ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ道楽の日々

「ネコふんじゃった」が笑ったよ!(その④)

当ブログのオールタイム人気記事:

「ネコふんじゃった」が泣いている(2019年02月03日にアップ)

の続編の記事シリーズの、(その④)です。

その①は⇒ 「ネコふんじゃった」が笑ったよ!(その①) - ピアノ方丈記

その②は⇒ 「ネコふんじゃった」が笑ったよ!(その②) - ピアノ方丈記

その③は⇒「ネコふんじゃった」が笑ったよ!(その③) - ピアノ方丈記

 

 

今回もケンバンで楽しく遊ぶよ!

 

 

女の子:「今回は、いよいよ、(記事②)の最後に出てきた、この図が大活躍するんだよね?」

 

黒ネコ(黒鍵の精):「うん!でも、前回(記事③)で言ったことを繰り返すけど、これらの音の呼び方を全部丸暗記する必要は絶対にないから、安心してね!」 

 

「わかった! そして、この図には載っていない音の呼び名があるんだよね?」

 

「うん。西洋現代音楽で使う、フルの呼び名については(記事③)を見てね! それから、今回も念を押しておくけど、

上の鍵盤図に書いてある音の全部の呼び名を、#や♭になる音の呼び名まで、全部を完璧に覚える必要なんて、ぜんぜん無いからね! もし、自分がやりたい音楽と親しくなるのに上の図が少しでも役に立つと感じたら、役に立つ音の呼び方だけ覚えればいんじゃないかな。そんな感じだよ。 

 

そして、

いちばんトンデモナイのは、これらの音の呼び名を上辺だけ取り入れて、当の自分すらその意義がわかっていないのに、子どもや大人の生徒相手に、全部の種類の呼び名を強制的に覚えさせて、テストや試験で点数をつけて縛り上げて、自分の威厳を大きく見せようとする行為だよ! そんなことして生徒を脅しても、生徒のために全然ならないどころか、生徒たちはみーんなピアノも音楽も、大嫌いになってしまうだろう! ピアノの先生方、そんなことをしないように、くれぐれも注意してくださいね!

 

 

さあ、今回は、冒頭のこの図を使い倒していくよ!

 

そのまえに、前回と重なるけど👇

前回の、みんなが良く知ってるメイジャースケールのいちばん代表的な:

①「🎵1(ド) - 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ)、 8(ド)」のスケールは、そのままズバリ「メイジャースケール」というんだけど、

このスケールを、「ぅれ」から歌い始めると:

②「🎵 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド)、 9(ぅれ)」

「ミ」から歌い始めると:

③「🎵 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ)、3(10)(ミ)」

 

という具合に、「ファ」、「ソ」、「ラ」、「ティ」からも歌い始めてみると、

①~⑦の、7種類のバリエーションができたよね👇

========

①「🎵1(ド) - 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ)、 8(ド)」

②「🎵 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド)、 9(ぅれ)」

③「🎵 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ)、3(10)(ミ)」

④「🎵 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ)、11(ファ)」

⑤「🎵 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ)、5(12)(ソ)」

⑥「🎵 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ)、13(ラ)」

⑦「🎵 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ) - 13(ラ)、7(14)(ティ)」

========

 

そして、これらの①~⑦を、順番に歌ってみたら?」

 

「🎵1(ド) - 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ)、 8(ド)」

 明るい響きがする。「ド - ミ」のメイジャーサードがあるから、明るい響きがするメイジャースケールなんだね!

 

「🎵 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド)、 9(ぅれ)」

  明るくない。ちょっとさびしい感じがするよ。もしかすると「2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ)」がマイナーサードなのかも?

 

「🎵 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ)、3(10)(ミ)」

  もっとさびしい、というか、暗い感じがする。

 

「🎵 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ)、11(ファ)」

  とっても明るい感じがする!それも、①より明るく感じるよ!

 

「🎵 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ)、5(12)(ソ)」

  明るい感じがするけど、なんか落ち着かないというか、どこかに落ち着きたい気持ちになるね。

 

「🎵 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ)、13(ラ)」

  暗い感じがする。③とどっちが暗いかなぁ?

 

「🎵 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ) - 13(ラ)、7(14)(ティ)」

  暗っ!暗いを通り越して、ちょっと怖い感じさえするよ!!

