おんがくの彼岸(ひがん)

「出すぎた杭」の大人ピアノならではの自由と醍醐味(だいごみ)を楽しむtokyotoadのブログ

ピアノの「大人買い」番付 その②:「行司(ぎょうじ)」

 

前回の記事:

大人のピアノの購入形態番付 その①:「勧進元(かんじんもと)」 - おんがくの彼岸(ひがん)

では、「ピアノの大人買い」の形態において、

その存在と「大人買い」の規模があまりにも突き抜けすぎていて、

もはや番付にランキングする次元を天文学的に超越してしまった存在、

つまり、ある意味、

ピアノという一つの楽器にとどまらない、

一国の音楽文化産業の「神」の地位を欲しいままにした絶対的な人物を、

このピアノの「大人買い」番付ランキングの

「①勧進元(かんじんもと)=番付の主催者」として紹介した。

 

今回は、「①勧進元」には及ばないものの、

やっぱり存在が突き抜けすぎていて

ピアノの「大人買い」番付を上に突き破ってもはやランキング不可能な存在である

「②行司(ぎょうじ)」さんを紹介するよ!

行司さんも、横綱以下の力士たちの番付から上に外れた、審査員の立場だもんね。

 

その、「ピアノの大人買い番付ランキングの、

「②行司」さんは、........................................................................................................................................、

 

 

 

②「行司(ぎょうじ)」さんは:

 

 

........、

 

 

 

 

ジョン・ポールソンだっ!

 

 

 

 

はぁ?

ジョン・ポールソンって誰よ?

 

 

 

ジョン・ポールソンの名前を知らなくても、

 

 

彼の会社が所有するピアノメーカーの名前なら、

世のピアノ好きの誰もが知っている!

 

 

 

そう、

 

 

ジョン・ポールソンさんは、

 

 

世界3大ピアノの最強ブランド

 

スタインウェイ・アンド・サンズを擁する、

 

スタインウェイ・ミュージカル・インストゥルメンツ社を

所有する 

アメリカのヘッジファンド会社

ポールソン・アンド・カンパニーの社長だっ!

 

富裕層の大人ピアノ愛好者の夢というよりも直ちに実現可能な目標は:

スタインウェイのコンサートグランド買って、自宅の高級タワマン最上階の自宅の50畳のリビングに置いて、セレブな友人知人を招いてパーチーを開いて、セレブな知人ピアニストに弾いてもらおうかなっ ♪

 

なんて、チッコイ、チッコイ!

どうせ買うなら、

ピアノの会社を丸ごと買っちまえっ!

てことだ。

 

ただし、ポールソンさんが持っているのはピアノ楽器会社なので、

この「ピアノの大人買い」番付の

筆頭位①「勧進元(かんじんもと)」の川上源一翁には遠く及ばない。

なんせ、ヤマハ帝国を築き上げた川上源一翁は、

当時世界第2位の経済大国日本という、大国の音楽産業文化の全方向的支配者だったし、川上翁が没した後の日本にその影響は今も続いているからね。

ポールソンさんのヘッジファンド会社が、株式の保有を通じて

スタインウェイピアノとそのほかの管楽器や打楽器ブランドを傘下に持つ

スタインウェイ社をコントロール(支配)しているといっても、また、

ポールソンさんの会社のポートフォリオのなかに、

他の音楽系の企業の株式が入っていたとしても、

アメリカ全体の音楽産業文化を支配する規模ではないからね。

だから、ポールソンさんは、

川上源一翁の次点の「②行司(ぎょうじ)」さんにランクインなのだ!

