音楽の彼岸のピアノ遊び

大人のピアノ道楽を満喫するピアノ一人遊びの日々

メトロノーム練習がうまくいかない理由

 

メトロノーム練習が苦手な人が多いのではないかと思う。 ピアノを習うと、「拍子感覚の養成が必要ですよ!」と言われて、メトロノームを買わされて、家でカチカチ練習するんだけど、とんと上手く行かずに、メトロノーム練習が挫折しがちになる。 子どもの頃の私がそうだった。 

 

どうしてメトロノーム練習が挫折してしまいがちなのか、理由を考えてみたよっ!: 

 

① 曲の習熟度合いの圧倒的な不足: 

メトロノームを使って意味の有る練習ができる段階に遠く至っていない状態で、メトロノーム練習に突入してしまうから。 クラシックピアノのように譜面を再生する場合は、少なくとも暗譜済み、ないしは優れた初見演奏能力を獲得済みで、脳の多くの部分を「不慣れな拍子練習」のために開放できなければ、ロクな練習にはならないだろう。 耳と脳をメトロノーム音に集中できるぐらいに曲を覚え込んでいなければ、あるいはスキャナーのような楽譜の瞬時取り込み再現能力が無ければ、目は楽譜の音符や強弱記号を追うのにイッパイイッパイ、指はミスタッチしないように弾くのにイッパイイッパイ、耳は自分の出す音を確認するのにイッパイイッパイ、つまり脳がイッパイイッパイな状態で、メトロノームの音に拍子を合わせる余裕が有るはずがない。 ジャズピアノの場合は、少なくともコード進行を暗記済みか、リードシートのメロディとコードの瞬時把握能力が高くて、しかもアドリブの引出しもそれなりに持っていないと、演奏が迷いまくってタイムキープ以前の問題になるか、あるいは、音をロクに鳴らせられない実質上ジョン・ケイジ作「4分33秒」的な悲しいアドリブ演奏っちゅうか無演奏が続くことになる。 曲を十分に把握できていないままメトロノーム練習に突入することは、不慣れな一輪車に乗ったうえに不慣れなお手玉をしながら完璧に走ろうとするようなものだ。 

一流ミュージシャンが、譜面を初見しながら正確なタイムキープで演奏できるのは、今までの人生の音楽時間の膨大な集積によって初見もタイムキープも自動的にできるレベルになっているからだ。 逆に、そのレベルに達していないとプロ演奏家になれないだろう。

 

② ピアノ教師からのピアノ演奏ライフハックの集中砲火: 

「ピアノのレッスン」という接客サービスの購入者の満足のひとつの側面は「おカネを払って今日も先生からこんな有難い教えをもらった!」と感じることだろう。 購入者を満足させるべく、ピアノ教師も毎回毎回「教え」や「指導」を連発することになる。 ところが、楽器演奏は、スポーツの上達とおなじで、おカネを払っていくら有難い教えを買っても、本人ができなければ何にもならないうえに、スポーツの上達とまったく同じで、楽器演奏の上達は、その人の運動能力的な素質に大きく左右されるもので、カンが良くなければ、何年、何十年練習しても未来永劫上達しないことが有り得る、残酷な分野だ。 カンに乏しい人が、毎日30分練習するかどうかで、毎週毎週ピアノ教師から「有難い教え」を買い続けても、その有難い教えの洪水におぼれていくばかりで、アップアップの状態で年月が過ぎてゆく。 「指の形はこう」「姿勢はこう」「運指はこう」「ハノンをやりましょう」「左手の指練習は」「歌うように弾いて」... と積もり続けるライフハックに目を回しながら、しかも家では一日に30分練習するかしないかで、すべてのライフハックをロクにモノにできる筈がないうえに、追い打ちをかけるように脳や運動の機能が衰え続ける大人のピアノで、「メトロノーム練習」を一日5分やったところで、その効果がようやく出始めるのは何年も先かもしれない。 で、くじけることになる。 唯一の例外は、ドラムやギターなどの他楽器の経験者でピアノを習い始めた人であろう。 ドラム経験者は当然のことながらタイムキープ能力を培っているはずだし、ギターなど他楽器でメトロノーム練習をやってきた人も、ズブの楽器初心者よりタイムキープ能力が有るだろう。  

