20250316にnoteに書いた記事です👇
前回の記事(その①)からの続きです。
おそらく加齢によってダイアトニックベースの絶対音感がズレた、ツェルニー和声(笑)しか持たない50代の私が、どのように移動ドクロマティックソルフェージュとコードスケール理論を組み合わせてアドリブ演奏ができるようになることを目指していったのか?そして今現在もそうしているのか?
簡単に言い表せるので書くと:
①代表的なスケール(5種類)と各スケールのモード(7種類)を、移動ドクロマティックソルフェージュを使って覚えていく。特に苦手なキーを重点的に覚えていく。
②左手でコードのキーとなる音を押さえながら、右手で①で覚えたスケールとモードを弾いて、覚えていく。
以上です。
とっても簡単でしょ!
でも、
この世のあらゆる物事と同じで、
言うは易く行うは難し。ですね。
そして、
私は、①②をかれこれ4年以上も続けていますが、いまだに12キーで全てのモードを完璧に覚えられていません。
そんなもんです。
ただ、①②を続けることによって、即興演奏のための「音楽の足腰」が確実に出来てくるという実感を持っています。
ただ、私も、①②を始めたころに、その道程の途方も無さに、早くも挫折しかかりました。
そんなときに、大きな励ましとなったのは、
同じように独学でジャズピアノの道を力強く歩んでおられる
私と同じ素人ピアノ愛好家さんたちのサイトや動画でした。
その一つが、「ジャズピアノ ゼロからの独学」というサイトで、
ピアノ初心者のブログ主さんが、ジャズピアノを独学していく過程が綴られています。
そして、
「結局は、独学なのだ、自分で試行錯誤しながら、やり続けることなのだ」ということに、痛いほど納得しました。
本当に勇気をもらえました。感謝しかありません。
もう一つが、Walk That Bass という英語サイトです。
たぶんオーストラリア人の、素人ジャズ愛好家さんによる、
とてもよくまとまった音楽理論と実践のサイトで、
とてもためになると同時に、
素人愛好家の音楽愛の底力を感じて、とても励まされました:
https://www.thejazzpianosite.com/
👆この人のユーチューブもよく見ていました:
https://www.youtube.com/watch?v=hxsan-SsE20
そして、
上記のお二人の先達さんのコンテンツから、私は、
特にジャズを求道する音楽愛好家さんたちは、
ある程度求道すると、自分が培ったノウハウや知見を体系的にまとめて発表したい気持ちになるんだなぁ。
と思いました。
そして、
ジャズ愛好家というほどのものでもない私も、
独学で試行錯誤を続ける中で、ネットから得た無料の情報をもとに自分で工夫した移動ドクロマティックソルフェージュについて記事を書いたり、
そして今回書いている、移動ドクロマティックソルフェージュとコードスケール理論を組み合わせて真の音楽の基盤を固める、私なりの方法を公開したい気持ちになりました。
それは、
上記のお二人の他にも、ネットから無料で沢山のプロや先達さんたちのコンテンツ(とくにRick Beato(リック・ビアート)氏の動画)のお陰で、独学することができているので、私もネットに何かお返しできたらと思ったからです。
(ただ、特にジャズにおいては、ソロピアノだけを追求するのでなければ、素人向けのセッションに参加して、実地の経験をたくさん積むことが最も重要だと思います)
私が独学しながら工夫して続けている、
①代表的なスケール(5種類)と各スケールのモード(7種類)を、移動ドクロマティックソルフェージュを使って覚えていく。
についてですが、
代表的なスケール(5種類)とは:
①メイジャースケール
②ジャズのメロディックマイナースケール
③ハーモニックマイナースケール
④ハーモニックメイジャースケール
⑤ダブルハーモニックスケール
です。
この①~⑤に、それぞれ、7種類のモードがあります。
上記のほかにも、ぜひ覚えたいスケールが、
⑥ディミニッシュスケール(2種)
⑦ホールトーンスケール(2種)
⑧オグメンテッドスケール(1種)
⑨ブルーススケール(2種)
⑩ビバップスケール(3~4種)
そして、
わすれてはいけないのが👇