 

とはいっても、すごいよね、ポールソンさんは、ピアノの最強ブランド「スタインウェイ」を擁するスタインウェイ社を丸ごと持っているんだから。 今年の4月、ポールソンさんのヘッジファンド会社がスタインウェイ社の株式の一部の再上場を計画しているという記事が、FTに載ったけど、株式公開によって持ち分は多少減るが、引き続き、スタインウェイ社の経営を意のままにできる、支配的な持ち分比率は持ち続けるんだって。

 

そのFT記事によると、ポールソンさんの生まれた家は、裕福とはいえなかったみたい。 子どもの頃、父親がポールソンさんのお姉ちゃん(か妹。←英語だとsisterだから、お姉ちゃんか妹か判断不能)に小型のグランドピアノを買ってあげたんだけど、それがスタインウェイじゃなかったので、ポールソンさんのお姉ちゃん(か妹)は泣いてしまったそうだ。 ポールソン少年は、スタインウェイのピアノに手が届かない家庭に生まれたことで、お金が無いことがどんなに惨(みじ)めなことかが骨身に染みたんだろう。 以来、ポールソン少年にとって、スタインウェイのピアノは、欲しいものを何でも買えるお金に困らない裕福な暮らしの、光り輝く象徴になったに違いない。 大人になったポールソンさんは、リーマンショック前にサブプライムローン逆張りしたのが大当たりして巨万の富を築いて、念願のスタインウェイのピアノを3台買った。 そして、アメリカで指折りの著名投資家に成り上がったポールソンさんは、ついに2013年にスタインウェイ社そのものを買っちゃったんだって。 子ども時代の惨(みじ)めで悔しい思いをバネに、とうとう、自分にとって豊かさの象徴である竪琴マークを、会社まるごと手に入れたポールソンさんの感慨は、どんなに大きかったことだろう。 

 

ところで、ポールソンさんは、スタインウェイピアノを、もはや高級ピアノという楽器とは考えてなくて、「世界的なラグジュアリーブランド」と見ているんだって。 だから、2010年~20年の間に、日本におけるスタインウェイピアノの販売事業に、スタインウェイ社が直接乗り出して、スタインウェイの日本事業を、中国の上海(だったかな?)のアジア事業統括本部の下部に、つまり日本事業を中国事業の格下に据えたことも、世界のラグジュアリーブランドがよく採用するグローバル事業戦略を推進し始めたことを示しているんだろうね。 FTの記事によると、いまや、中国が世界最大のピアノ市場で、ピアノ人口が4000万人もいるんだって。 アメリカのピアノ人口の何倍も大きくて、しかも中国には可処分所得をたくさん持った富裕層がたくさんいるんだって。 ヨーロッパ⇒アメリカ⇒日本の後を追って、国の経済が急速に発展して豊かさをつかんだばかりで可処分所得を使ってリッチな気分に浸りたくてたまらない新興富裕層が爆発的に増殖した中国を世界最大のラグジュアリー市場と睨んで、アジア戦略を中国中心に編成し直して、日本事業を格下に配置換えして中国事業の下にぶらさげる、っていう戦略は、2000年以降に世界のラグジュアリーブランドによく見られた戦略だ。 だから、スタインウェイの日本のホームページは、そのような仕様になっているんだね、だって、以前私がスタインウェイの日本のサイトを見たときには、中国人の若い女性ピアニストが筆頭にフィーチャーされていたもん。 日本人のピアニストなんてさ、大ベテランとはいえ老境に達した人が申し訳程度に掲載されているだけ。 日本語のサイトなのにね...。 それにしても、あの、中国人の若い女性ピアニストの写真、どうだろう? なんか、サルみたいな顔した写真なんだよ、しかも、中国というか共産主義国家の国旗を思わせる真っ赤なドレスを着て。 もっと可愛い表情に撮れた写真もあったろうに、なんで鼻筋をくしゃくしゃにして歯をむき出しにしたサル顔の写真を掲載してるんだろう? なんか、「東アジア人=孫悟空・温泉ザル=サル!」みたいなカリカチュアがあるようで、ヤな感じがしたけど、メインターゲットの中国人にはウケるヴィジュアルなのかな? もっとも、だいたい日本向けの日本語のサイトの筆頭に中国人ピアニストを掲げているのもなんだかね。 でもね、前述したように、それが、世界のラグジュアリーブランドのグローバル戦略なんだ。 スタインウェイ社に限ったことじゃない。 それまでは欧米本国の本社の直轄だった日本事業を格下げして、上海や香港に本部を置くアジア事業統括本部の下に日本をぶらさげて、事実上日本事業の地位を格下げすることは、他のラグジュアリーブランドもやっている。 2000年あたりから以降、今までは欧米の本社と直接やりとりしていたのに、突然、欧米本社と自分たち日本法人の間に中国法人が割り込んできて、ていうか欧米の本社がそのように配置換えしたんだけど、「今後日本は、アジア事業を統括する中国にお伺いを立ててくださいね」という「格下げ扱い」を不満に思って、欧米のラグジュアリーブランドの日本法人を去った人たちもいたんだ。 今のファツィオリの日本法人の社長さんがスタインウェイの日本法人を辞めたのも、そういうことも理由のひとつだったのかなぁ? ポールソンさんが支配するようになったスタインウェイ社の日本法人の社長(で上海のアジア事業本部の社長の部下になるアジア副社長)に任命されたのは、日本人の高級家具業界出身の人だったそうだから、その時に、既にスタインウェイ社は、スタインウェイピアノを日本のクラシックピアノ界で実際にピアノを演奏するピアノの専門家たちに売る気は無かったともとれる、そんな人事だ。 「スタインウェイピアノは、高級楽器ではなくて音の出る高級家具である」という考え方なんだろうね。 