 

 

「①~⑦の音の列は、ぜんぶ同じ「1(ド) - 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ)」の7つの音が使われているのに、どこからスタートするかによって、ぜんぜん雰囲気が違う音楽になるよね。 その理由は?」 

 

「①が明るい感じがするのは、

①「🎵1(ド) - 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ)、 8(ド)」

「ド - ミ」のメイジャーサードがあるから。

 

⑥が暗い感じがするのは、

⑥「🎵 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ)、13(ラ)」

たぶん、「ラ - ド」の間が、メイジャーじゃなくて、マイナーサードだから。」 

 

 

「そうだったよね。 最初の3つの音の間隔が、メイジャーサードか、マイナーサードかによって、①~⑦の雰囲気が明るいか暗いになるんだ: 

①「🎵1(ド) - 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ)、 8(ド)」

②「🎵 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド)、 9(ぅれ)」

③「🎵 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ)、3(10)(ミ)」

④「🎵 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ)、11(ファ)」

⑤「🎵 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ)、5(12)(ソ)」

⑥「🎵 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ)、13(ラ)」

⑦「🎵 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ) - 13(ラ)、7(14)(ティ)」

「上の図で、矢印と緑のマル「」の並び方を見比べてみると、メイジャーサードは「●-●-●」、マイナーサードは「ぅれ-ミ-ファ」のところが●-●●」、「ミ-ファ-ソ」と「ティ-ド-ぅれ」のところが「●●-●」になってる。

 

前々回(記事②)のホールトーン(whole tone)スケールを思い出すと、1歩が「-●」なんだ!だから、「●●」ってが直接隣り合っているところは、半分の半歩なんだね!」

 

「1歩が「-●」を「ホールステップ(whole step)」、半歩を「ハーフステップ(half step)」 というんだ。それらを図に加えてみると:

①「🎵1(ド)[W]2(ぅれ)[W] 3(ミ)<H>4(ファ)[W]5(ソ)[W]6(ラ)[W]7(ティ)<H>8(ド)」ここから、[W]<H>の記号だけを抜き出すと:

   ①:  [W][W]<H>[W][W][W]<H> 

これが、①メイジャースケールの特徴を表すパターン、指紋みたいなもの。いうなれば、ぼくたち生物のDNAのパターンみたいなものだよね!

 

同じように、②~⑦のパターンも出したら… 

 

①「🎵1(ド)[W]2(ぅれ)[W] 3(ミ)<H>4(ファ)[W]5(ソ)[W]6(ラ)[W]7(ティ)<H>8(ド)」

  ①:  [W][W]<H>[W][W][W]<H>  

②「🎵 2(ぅれ) - 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド)、 9(ぅれ)」

  ②:  [W]<H>[W][W][W]<H>[W]

③「🎵 3(ミ) - 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ)、3(10)(ミ)」

   ③:  <H>[W][W][W]<H>[W][W]

④「🎵 4(ファ) - 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ)、11(ファ)」

 ④:  [W][W][W]<H>[W][W]<H>

⑤「🎵 5(ソ) - 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ)、5(12)(ソ)」

 ⑤: [W][W]<H>[W][W]<H>[W]

⑥「🎵 6(ラ) - 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ)、13(ラ)」

 ⑥:[W]<H>[W][W]<H>[W][W]

⑦「🎵 7(ティ) - 8(ド) - 9(ぅれ) - 3(ミ) - 11(ファ) - 5(ソ) - 13(ラ)、7(14)(ティ)」

 ⑦:<H>[W][W]<H>[W][W][W]

 

 

「今回も、音楽=芸術!じゃなくて、音楽=算数 に思えるね! だって、音は空気の振動だから、それらを組み合わせて作る音楽は、サイエンスなんだもんね。」

 

「そう!音楽は、とてもデジタルなものなんだよね。

そして、いまパターン化した、①から⑦までの音の列を、さっき歌った時に、①は明るい、②は、ちょっとさびしい、③は暗い、④はとっても明るい、⑤は明るいけどなんか落ち着かない、⑥は暗い、⑦はすごく暗い!っていうイメージを持ったのは、今作った①~⑦の[W]<H>の並び方が一個ずつズレていって、それぞれ違うパターンになっているからだったよね:

①:  [W][W]<H>[W][W][W]<H>  

②:  [W]<H>[W][W][W]<H>[W]

③:  <H>[W][W][W]<H>[W][W]