 

③ メトロノームの音が不快: 

昔ながらの、メトロノームの音が、やる気をそぐ類(たぐい)の音なのではないか。 私は子どもの頃から、メトロノームの音が嫌いだ。 あの金属音が、ピアノの音を突き破ってくるから、拍子の音が聴きやすいのかもしれないが、私は、メトロノームの音を聞いていると、まるで自分が、ピアノ教師に木の枝のムチで叩かれ続けるロバになったような、不快な気分になる。 大人になってから買った電子ピアノについているメトロノームの音もひどいもんで、「バシッ!バシッ!」と鳴るもんだから、私には、木の枝のムチで叩かれる哀れな動物になった気分か、軽犯罪で捕まって奉行所の門前で竹刀で百叩きの刑を受けているような気持ちになる。 処罰的な不快な音を聞きながら楽しく練習が続くわけがない。 何事も、楽しめる要素が無ければ、続かない。(ちなみに、楽器メーカーの電子ケンバン楽器の音の特徴は内臓メトロノームの音と相関があると私は感じている。メトロノームの音がムチのように鳴る電子楽器の音も、多かれ少なかれ同じようなものではないだろうか。)

そのため、人生半世紀生きた頃にピアノを再開した時に私は、メトロノーム選びにこだわった。 手ごろな値段で、心地良い音がするメトロノームをネットや動画を見て探した結果、セイコー海外向けに作っていると思われる電池式のメトロノームを買った。 手のひらに乗るサイズの丸っこい黒いボディーの真ん中に「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉オヤジの目のような大きなダイヤルがついているこのメトロノームは、音が「一休さん」の木魚のような音がして、私にとっていちばん心地良い音と思った。 日本ではあまり使わない電池を使うが、通販や量販店で購入できる。 生産終了になると悲しいので、予備用に1個買い足して、複数の場所でそれぞれ使っている。 この「一休さんメトロノームの弱点は、最高速度を200bpmちょい超えぐらいまでしか設定できないのと、1bpm刻みの速度設定ができないことだが、音の良さがこれらを相殺して余り有る。 スマホメトロノームアプリも購入したが、カネ払って購入したにもかかわらず毎回起動時に広告が出るのに辟易(へきえき)して使わなくなった。 見たくもない広告がしじゅう目に入るような状態は、無意識に脳を疲れさせるから、私は好まない。

 

④ クラシックピアノだから: 

クラシックピアノは「歌うように弾いて」と感情的な表現を指導されるうえに、「rit.」や「フェルマータ」など楽譜に減速を指示する記号が書かれていることが多い。 そのようなクラシックピアノの「不均一なリズムの世界」におけるメトロノームによる等間隔のリズム練習の合理的な妥当性を、人間の脳が無意識レベルで今ひとつ納得できないのではないか。 クラシック音楽出身の楽器奏者が、実際の経済的な音楽産業の現場で最も苦労する点は、即興演奏が出来ないことと、拍子やリズムの感覚が乏しいことではないだろうか。

 

⑤ アコースティックピアノで練習しているから: 

アコースティックピアノにはメトロノーム!」という、「クラシックピアノレッスン教」の宗教的なドグマに縛られ続けたピアノ練習者たちの脳が思考停止になっていて、他の方法を探すことをしないでいる、というか、怠けている。 いや、ピアノ教師の脳がそもそも思考停止になっているというか怠慢無作為なので、練習者もそうなってしまうのだ。 宗教のドグマと、マインドコントロールによる思考停止ほど、人間の本来の人間性を強奪して家畜化するものは無い。 21世紀の世の中である。 拍子感覚を養うためのツールはメトロノームだけではない。    