 

さらに、2010年~20年の間に、スタインウェイ社の日本における販売事業は、完全に米スタインウェイ社直轄のスタインウェイジャパン社が独占することになり、これによって、スタインウェイピアノは、日本のクラシックピアノ界の頂点の選ばれた職業ピアニストやピアノアカデミアの教授や指導者だけが手にすることができる、日本の職業ピアニストなら誰もが憧れる世界至高の楽器じゃなくなって、ポールソンさんの考えどおり、ピアノが上手くても下手でも弾けても弾けなくても全く関係なく、お金があればポンポン買えるラグジュアリーブランド商品に生まれ変わったのだろうね。 興味深いことに、ちょっと検索したら、それまで日本でスタインウェイピアノの著名な販売代理店だった会社のホームページにあった記事が、まだネット上に残っていて、当時のスタインウェイを買っていた人たちがどんな人たちだったかを、かいま見ることが出来た。 かたや、今現在スタインウェイジャパン社からピアノを買ったスタインウェイピアノの新たなオーナーさんたちのインタビュー記事が、スタインウェイジャパンのサイトに載っている。 日本における、かつてのスタインウェイピアノのオーナーと、現在のスタインウェイピアノの新たなオーナーを見比べると、スタインウェイピアノの顧客層が全く別の種類の人たちに入れ替わってしまったことが、よくわかる。 その変貌ぶりは、まさに、スタインウェイが高級ピアノのメーカーからラグジュアリーブランド品に生まれ変わったことを象徴するかのようだ。 かつての日本におけるスタインウェイピアノの所有者のような、音大の偉い教授に勧められたので自分の親や旦那さんにまで頼み込んでお金をかき集めてなんとか買いました(そして音高の先生の職に在りつけましたみたいにも思える)人たちは、血縁関係者に無心してまでお金をかき集めてスタインウェイを買えてせいぜい1台だろうが、今のスタインウェイ社がターゲット顧客として狙う「ラグジュアリーブランド品」を好んで買う富裕層は、スタインウェイのグランドピアノを1台も2台もポンポン買えちゃうし、自分が弾くためではなくて自動演奏機能付きにして自分が経営する医院や旅館に置いて患者さんやお客さんに自動演奏のBGMを楽しんでもらおう(そしてついでに節税対策もしちゃおうかな?)みたいに考える開業医やオーナー社長さんもいるんじゃないかな。 ポールソンさんのヘッジファンド会社が謳うように、スタインウェイピアノは富裕層向けの「ラグジュアリーブランドのひとつ」になったんだね。 

 