④:  [W][W][W]<H>[W][W]<H>

⑤: [W][W]<H>[W][W]<H>[W]

⑥:[W]<H>[W][W]<H>[W][W]

⑦:<H>[W][W]<H>[W][W][W]

 

 

そして、これら①~⑦のパターンには、名前がついていた:

①Ionian(アィオニアン):  [W][W]<H>[W][W][W]<H>  

②Dorian(ドリアン):  [W]<H>[W][W][W]<H>[W]

③Phrygian(フリジアン):  <H>[W][W][W]<H>[W][W]

④Lydian(リディアン):  [W][W][W]<H>[W][W]<H>

⑤Mixolydian(ミクソリディアン): [W][W]<H>[W][W]<H>[W]

⑥Aeolian(エィオリアン):[W]<H>[W][W]<H>[W][W]

⑦Locrian(ロクリアン):<H>[W][W]<H>[W][W][W]

 

 

①Ionian(アィオニアン)をふつう「メイジャースケール(major scale)」と呼んでいて、

 

⑥Aeolian(エィオリアン)を、①の「メイジャースケール」の中に、もともとナチュラル(天然)に含まれているマイナースケールなので、「ナチュラルマイナースケール(natural minor scale)」って呼んでいるんだ。

 

で、ここからが、今回の記事の本編がスタートするよ!

 

========

 

まず、

①Ionian(アィオニアン):  [W][W]<H>[W][W][W]<H> 

からいこうね。

この記事シリーズの鍵盤図にずっと出てきているの並びは、上の [W][W]<H>[W][W][W]<H>の間隔で並んでいて、Ionian(アィオニアン)つまり「ド ぅれ ミ ファ ソ ラ ティ ド」から成る、一般に「メイジャースケール」と呼ばれてるスケールの鍵盤の位置を示しているんだ。そして、今回から「ド」から順番にに番号をつけるよ:

 👆①Ionian(アィオニアン):  [W][W]<H>[W][W][W]<H> 

 は、基本のメイジャースケールなので

「ドぅ れ ミ ファ ソ ラ ティ」⇒「1234567」

 

じゃあ、

②Dorian(ドリアン):  [W]<H>[W][W][W]<H>[W]を、

「ド」の音から始めてみると、どの鍵盤を弾けば、②Dorian(ドリアン)のパターンになるかな?:

 

②Dorian(ドリアン)のパターンは:

        [W]<H>[W][W][W]<H>[W]だから...

 [W]<H>[W][W][W]<H>[W] を「ド」から始めていくから、上の図のようになって、そうすると、「ミ」と「ティ」が左隣にズレてハーフステップ下がる、そうかー!「♭」になるんだ! そして、「ミ」と「ティ」が♭になったときの呼び名は、あの図を見ると:

「ミ」の♭は「メ」、「ティ」の♭は「テ」だね! だから:

 👆②Dorian(ドリアン):  [W]<H>[W][W][W]<H>[W]

 =「1 2 b3 4 5 6 b7 8」⇒「ド ぅれ ファ ソ ラ ド」 

 

「わかった! おなじようにやっていけば、「ド」から始めたときの呼び名がわかるんだね!」

 

次の、

③Phrygian(フリジアン):<H>[W][W][W]<H>[W][W] は:③Phrygian(フリジアン)のパターン <H>[W][W][W]<H>[W][W] を、

   下の図の「ド -  」から当てはめていくと...

 

 こうなった!👇

③Phrygian(フリジアン):  <H>[W][W][W]<H>[W][W]

=「1 b2 b3 4 5 b6 b7 8」⇒「ド ぅら メ ファ ソ レ テ ド」 

 

 

その次の

④Lydian(リディアン):  [W][W][W]<H>[W][W]<H> は:

 こうなった!👇

④Lydian(リディアン):  [W][W][W]<H>[W][W]<H>

=「1 2 3 #4 5 6 7 8」⇒「ド ぅれ ミ フィ ソ ラ ティド」 

 

 

だんだん慣れてきたよ!その次の

⑤Mixolydian(ミクソリディアン):[W][W]<H>[W][W]<H>[W] は:

こうなったよ!👇

⑤Mixolydian(ミクソリディアン): [W][W]<H>[W][W]<H>[W]

=「1 2 3 4 5 6 b7 8」⇒「ド ぅれ ミ ファ ソ ラ ド」 

 

 

