ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ一人遊びの日々

筒美京平氏の名曲10選

 

先日お亡くなりになった筒美京平氏の大ヒット曲のなかから、

個人的に強烈に覚えている超名曲10選です:

 

また逢う日まで(尾崎紀世彦, 1971)

 〽ふたりで~ドアをし~め~て~~~、って子どもの頃絶唱してました。 一時期ボランティアピアニストしてたときも、12月に弾いてました。

また逢う日まで」(尾崎紀世彦、作曲: 筒美京平) と、「喝采」(ちあきなおみ、作曲: 中村泰士) は、日本の年末を飾る2曲だ! 

 

②ブルー・ライト・ヨコハマ(いしだあゆみ, 1968)

 〽ブル~ライトォ~ヨコ~ハッマ~~~、ってこれも子どもの頃マネしまくってました。

 

サザエさん(宇野ゆう子, 1969)、

 サザエさん一家(宇野ゆう子, 1969)

 子どもの頃、この曲を聞くと、月曜日から学校に行くのが憂鬱になった。 誰しもそうだろう。 日本人の日曜日の夜の憂鬱感(サザエさん症候群)に大きく貢献した、音楽が強力な呪力を持ち得ることを思い知らされる、大変な名曲。 音楽の力ここに有り。 ウングッフッフッ!

 

④さらば恋人(堺正章, 1971)、

 お世話になりました(井上順, 1971)

 「さらば恋人」の♫ソラドラレ~レドレ~レドレ~、の歌い出しは今もくちずさめる。 〽お~せ~わ~に~なりました~ も。 両方ともメイジャーペンタトニックスケールだ。

 

⑤芽ばえ(麻丘めぐみ, 1972)、

 私の彼は左きき(麻丘めぐみ, 1973)

 個人的には、「芽ばえ」のサビの〽はなれな~いわ~~、はなれな~いわ~~、を絶唱してました。 2曲とも、メイジャーペンタトニックな曲調だ。

 

⑥男の子女の子(郷ひろみ, 1972)、

 よろしく哀愁(郷ひろみ, 1974)

 個人的にはヒデキ派でしたが、〽ヘィヘィヘィ(ヘィヘィヘィ)の掛け合いのコーラスの女性たちのやけに大人びた(っていうかオバサンっぽい)声が妙に気になっていました。 この曲も、メイジャーペンタトニックな曲調だ。

 

⑦赤い風船(浅田美代子, 1973)

 〽あのひとが~~ の「が~~」の、空の彼方へ外れていきそうな歌声が気になっていました。 風船だもんね。 この曲もメイジャーペンタトニックだ。

 

⑧恋のインディアン人形(リンリン・ランラン, 1974)

 これは、マイナーペンタトニックな歌も、歌ってる人たちも、とてもとても気になりました。  リンリン・ランランといえば、〽リンリン・ランランりゅうえん、リンリン・ランランりゅうえん、りゅうえん行って、しあわせ食べーよ!っていう中華料理屋のCMが当時テレビでよく流れていました。 

 

⑨二重唱(デュエット)(岩崎宏美, 1975)、

 ロマンス(岩崎宏美, 1975)

 歌がズバぬけて上手いアイドルで、大好きでした。 個人的には、はやる恋心を表現した「二重奏(デュエット)」のほうが好きですが、「ロマンス」の〽あなたお~ねが~いよ~、せきをた~たな~いで~ の「な~い」のメロディーが2コーラス目の最後で変わるのがとっても印象的で、そこばかりマネして歌ってました(作曲法のセオリーの直球使用)。 「ロマンス」のサビ部分はほぼマイナーペンタトニック。

 

⑩セクシー・バス・ストップ(浅野ゆう子, 1976)

 歌詞は忘れたけど、♫ミ~ソラド、ソラドラソミレド、レ~ドラレ、レミソミレミレ、ラド~...っていう、メイジャーペンタトニックの歌だったと思う。 当時たしか13,4歳だった浅野ゆう子さんの、やけに大人びた顔と、ホットパンツから伸びるとても長い脚を覚えています。 

 

⑪東京ららばい(中原理恵, 1977)、

 飛んでイスタンブール(庄野真代, 1977)、

 たそがれマイ・ラブ(大橋純子, 1978)

 この頃に、アイドルじゃない大人の女性歌手が相次いでヒットを飛ばしたが、そのすべてが筒美氏の作曲だったんだね。 〽ないものねだりの子守唄、も、〽飛んでイスターンブ~~ル~~、も、 〽わたしはいま~~ も、よくマネしてました。

 

⑫セクシャルバイオレットNo.1(桑名正博, 1979)

 たしか化粧品会社のアイシャドウのCMソングだったと思う。 桑名さんがワイルドに歌う 〽セクシァ~ル、ヴァィォレット、ナンブァ~ワァァァ~~ン!のメロディが印象的だ。

 

⑬E気持(沖田浩之, 1981)