スタインウェイピアノが「音の出る高級ブランド家具」になってしまったことを、「けしからん!」と嘆かわしく思っている日本のクラシックピアノ界の専門家や「上級レベル」の愛好家もたくさんいるかもね。 でも、これが楽器じゃなくてクルマだったらどう? 免許取り立てのボンボンやお嬢ちゃんが親に買ってもらったポルシェやBMWを初心者マーク付けて公道を恐る恐る運転しているのを見ても、別に「ケッ!金持ちがいい車乗りやがって!」って、やっかむぐらいじゃない? だったら、裕福な人がポンと買った/親に買ってもらったスタインウェイのグランドでブルグミュラーを何度つっかえながら弾いても「ケッ!金持ちがいいピアノ弾きやがって!」の程度のやっかみ言って終わりでいいんじゃない? それに、クルマと違って、ピアノは鍵盤上でどんなに指がケッつまづいて演奏事故を起こしても、人身事故を起こすことはないよ。 だから、運転免許試験を受けて合格しなければ法的に運転することが許されないクルマとちがって、ピアノは2歳児からでも習わせるじゃない? それは、2歳児がめっちゃくちゃに鍵盤叩いても、その雑音で誰も怪我しないからでしょ。 だったら、スタインウェイのグランドをポンと買ってからバイエルでもブルグミュラーでもたどたどしく弾いている人がいても、悪くて騒音が近所迷惑になる程度だし、だいいちスタインウェイのグランドを買えちゃうような人は、広いお屋敷に住んでいたり、ちゃんと防音された「入れ物」まで用意できるような人たちだろうから、防音工事費用をケチって朝から晩までお子様生徒のヘタッピなピアノの音を近所に漏らし続けるどっかのピアノ教師に比べたら、世間様にとって全く無害な存在だよ。 そういう意味では、ポールソンさんによる「スタインウェイをラグジュアリーブランド商品にするぞ!」戦略によって、今まで「私ふぜいの初心者がスタインウェイのグランドなんて...。」とか「自宅に完全防音の音楽スタジオを作ったからスタインウェイのグランドを買おうかなと思うんだけど、ピアノの先生はどう言うだろうか?『音大を卒業した私だって、高名な音大の教授に勧められて親や主人や親戚縁者からお金をかき集めてやっとのことで買えたのに、大人の趣味道楽ふぜいの素人のあなたがスタインウェイのグランドをポンと買おうかな?ですって!とんでもない!スタインウェイ、いやクラシックピアノに対する冒とくです!』なんて言われちゃうかなぁ...?」なんてしり込みや遠慮していた人たちにとっては、お金が有れば誰でも気軽にポーンと買える対象になったことは、とっても良いことかもしれないね。 今までは、日本のクラシック音楽界という、外から見て良くわからないようなごく狭い世界のごく少数の人たちが独占していた高級輸入ピアノが、お金が有れば誰でも買えるラグジュアリーブランド品になってくれたおかげで、「道楽でピアノを買おうかな」なんて思いもしなかった富裕層の人たちも気軽に買えるようになるし、スタインウェイ社にとっても、新しいマーケットを取り込めたことで沢山売れるようになるから、ウィンウィンかもしれないね。 いずれにしても、これが、ポールソンさんが目指した「スタインウェイピアノをラグジュアリーブランド商品化する」世界戦略の結果だ。 ラグジュアリーブランドに限らず、ブランド商品の、商品価値は、そのブランドそのものだ。 ルイヴィトンも、マクドナルドも、世界中どこに行っても彼らのブランドのイメージが同じであることに血道を上げている。 彼らにとっては、ブランドこそが価値ある「商品」だから(ヴィトンのバッグからLVマークを消したとたんに、マクドナルドのハンバーガーの包みからMのマークを消したとたんに、それらは一体どう見える?それでも買いたいと思う?食べたいと思う?)。 どっかの国の販売総代理店がその国の中でその特権的な地位を使い過ぎた結果、同国の行政に睨まれるようなことにでもなったら、彼らが長年お金をかけて苦心して育てあげてきたグローバルなブランドのイメージが、つまり、彼らの「商品の価値そのもの」が、同国の中で棄損してしまう。 だから、世界のどこかの国で彼らのブランドにケチがついて彼らのグローバルなブランド戦略にほころびが出ないように、その国における販売網を本国の本社が直接運営してブランドイメージを厳重に維持管理することが、「ブランドという商品」を売る企業にとって死活的に重要なことなんだ。 スタインウェイ戦争』っていう本に書かれているのは、スタインウェイピアノがポールソンさんによってラグジュアリーブランド品に生まれ変わる以前の話なんだろうね。

 