その次の

⑥Aeolian(エィオリアン):[W]<H>[W][W]<H>[W][W]は:

こうなったね!👇

⑥Aeolian(エィオリアン):[W]<H>[W][W]<H>[W][W]

=「1 2 b3 4 5 b6 b7 8」⇒「ド ぅれ ファ ソ ド」

 

 

そしてさいごの

⑦Locrian(ロクリアン):<H>[W][W]<H>[W][W][W]は:

こうなったよ!👇

⑦Locrian(ロクリアン):<H>[W][W]<H>[W][W][W]

=「1 b2 b3 4 b5 b6 b7 8」⇒「ド ぅら ファ セ レ ド」

 

 

女の子:「やったー!①から⑦まで、ひとつひとつの音に名前が付いたねー! これで、①から⑦まで、ケンバンを弾きながら歌えるようになったよ!

でも、それでどうなるの?」

 

黒ネコ(黒鍵の精):「そこなんだよ! そこがとても大事なことなんだ。この記事シリーズで名前を付けてきた鍵盤の呼び名を使って①~⑦や、ほかにも、ブルーススケールなどの他のスケールを、鍵盤を押さえながら歌えるようになったところで、いったい何になるんだ? ってことだよね。

たとえば、(記事②)の冒頭にでてきた、クラシックピアノを習っているクラスメートさんに、この記事シリーズの内容を教えあげても、その子にとって、果たしてよいことなのかな? 

「バイエル」を弾くのに、「エリーゼのために」を弾くのに、「幻想即興曲」を弾くのに、いままでこの記事シリーズでやってきたことは、必要かな?

ぜんぜん必要ないと言えるよね! 

だってさ、この記事シリーズで書いてきたことを何ひとつ知らなくても、西洋音楽の作曲家たちが残した楽譜を見て、先生に言われたとおりに正確に弾くことさえできれば、レッスンで花マルをもらえるしコンクールに入賞できるものね。 

 

ところが、

ジャズやフュージョンみたいに、一曲の中であらゆる調に自由自在に転調するような曲を、メロディーとコードだけに基づいて、音楽を脳内でリアルタイムで作り上げると同時に演奏する(=即興演奏を伴う)ような音楽ジャンルの場合は、この記事シリーズで書いてきた、音楽の基本中の基本である、音楽を作りあげる最少単位の文法的な要素を、「ネコふんじゃった」のF#(G♭)メイジャーをはじめとする12の全てのキーにおいて自由自在に展開することを目指してここまで書いてきた、この記事シリーズの内容を知っていると、便利に感じるかもしれない。

 

そして、自分が創出する音楽は、この記事でみてきたように、

  [W][W]<H>[W][W][W]<H>

の並べ方次第で、音楽の雰囲気がまったく違ってくるよね。

とくに、<H>をどの[W]の隣に並べるか?が、音楽の雰囲気を大きく左右するよね。

 

たとえば、

(記事②)のさいしょのほうにでてきた

メイジャーペンタトニックスケール「ドぅ れ ミ ソ ラ = 1 2 3 5 6」

マイナーペンタトニックスケール「ド メ ファ ソ テ = 1 b3 4 5 b7」

に、それぞれ<H>のインターバル(間隔)で1つ音を加えて出来るのが、

ヘクサトニック(6音)スケールの、ブルーススケールだったよね。

メイジャーブルーススケール「ドぅ れ ミ ソ ラ = 1 2<H> b3 <H>3 5 6」

マイナーブルーススケール「ド メ ファ  ソ テ = 1 b3 4 <H>b5 <H>5 b7」

このように、<H>のインターバル(間隔)を加えることによって、独特の音楽的な雰囲気が出てくる。

 

これが、人類が音楽をどんどん進化させてきた、おおもとの推進力なんだ。

 

日本の音階もそうだよ。

メイジャーペンタトニックスケール「ド ぅれ ミ ソ ラ = 1 2 3 5 6」

は、日本では民謡に使われているけど、

京や大坂(おおざか)や江戸で、ある意味「ブルース的な」スケールが使われ始めた。

その一つが、平調子(ひらぢょうし)「ド ぅれ メ ソ レ = 1 2<H>b3 5 <H>b6」「農村部から都市部に働きに出てきた人たちの悲哀を表すように発展した」ともいわれているけど、アメリカのブルースと同じような心情の背景があったのかもしれないし、そうじゃなくて、

