしやすくなってくると思います。

全身が捻じれて固まっている状態で、左手だけ動くようには、絶対にならないと思います。

 

「わかった! 全身の捻じれを取ればいいんだ! じゃあ、どうすればいいの?」

残念ながら、そのためのお手軽なライフハックはありません。

身体が固まっていた私の場合は、左手が上半身の体重の負荷から解放されて、なんとか自由に動くようになるまで、身体ほぐし(各種ボディーワーク)の試行錯誤を3年間続けました。 身体操作やボディーワークの本を読んだり、ネットで情報を探したり、ボディーワークのセッションに参加したり、テレビや動画や写真や絵画の人物の動きや姿勢や、道行く人たちの動作を観察して、自分の頭で考えながら。 そして今も、試行錯誤を続けています。

同時に有能な整体師やボディーワークの専門家に通いながらだったら、もっと早く効果が出たかもしれません。

 

ふだん生活しているだけで、身体は常に捻じれてくるので、なにはなくとも自分の健康のために、身体ほぐしをずっと続けていこうと思います。 武道やボディーワークの一流の専門家は、身体操作の試行錯誤を、一生涯、生きている限り続けています。 だから私も、生きている限り続けていこうと思います。

 

「左手が動かないのは右利きだから ⇒ だから左手の指練習」というプロセスに欠けているのは、「脳を使って考える」行為です。 脳で考えないでいくら必死に一生懸命努力しても、投下した時間&金銭コスト(つまり人生)の無駄です。(このような状態を「努力好きの怠け者」と形容した勝間和代さんはウマイ!)。 

 

2015年ごろにピアノを再開してから、ピアノのメカニカルな演奏技術について自分で試行錯誤を続けてきましたが、ピアノで左手が動かない理由について、この記事に書いた内容に言及する情報が、ネット上に見当たらなかったので、かつての私のように悩んでいる人がいるかもしれないと思って、書きました。

この問題をずっと認識せずにピアノを教えてきたピアノの先生たちは一体どこを見ていたのか?と言いたくもなりますが、ネットを見る限り、クラシックバレエでもスポーツでも、身体の捻じれによる歪みを認識して教えている先生は大変少ないようです。 これが、お稽古事の実情です(が、プロのクラシックピアニストでもこの問題を認識している人は少ないと思いますし、認識していたとしても、プロの演奏家だからこそ、身体操作の奥義について黙っているんだと思います)。

この問題に対処できるのは、武道や整体やヨガや各種ボディーワークの、有能な専門家だけのようです。

もっとも、最終的に、この問題に対処できる人間は、自分だけです。

 

 

===以下は、記事【ピアノで「指が回らない」人の特徴】から移動しました:====

よく「ピアノで左手が動かない」という人が多いと思いますが、ほとんどの場合が:

左手が動かしづらいのは、【普段の生活で右手ばかり使っている⇒身体が捻じれる⇒身体の重心が偏(かたよ)る⇒骨格がひしゃげる(ゆがむ)⇒左腕から左の指先までの骨のアラインメントがゆがむ】ことが、本質的で最大の原因だと思います。 だから、右手のように左手を動かすことが、難しくなる。 この本質的な原因を直さないで左手の練習をしても、効果は限られると思います。

しかしながら、この原因に言及しているピアノ関係のサイトは、現在の時点で皆無です。 だから、ピアノのレッスンで左手が動かない問題が何十年も(いや、お稽古事の素人ピアニズムが始まってから、かれこれ150年以上)ずっと続いているんだと思います。 ピアノの演奏は身体を使って行う身体運動で、とくに、作曲/編曲や即興演奏が含まれない、楽譜どおりに弾く練習は、スポーツと言っても良いはずなのに、ピアノ演奏のスポーツ的な側面がほとんど対処されてこなかったのは、どうしてなのか?

今この瞬間も、「左手が動かない!」と悲壮にハノンを練習する人たちが後を絶たない。 多くのピアノのサイトの内容が「左手が動かない⇒左手の練習をもっとしましょう」で以上終了!なのは、これらは、理想的な身体と運動能力を持っている人を想定して書いているからです(書いた人がそれを意識している/いないに関わらず)。 よく、「これさえやれば肩こり解消!一日3分間だけのストレッチ!」みたいなのがありますが、それでも肩こりの人が一向に減らないのと、まったく同じことです。 理想的な身体と運動能力を持っている人は一流のプロぐらいで、ほとんどの一般人は、長年の生活によって身体が捻じれて骨格が歪み、加えて、ピアノを弾くために身体を整え鍛えることもしない。 大元の問題に対処していない限り、いつになっても「左手が動かない」問題は無くならないでしょう。
 

私も、ピアノで「指が回らない」子どもでした。

とくに、左手の指が回りませんでした。 前述したように、これは、右利きの人間は、ふつうに生活しているだけで、左半身が固まっていくためだと実感しています。 実生活で右腕ばかり動かすうちに、左半身が支軸になって固まってしまうと同時に、左腕は右腕を補助する「裏方の」動きに特化していってしまう。 こうして身体の左右差が大きくなっていくと、身体がねじれ、よじれ、曲がって歪んでしまう。 これが、身体を動かすスポーツやダンスや楽器演奏の動作にネガティブに働く。 身体の左右差を少なくしようと、いろいろ試行錯誤をしていますが、左右差を無くすのは至難の業だと感じます。 「右利き」に有利に出来ているこの世で生きている限り、とくに右利きの人にとっては、身体の左右差はなくならないと思います(つまり、右利きに有利に出来ている世の中は、実は、左利きの人に有利なのです)。

(何年か前に、右投げのダルビッシュ投手が「左で投げてもかなりの球速でストライク球を投げられる」という内容を語っていたのを、何かの記事で読んだ時、身体の左右差を最小化する取り組みなのかもしれない、と思いました。  前田健太投手のマエケン体操も、左右差を認識して修正する意味合いもあるのではないか、と勘ぐっています)  

だから、右利きの人に「左手の指練習をもっと!」だけでは、その効果は限定的なものにとどまるでしょう。 身体の動きの左右差や、身体の捻じれや歪みという、大元(おおもと)の問題に対処していないからです。 これは、この記事を書いている時点で巷(ちまた)のほとんどのピアノ教師が認識していない問題で、武道や身体操作のプロが探求している領域です(だって、この問題についてピアノ教師のサイトやブログに書かれていることが皆無だから)。 だから、「ピアノ上級者」とか「プロ」のためのなんとかテクニークといった身体操作のレッスンが売れるわけです。 このようなレッスン商品がビジネスになる理由は、「ピアノ上級者」や「プロ」たち自身が「自分は演奏のための身体操作ができていない」と悩んでいるからです(音大まで出た人たちが身体操作のレッスンを受けている)。 あるいは、グールドのような演奏姿勢で弾くと良いかもしれません。グールドの演奏がそれを証明してますから。  

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