Piano Forum だったか Piano Street だったか、世界のピアノ愛好者や関係者が情報交換するフォーラムに、「スタインウェイの高額な値段の少なからぬ部分は、あの竪琴ロゴが占めているのではないのか? スタインウェイよりもシゲルのほうが、1ドルで買えるピアノの部分は多いだろう」という趣旨の書き込みがあって興味深く読んだ。 書きこんだ人がカワイの関係者なのかどうかは定かではないけどね。 つまり、スタインウェイのピアノの売値の中には、ピアノ自体の材料費やピアノ製造職人の人件費などの製造費以外の、ブランド維持費用や広告宣伝費といった、ピアノ自体には関係ないコストかなり入っているのではないか?だから、シゲルを買う方が、1ドル当たりに入っているピアノ自体の割合が多いだろう、って考える人たちがいることが、わかった。 ラグジュアリーブランドはロゴに大きな価値が付いているから、当然といえば当然だ。 横道にそれるけど、英語のSNSや動画や楽器販売店のサイトでは、シゲルカワイは初出こそShigeru Kawaiと書かれるけど、そのあとはShigeruで呼ばれているんだね。 これはシゲルカワイにとっては良いことだと思う。 シゲルカワイを世に出したカワイの社長さんの名前がそのまま愛称として呼ばれるなんてラブリ~なことだし、ヤマハみたいにアルファベットの名前だと高級機種なのかどうか一見わかんないもんね。 ただし、日本のピアノブランドのイメージは、日本国内と海外で違うかもしれないから、海外の情報交換サイトを読む時には、そこのところに注意して読む必要があると思う(←ヤマハやカワイが、ポールソンさん主導のスタインウェイピアノのような徹底したグローバルブランド戦略をとっているかどうか、私は知らない)。 

 

「ポールソンさんのヘッジファンドスタインウェイ社株式の一部を公開する計画をしている」というFTの記事を読むと、ピアノ、とくにグランドピアノという楽器が一人の人間の人生に巨大な影を落とし続けることがある、ということを、思わずにはいられない。 記事を書いた人が、そのような印象を与えるように書いたのかもしれないけれど、「お金が無いこと」の悔しさ惨めさを子どもの頃に味わったポールソンさんにとって、スタインウェイピアノの竪琴マークは、良くも悪くも、ポールソンさんの心に深く刻みつけられてしまっているように、私には感じられる。 ポールソンさんが大富豪になってスタインウェイピアノを3台も4台も持てるようになっても、そればかりか、スタインウェイピアノの会社自体を買収して自分の意のままに操れるようになっても、ポールソンさんが少年時代に心に負ったスタインウェイの竪琴マークのトラウマは、ポールソンさんの心から消えることはないのかもしれない ポールソンさんは、これまでも、そして、これからも、スタインウェイピアノを支配するというよりも、逆に、スタインウェイピアノに支配され続ける一生を送るのではないか、と思えてくるんだ。 2000年代の金融危機逆張りして巨万の富を築いたポールソンさんは、その後は金融市場でのヤマの張り方が裏目に出て、今は資産が全盛期の3分の1に減ってしまったようだ。 それでも、ポールソンさんは、スタインウェイ社を支配できる株式の持ち分だけは、最後の最後まで手放さないのではないか、と思う。 スタインウェイ社を支配し続ける限り、ポールソンさんの心は、きっと、至福の満足感に満たされ続けるのだろう。 自分が子どもの頃に「お金が無いことは辛くて悔しい」という思いをさせられたスタインウェイピアノを、その会社自体を、経済的に支配し続けることができるのだから。 でも、ポールソンさんは、株式の持ち分を通してスタインウェイ社を経済的には支配し続けても、彼の心と人生は、死ぬまで、スタインウェイピアノの竪琴マークに支配され続けるのかもしれない。 ポールソンさんが心に負った、竪琴マークのトラウマ。 「大人ピアノはグランドピアノを大人買い!」という、大人のピアノ愛好者たちも、子どもの頃に、経済的な理由で親にピアノを習わせてもらえなかったことや、親に買ってもらえなかったグランドピアノの、そのトラウマを、心の底に深く負い続けて、一生、ピアノという魔物に支配され続けていくのかもしれない。 私も含めて。 

 

 