メイジャーペンタトニックスケール「ド ぅれ ミ ソ ラ = 1 2 3 5 6」や

マイナーペンタトニックスケール「ド メ ファ ソ テ = 1 b3 4 5 b7」に飽きちゃって、もっと粋(いき)でカッコいい響きをもとめて発展したのかもしれない。

そして、ほんの1音の違いだけで、音楽の雰囲気が変わる。たとえば、

平調子(ひらぢょうし)「ド ぅれ メ ソ レ = 1 2<H>b3 5 <H>b6」と

古今調子(こきんぢょうし)「ド ぅれ メ ソ ラ = 1 2<H>b3 5 6」は、

「b6」と「6」が違うだけで、世界観が変わってくる。 

 

プロの作曲家は、このような[W]<H><H>[W]の組み合わせのように、<H>をどこに何個入れ込むかによって、クライアントが望む音楽の世界観を作っているんだ。

 

たとえば、作曲家が、NHK(クライアント)から大河ドラマのオープニングテーマ曲を依頼されたら、作曲家は、時代背景や、当時の雰囲気を、作曲家の脳内のツールキットに仕込んである各種のスケールやモードを使って[W]<H>を様々に組み合わせて、クライアントが望む音楽を作り上げていく。

ホラー映画の劇伴音楽を依頼されたら、どういう音の組み合わせが、映画を見る人の怖がらせることができるか?を考えて、音を組み合わせてハーモニーを作っていく。

子ども番組用の曲を依頼されたら、当然、ホラー映画音楽で使う音の組み合わせは避けるだろうね。そのかわり、明るくて楽しい音の組み合わせを使うだろう。  

 

映画プロデューサーから「『ラヴェルの「ボレロ」』に限りなく近い曲を作ってくれ」と依頼された坂本龍一が作曲したのが「Bolerish(ボレリッシュ)」。 もとになった「ボレロ」を知っている人が聴けば、坂本龍一が「ボレロ」のフォーマットを使って作曲したことが、すぐわかる。 坂本龍一のように、クライアントからのどんな要望にも応える曲を作れる音楽のツールキットを持っているのが、本物の作曲家だね。

 

編曲家もそう。編曲家の力によってモトの歌の世界観が一変することがある。 

典型的な例が、昭和50年代(1976-85)に大ヒットした久保田早紀(現: 久米小百合さん)のデビューシングル「異邦人」だ。 久米小百合さんが作った歌の編曲をレコード会社から依頼された編曲家の萩田光雄氏が、「中近東の雰囲気を出してくれ」というクライアント(レコード会社)の依頼に応え過ぎるぐらい完璧に応えて編曲した、その結果が、イントロの出だしから聴く人を中近東の世界にドラマチックに誘(いざな)う「異邦人」の爆発的な大ヒットにつながったといえる。 

 

そして、作曲家/編曲家の「音のツールキット」は、時代とともに、どんどん増えていった。たとえば、

モーツァルトのころには、「ド - ミ」のメイジャーサードが入っている明るい響きを出すには、⓪メイジャーペンタトニックスケールと①Ionian(アィオニアン)と、西洋民謡で使われる⑤Mixolydian(ミクソリディアン)ぐらいしかなかっただろうけど、

前世紀(20世紀)になると:

⓪メイジャーペンタトニックスケール「1 2 3 5 6 = ド ぅれ ミ ソ ラ」

①Ionian(アィオニアン)」「1 2 3 4 5 6 7 = ド ぅれ ミ ファ ソ ラ ティ」

⑤Mixolydian(ミクソリディアン)「1 2 3 4 5 6 b7 = ド ぅれ ミ ファ ソ ラ テ」←V7(ドミナント7)で使うのが一般的

に加えて、

④Lydian(リディアン)「1 2 3 #4 5 6 7 = ド ぅれ ミ フィ ソ ラ ティ」や

沖縄(=Pelog)スケール「1 3 4 5 7 = ド ミ ファ ソ ティ」 

メイジャーブルース「1 2 b3 3 5 6 = ド ぅれ メ ミ ソ ラ」 

メイジャービバップ「1 2 3 4 5 #5 6 7 =  ド ぅれ ミ ファ ソ スィ ラ ティ」 

Augumented(オグメンテッド)「1 #2 3 5 #5 7 = ド ぅり ミ ソ スィ ティ」

Lydian augmented(リディアン・オグメンテッド)「1 2 3 #4 #5 6 7 = ド ぅれ ミ フィ スィ ラ ティ」

そのほかにも、いろいろなメイジャースケールが使われるようになった。 

 