 

というわけで、私は最近、メトロノームを買い替えたよ!というか、買い足したよ。 今まで使っているセイコーの「一休さんメトロノームに加えて、「リズムマシン」なるものを手に入れた。 ローランド傘下のブランドから出ている、アコースティックギターなどの楽器の演奏用に開発されたリズムマシンで、値段が3万円もしたが、思い切って買って良かったと思う。 ちなみにメトロノームの音も入っているが、私はセイコーの「一休さんメトロノーム音の方が好きだ。 

 

私が買ったアコースティック楽器向けリズムマシンの利点は: 

① 自分でリズムパターンをゼロからプログラミングする必要が無い

② ドラム以外のリズム楽器音のリズムパターンも入っていてリズムが多彩

③ 多彩なリズム楽器音&リズムパターンによって、もはや練習とはいえない楽しさ  

④ 拍子の間に多彩なリズム楽器音が入るので、それらが細かい速度ガイドになって、メトロノームよりもタイムキープしやすく感じる

⑤ リズム楽器に親しめるとっかかりができる

イマイチだった点は:

① 5拍子や7拍子に対応していない

② アメリカ人好みに寄せたかのような形状 

③ アメリカ人が好きそうなロック系のリズムが多いような気がするのは私だけ? (あらかじめ入っている「お気に入りリズムパターン」の中にはラテンのパターンもけっこうはいっているようだがまだちゃんと開拓していない)

 

アコースティック楽器用のリズムマシンは珍しい。 大きめサイズだが、スピーカー内臓だけあって、音もけっこう良い。 コルグとどっちにしようか迷ったんだけど、コルグリズムマシンは自分でリズムをプログラミングする必要があるようだったので、電子楽器に疎い私には使いこなせないと思った。 

私が買ったリズムマシンは、数年前に発売されてから一度完売して、追加生産&販売されているらしい。 もともと潜在需要があったのだ。 現在は販売価格が値上がりしたように見受けられる。 私のような中高年のピアノ愛好者に潜在需要があるかもしれない。 もっとも、ジャズピアノ愛好者になると、リズム単体マシンをすっ飛ばしてBand in a Boxやスマホのアプリに行っちゃうのかもしれない。 

 

私がリズムマシンに目を付けたきっかけは、家で電子キーボードに入っているリズムパターンをいろいろ使って演奏する楽しさに目覚めたからだ。 ラテンフュージョンとかサルサとかメタルやトランスのリズムを高速にしてアドリブしながら延々と演奏して楽しんでいた。 ちなみに使用キーボードは、カシオの49鍵の電子キーボードと、同じくカシオの黄緑色の縁取りのミニキーボードだ。 どちらも通販でポチった。 そしてどちらも家庭用なので安価だった。 安価とはいえ、私のようなシロートには十分すぎるほどの多彩な音やリズムパターンが入っている。 どちらも鍵盤数が少なめだが、その良さもある。49鍵キーボードは、なんとか持ち運べる重さだし、ミニキーボードは片手で持てる軽さだ。 それに、少ない鍵盤数で弾こうとすると、いろいろな工夫を考える機会が生まれる。 ものは考えようだ。 「電子キーボードは初心者向けの劣った楽器」という考えこそ、その人が思考停止していて音楽の工夫を怠っている、怠慢無作為の証拠だ。 プロの音楽家になればなるほど、目の前の楽器がどんなものであっても、それを使いこなして崇高な音楽を創出する。 こんな私ですら、ほろ酔い加減でソファーに寝っ転がってカシオのミニキーボードを抱えてステレオから流れる音楽に合わせてピャラピャラ適当にアドリブ演奏していたら、家族が寄ってきて「そんなオモチャみたいなキーボードで、そんなに弾けるの? ...(音楽って、)楽器じゃないんだね...」ってビックリしてたよ。 そのとおり。 一流のプロが弾いたら遥かにとんでもなく異次元の演奏を繰り広げてくれるよ。 プロとは正反対に、素人になればなるほど、楽器を問わず名演奏をするという芸当ができない、あるいはそれをする気が無い、怠慢無作為の態度で威張っている。 巷(ちまた)には、プロの音楽家気取りの実質素人がうじゃうじゃいて、怠慢無作為のくせにいかにも先生ヅラして威張り散らしながら、何も知らない善良な人からおカネをフンだくろうとしているから、気を付けなければいけない。  