以上、ここまでは、「ピアノの大人買い」の番付を超越した、

勧進元(かんじんもと):一国の音楽産業と文化をピアノもろとも掌握支配する存在、 

そして、

②行司(ぎょうじ):ピアノメーカーを会社ごと所有する存在、

という、突き抜けた「大人買い」を紹介したよ。

次回からは、いよいよ、

「ピアノの大人買い」の番付に入っていくよ。

 

 

※FTの記事のリンク先を一応貼り付けておくけど、このリンクでいいかな?クッキー表示の通知などが出るサイトだから、自己責任でどうぞ:

Steinway IPO seeks to catch the ear of the world’s biggest piano market

Hedge fund billionaire John Paulson has China’s 40mn pianists in his sights with return to the public markets

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tokyotoad1.hatenablog.com

 

tokyotoad

 

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このブログ「おんがくの彼岸(ひがん)」は、私 tokyotoad が、中学卒業時に家の経済的な事情で諦めた(←諦めて命拾いした!と、今じぶんの人生をしみじみ振り返って背筋がゾッとしている)「自分の思いのままに自由自在に音楽を表現する」という夢の追求を、35年ぶりに再開して、独学で試行錯誤をつづけて、なんとかそのスタート地点に立つまでの過程で考えたことや感じたことを記録したものです。

「おんがくの彼岸(ひがん)」というタイトルは、「人間が叡智を結集して追求したその果てに有る、どのジャンルにも属さないと同時に、あらゆるジャンルでもある、最も進化した究極の音楽が鳴っている場所」、という意味でつけました。 そして、最も進化した究極の音楽が鳴っているその場所には、無音静寂の中に自然界の音(ホワイトノイズ)だけが鳴っているのではないか?と感じます(ジョン・ケイジはそれを表現しようとしたのではなかろうか?)。 西洋クラシック音楽を含めた民族音楽から20世紀の音楽やノイズなどの実験音楽まで、地上のあらゆるジャンルの音楽を一度にすべて鳴らしたら、すべての音の波長が互いにオフセットされるのではないか? 人間が鳴らした音がすべてキャンセルされて無音静寂になったところに、波の音や風の音や虫や鳥や動物の鳴き声が混ざり合いキャンセルされた、花鳥風月のホワイトノイズだけが響いている。 そのとき、前頭葉の理論や方法論で塗り固められた音楽から解き放たれた人間は、自分の身の中のひとつひとつの細胞の原子の振動が起こす生命の波長に、静かに耳を傾けて、自分の存在の原点であり、自分にとって最も大切な音楽である、命の響きを、全身全霊で感じる。 そして、その衝動を感じるままに声をあげ、手を叩き、地面を踏み鳴らし、全身を楽器にして踊る。 そばに落ちていた木の棒を拾い上げて傍らの岩を叩き、ここに、新たな音楽の彼岸(無音静寂)への人間の旅が始まる。

tokyotoadのtoadはガマガエル(ヒキガエル)のことです。昔から東京の都心や郊外に住んでいる、動作がのろくてぎこちない、不器用で地味な動物ですが、ひとたび大きく成長すると、冷やかしにかみついたネコが目を回すほどの、変な毒というかガマの油を皮膚に持っているみたいです。

 

★ピアノの先生/ブロガー/ユーチューバー/出版社/放送局などの方へ: このブログに記載されている内容を、レッスンや出版などの営利目的/非営利目的(レッスン等で使用・販売する教材、レッスンで教える内容、宣伝等のためのブログ記事での使用等を含む、営利目的につながる可能性のある使用)や非営利目的その他の目的のために、このブログの作者(原作者)であるtokyotoadへの事前の承諾なく無断で使用(複製・コピー・利用・転用・流用・編集・加工・出版・頒布・送信・アップロード・放送・発表等)することは、原作者の権利や人格を保護する著作権法に対する違反行為です。くれぐれもご注意ください。

↑ 不本意にもこんな野暮なことを書かなければならないのは、過去にちまたのピアノの先生方に、この記事の内容をパクったブログ記事を挙げられたことが何度かあったからです。 トホホ...。ピアノの先生さんたちよ、ちったぁ「品格」ってぇもんをお持ちなさいよ...。