とくに音の進化がすごいのが、Ⅰ度に解決するV7(ドミナント7)のコードに使われるものたちだ。

モーツァルトの時代には⑤Mixolydian(ミクソリディアン)「1 2 3 4 5 6 b7 = ド ぅれ ミ ファ ソ ラ テ」一択だったのが、20世紀以降は: 

Mixolydian #11

Altered dominant

Whole tone

Dominant bebop

Dominant diminished (H-W diminished)

といった代表的なものをはじめ、たくさん選択肢が増えた。 

メイジャーペンタトニックやマイナーペンタトニック、メイジャーブルーススケールやマイナーブルーススケールも、ドミナント7で使うことができる。

そして、ジャズやフュージョンのミュージシャンは、脳内に仕込んだ、これらのたくさんのスケールやモードのなかから、その曲のそのコードの雰囲気に合ったものを、瞬時に使って即興演奏しているんだ。

ところで、ひとつのコードにつかえるスケールやモードが、どうして20世紀に入ってこんなに増やせたかというと、もうわかるよね、

西洋クラシック音楽で「ド ぅれ ミ ファ ソ ラ ティ」の外にアブれていた音たちが、音階のメインの音にどんどん使われるようになっていったからだ。

その最たるものが、アブれていた5つの音を全部入れた、オクターブの12音全てを使った半音刻みのクロマティックスケールで、この記事シリーズでは、クロマティックスケールにおける音の呼び方と、全てのキー(全調)で各種スケールやモードを覚えようとして、私が実際にそれらを活用している方法を、取り扱ったわけです。  

 

20世紀の音楽のもうひとつの進化は、西洋クラシック音楽で期待されるコード進行を、ことごとく裏切るようなコード進行がどんどん使われていったことです。 

また、2つ以上のキーを同時に鳴らす「ポリトーナル」な音楽が試されていき、市民権を得ていきました。

 

そうなると、楽譜上の「C」と「ド」を鎖でつなぐ「固定ド」の「絶対音感」から、「ド」がオクターブ内の12音のどれにでもなれる「移動ド」の「相対音感」が、より便利になってきたのではないでしょうか。

 

逆をいえば、

子どもの頃からクラシックピアノ漬けで大人になってしまった人が、おどろくほどジャズに苦戦する理由は、上記の2つの進化を経験することなく、クラシック音楽の絶対音階である「CDEFGAH=ドレミファソラシ」ベースで耳が固まってしまったからだと思います。

 

このように私が思うのは、私自身が、子どもの頃にピアノを習ったせいで、ダイアトニックな絶対音感しか育たなかったからです。だから、中学生になってフォークギターのカポにビックリ仰天して、結局カポを使って弾くことがどうしてもできなかったからです。

加えて、子どもの頃に、テレビから聞こえる様々な音楽を耳コピして弾くと、どういうわけか、何を弾いてもモーツァルト調になってしまって、ぜんぜんイケてない杓子定規な音楽しか弾けないので、イライラを感じていたからです。 

それは、昭和のピアノのレッスンが、バッハ⇒古典派⇒ロマン派⇒印象派 のように、西洋の古い音楽からはじまり、その間に「ツェルニー和声」をいやというほど叩きこまれるので、印象派をまともにやらせてくれる年齢(音大生以上)までに、古典派クラシックの音楽耳が固定化されてしまって、20世紀以降に爆発的に進化したハーモニーを認識できなくなってしまったからだと、私は強く思っています。

中学でピアノを脱落した私でもそうなんですから、音大卒の人たちがガッチガチの古典派クラシック耳になってしまっていることは容易に想像できます。

そういう音楽の「プロ」の人たちが、ポップスの楽譜を作ると、どこかに彼らの「お里(さと)」が出てしまうような感じがあるような気がします。つまり、ポピュラー音楽の文法を使わずに、クラシック音楽の文法を使ったポップスに聞こえてしまう。

そして、そういうクラシック音楽文法による「ポップス」の楽譜を、クラシックピアノ教育と全く同じ「初級・中級・上級」でランク付けして、それらを演奏するコンクールまで開くことが、日本人の今後の音楽性にどのように影響していくのだろうか?