 〽ABC!ABC!...い~きも~ち~、っていう、メイジャーペンタトニックなメロディーに合わせて、思春期の中高生が抱く、大人になることへの興味を、明るく表現した(親たちは顔をしかめた)曲。 たのきんトリオを追って金八先生からデビューした沖田さんのご冥福をお祈りします。アイドルの後は、いい役者さんでした。

 

センチメンタル・ジャーニー(松本伊代, 1981)

 〽伊代はまだ、じゅうろくだぁから~~(イ~ヨ~sixteen) のくだりを歌えない50代はいないだろう。

 

⑮ドラマティック・レイン(稲垣潤一, 1982)

 夏のクラクション(稲垣潤一, 1983)

 稲垣潤一さんの二大名曲も、筒美氏の作曲だったんだね。 

 

ヤマトナデシコ七変化(小泉今日子, 1984)、

 なんてったってアイドル(小泉今日子, 1985)

 デビュー後しばらくの間、聖子ちゃんと差別化できずに今ひとつだったキョンキョンは、雑誌ananに登場するなどドラスティックなイメチェンを図ったタイミングでの「ヤマトナデシコ...」の大ヒットによって、アイドルとして独自の立ち位置を確立した。 そして、「なんてったって...」でそれを不動のものにした、キョンキョンのランドマーク的な2曲。 両方ともペンタトニックスケールな曲。

 

Romanticが止まらない(C-C-B, 1984)

 トットットとまらないィッ! がキャッチーすぎる。 イントロもキャッチーだった。 バンドのみなさんの衣装も、ちょっと太めのドラムの人がメインボーカルをとるのも、キャッチーだった。 すべてがキャッチーだった。

 

⑱仮面舞踏会(少年隊, 1985)

 少年隊の歌の中で絶品なこの曲を、振り付けまで完コピしてカラオケで3人で歌う男性新入社員たちが続出した、バブル時代が懐かしい。

 

⑲野生の風(今井美樹, 1987)

 今井美樹がトレンディ女優&おしゃれ系シンガーとして大化けする前の、まだ素朴さが感じられる曲。 もともとは「ノンノ」か「More」かのモデルだったんじゃないかと思う。 この曲が入ったデビューアルバムを借りてカセットで聞いてました。 映画の主題歌になっていたと思う。

 

⑳抱きしめてTONIGHT(田原俊彦, 1988)

 ♫チャーチャーチャラッチャチャーチャー、チャーチャーチャラッチャチャーチャー...っていうイントロですでにつかまれる。 メイジャーキーとマイナーキーを行き来する、つい躍り出したくなるような曲。 トシちゃんが先生役のドラマの主題歌だったと思う。

 

10選どころか20選しかも20曲超になってしまいました。

昭和の最も輝いていた頃の活気を象徴する筒美氏の作品は日本の重要文化財。全部まとめて国宝だ。 ご冥福をお祈りいたします。

 

 日本人の心に馴染みやすいメロディーはペンタトニックスケールだ、ということが、よくわかる。 西洋音楽のマイナーペンタトニックスケールは、日本の民謡音階だ。 メイジャーペンタトニックは日本の呂音階。 上記20選には入れなかったが、筒美氏が作曲した「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)もそうだし、マッチや中山美穂に提供したヒット曲にも、ペンタトニックスケールの使用が見られる。「魅せられて」(ジュディ・オング)には、平調子スケールが感じられる。 

 

小泉文夫氏や小島美子氏の研究や主張も、戦後の昭和の歌謡曲に影響を与えていたのではなかろうか。 他の作曲家による大ヒット曲も、ペンタトニックスケールを使ったものが多い。 「喝采」(ちあきなおみ、作曲: 中村泰士)、「春一番」(キャンディーズ、作曲: 穂口雄右)、 「ペッパー警部」「SOS」(ピンクレディー、作曲: 都倉俊一)、 「Choo Choo Train」(Zoo, Exile、作曲: 中西圭三) 、Perfumeの曲(作曲: 中田ヤスタカ)など。 国外では「Japanese minor pentatonic scale」と俗に言われる平調子スケールは、演歌に多い。

 

「ペンタトニックスケールは音が5つしかないから、原始的で劣っている」という考え方は、とても原始的な考え方だ。 西洋音楽におけるペンタトニックスケールは、根源的なスケールだが、とくに、西洋音楽におけるメイジャーペンタトニックとマイナーペンタトニックスケールは、西洋クラシック音楽における「ファ」と「シ」の呪縛を受けていないからこその曖昧さがあり、曖昧なものには無限の複雑さがある。 ポップスやジャズ/フュージョンなどの20世紀の音楽は、西洋クラシック音楽における「ファ」と「シ」や、さらには、ツェルニーや古典&ロマン派の曲で嫌というほど弾かされる「ドミソ」和音や、主調と平行調で叩き込まれる「ミ(とbミ)」を避けることによって、浮遊感のある複雑なハーモニーを創り出している(クラシックピアノしかやってこなかった人がジャズをやるとクラシック訛りのハーモニーになってしまう原因が、ここらへんにある)。  


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