ちなみに、私がポチったミニ鍵盤のミニキーボードは、一流のプロミュージシャンも使っているようだ。 超一流の [ホーン奏者+ギタリスト+パーカッショニスト] のユニットの動画を視たら、このパーカッショニストさんの自宅スタジオと思われる、いろいろな打楽器に囲まれたロハスでチャーミングな部屋の片隅に、私が持っているのと同じ、黄緑色の縁取りのカシオのミニキーボードが映り込んでいたんだよ! それを見て私は、このパーカッショニストさんも持っているということは、「やっぱりこのミニキーボードは優れモノなんだ!」という思いを強めたんだ。 この超一流パーカッショニストさんが演奏仕事でこのミニキーボードを使うかどうかは私は知らないが、自宅スタジオに持っているということは、この人の超一流の仕事で何らかの形で使っているということだ。 超一流や一流の人は、どんな楽器も、超一流や一流に使いこなす。 使いこなせない人や、家庭用の安価な電子キーボードをはなっからバカにして触れもしないような輩(ヤカラ)は、ほぼ間違いなく「自称プロ」の実質素人だ。 

私がポチった49鍵のキーボードの難点は、電源がオフになると音量などの設定がすべて初期設定に戻ってしまう点だが、値段が安くて気軽に使える点が良いと思う。

 

 

話をもどして、

電子キーボードでアドリブ弾きを楽しんでいた、あるとき、メトロノームなしでピアノを弾いていたら、「あれ?拍子がとれるようになってきたよ!」と嬉しく驚いたのだ。 もっとも、ここ3年ほど「一休さんメトロノームを鳴らしながらピアノを弾き続けていたせいもあるかもしれない。 私が「この人はスゴすぎてもはやオカシイ!」と思うケンバニストさんが、リズム感覚を養う記事を書いていたけど、私にはプロ志向過ぎて、「シロートの自分は楽しくなんとなくやってればちょっとは良くなるかな~」ぐらいに思って、「一休さんメトロノームを鳴らしながら生ぬるく続けていた。 拍子にぜんぜん合わなくても一向に気にしないで弾いていた。 拍子に合わせられない自分を責めることは一切しなかった。 自分で自分を叱責したら、魂が委縮してますます「できない地獄」にはまっていくからだ。 「できない地獄」にはまって出られない惨めな思いは、子どもの頃のピアノのお稽古でもうたくさんだよ! 大人の再開ピアノでは、ぜったいにこの呪いにかかるもんか! だから、自分を絶対に責めないんだ! 拍子に合わせようと思って弾いているのに拍子に合わせられないんだったら、今は合わせられないんだから、気にしない気にしない。 合わせようと思って弾き続けたら、いつか合わせられるようになるかもね~、と思って続けていた。 ちなみに私はポップス~ジャズの非クラシック音楽中心で、現在はクラシックピアノは弾かない。 クラシックピアノ訛(なま)りを除去中なので、現在はバッハも遠ざけている(バッハはいつか再開しようと思っている)。 クラシックピアノだったらこんなに拍子練習を楽しく続けられたかどうかわからない、だって、クラシックピアノのメトロノーム練習を楽しいと思った記憶が無いから。 プロを目指す若者は、超一流ミュージシャンが推奨するような本格的なリズム練習に精を出しているか、あるいは、すでにドラムなどのリズム楽器に親しんでいるだろう。  

 

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