 

一方で、同じ昭和の時代、公立のとある小学校の音楽の時間に、半音きざみのクロマティックスケールを習った野呂一生さんが率いるカシオペアが、とつぜん彗星のごとく日本の音楽シーンに出現し、それまで聞いたことも無いような軽快で洗練された音楽をもたらしました。 

当時、今よりも東京への文化的な一極集中が激しかったこともあるのかもしれませんが、東京の、とある公立小学校で、子どもたちにクロマティックソルフェージュの音階の呼び方を教える音楽の先生が、たしかに存在していた。 

 

もし、日本中の公立小学校の音楽の時間に、野呂一生さんが少年時代に教わった内容と同じ内容が教えられていたら、日本人の音楽性は超ハイレベルになっていたかもしれません。

 

最後に、現代音楽の学生さんでもない限り、下記の図の音名を全て覚える必要なんて全然ないと思います。 小学校時代の野呂さんも、12音の名前を教わっただけですが、その12音が、ダイアトニックの狭い世界からクロマチックな世界に飛び立つための充分な土台となったわけです。

だから、もし、これらの音名が、スケールやモードを覚える際に便利と感じたら、便利に感じる音の呼び方だけ使ってスケールやモードが覚えやすくなれば、それで良いんです。 

音の呼び名を全種類覚えて得意になっても、実際に音楽を奏でられなければ、なんにもなりません。

 

そして、最後の最後に、セロニアス・モンクのこの言葉で締めたいと思います:

There are no wrong notes; some are just more right than others! - Thelonious Monk 

 

ジャズやフュージョンといった、即興演奏がメインの音楽を楽しみたい人は、この記事シリーズで扱った①Ionian~⑦Locrianの「プレーンバニラ(バニラ味)」のモードだけでは全然足りないので、日夜、様々なモードと、それから立ち上げるコードの組み合わせを、ケンバンを弾きながら覚える日々を送っていることでしょう。

そのうちに、何個も、何十個もモードを覚えていくと、モンク大師の言葉の意味がわかってくるのではないでしょうか。

というのは、一般的な音楽においては、どんなスケールもモードも、12音階(クロマティックスケール)内の音だからです。

だから、モードやスケールをたくさん覚えれば覚えるほど、12音スケール内の音がどんどんカバーされていって、最終的に、1つのコードに12音のどれでも使えるように思うようになるのではないでしょうか。

そしてその頃には、即興演奏中に「これはこのコードだからこのモードで即興演奏する」なんていちいち考えることもなく、スラスラと即興演奏できるようになっているのではないでしょうか。

There are no wrong notes; some are just more right than others! - Thelonious Monk 

 

お読み下さり有難うございました!

 

★スケールやモードの名称や音階番号(数字)表記は、Rick Beato著 The Beato Bookを参考にしました。

 

★和音階やクロマティックソルフェージュをはじめ、この記事シリーズの内容は、ネットの動画やウェブサイトから無料で得た知識と、ネットで知って購入した音楽書籍、そして、スケールやモードを覚えるのに苦労するうちに、クロマティックソルフェージュの存在を知り、「マイナーブルーススケール = ドメファフィソテド」(←この記事シリーズでは「セ」ですが、私は「フィ」を使って覚えました)などと覚えながらケンバンをたどたどしく弾き続けた結果、音楽文法に基づいた即興演奏のための基礎ができた私の経験が、もとになっています。

 

★音楽の素人が書いた無料記事なので、タイポがあったり、内容に間違いがあるかもしれませんが悪しからず! 

 

この記事シリーズが、ピアノや音楽を習いたくても家庭の経済的な理由などでそうできない子どもさんや、独学で音楽を楽しみたい方々の、すこしでもお役に立てれば幸いです。

 

 

この記事シリーズの6年前に書いた記事はこちら ↓

 

 

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このブログは、ピアノを通して音楽を楽しむ音楽愛好家である私ブログ主(tokyotoad)が書いています。 このブログの現在の名称「ピアノ方丈記」のコンテンツは、このブログの過去の名称「音楽の彼岸のピアノ遊び」や「音楽の彼岸(ひがん)」等の同じ意味の日本語/外国語表記の名称におけるこのブログのコンテンツと同一のものです。一時期アメーバブログで「おんがく(音楽)の細道」という題になっていました。