⓪ペンタトニックスケール:
メイジャーペンタトニック
マイナーペンタトニック(民謡音階)
沖縄音階(ぺログスケール)
平調子(ひらぢょうし)
陰旋(いんせん)
などのペンタトニックスケール群です。
ちなみに、
平調子(ひらぢょうし)は、メタルのギタリストがアドリブ演奏で使っています。
陰旋(いんせん)は、Mark Levin著 'The Jazz Theory Book' にも掲載されています。 そして、あのTスクエアの代表曲、和泉宏隆氏作曲の「宝島」のイントロ出だしのしょっぱなのコードがそうだと思います。その後すぐに、陰旋(いんせん)を含む 「Dorian♭2 (=Phrygian natural6)」という、メロディックマイナーの2番目のモードになるところが、個人的に絶妙でスゴイと感じます。
上記のスケールのほかにも、世界中にはいろいろな組み合わせのスケールがあり、現代音楽は、いわゆるメイジャースケール、(西洋古典音楽の)メロディックマイナースケール、ハーモニックマイナースケール以外のスケールをよく使います。
そして、
「日本人なのに、日本の伝統音楽で使われているスケールを知らなかったなんて、情けないことだ」
と、私は自戒したのです。
でも、それはある程度は仕方がないことでした。
私が小学校の頃の音楽の授業は、西洋音楽一辺倒だったからです。
このように、自分の国にいながら自分の国の文化を教えられずに大人になることを、文化的貧困といいます。
今では、小学校で和楽器に接することができるようなので、今の子どもたちの方が、私の世代よりもはるかに文化的な豊かさの中で育っていて、とてもうらやましいです。
それから、
スケールやモードに興味がある人は、エレキギターのギタリストや愛好家を参考にすると良いと思います。
何故なら、エレキギター奏者は、アドリブ演奏のために、上記のスケールやモードに熟達する必要が有るので、当然スケールやモードの知識が豊富だからです。
(ホーン奏者も、当然ながらスケールやモードの知識がないとアドリブ演奏できませんが、スケール/モードに関するエレキギター奏者の 'オタク度合い' はズバ抜けているという印象を、私は持っています。 )
ギタリストでコントラバス奏者でもある音楽プロデューサーRick Beato(リック・ビアート)氏の動画は、この記事で挙げた主なスケールとモードをわかりやすく紹介してくれていて、一見の価値が有ると思います(私は、Beato氏の、主にギター奏者向けの音楽理論電子本 'The Beato Book' をダウンロード購入して、スケールとモードの参考に使っています)。
さいごに、
私は、ジャズ和声に興味が有るのと、英語ぐらいしかわからないので、ネットから無料で得る情報はイギリス語圏とアメリカの情報に偏りがちですが、自分の音楽的志向は日本的で、日本のインスト系ケンバニストさんたちの音楽と並んで、寄席の出囃子・三味線漫談や歌謡曲・演歌などの近現代の大衆音楽を聴くのが好きです。
コロナ前には寄席に通い、高額なので頻繁には行けませんでしたが歌舞伎も観ていました。
歌舞伎の音曲や清元、歌舞伎役者の歌うような発声は、生で聴くと大変美しく、自分の骨や身に心地良く共鳴するのがわかります。
自分の国の独自の音楽に親しむことは、自分の音楽の精神的な基盤になり、文化的な健全性を育みます。
ことに音楽に関しては、欧米からの情報が「エラい」「進んでいる」と盲目的に無条件に土下座してしまいがちです。
しかしながら、
日本の伝統音楽に対する自信を持っていないと、何をどう頑張っても、結局は自信の無い音楽表現になってしまいます。
自信の無い音楽表現は、どんなに技巧的に上手くても、音に力が無いので、聴く人の心に刺さらず、結果的に上手く聞こえません。
実際、クラシックピアノ教育を受けた日本人のクラシックピアノ演奏は欧米に比べて遥かに上手だと思います。
自信を持って演奏さえすれば、日本人のクラシックピアノ演奏は、欧米のカウンターパートよりも遥かに上手に聞こえるはずです。
クラシックピアノ教育に特徴的な、楽譜と固定ドへの居着きを生む機械的なレッスン方法は、アメリカでもイギリスでも同じです。
そういうことは、ユーチューブを視ていれば、すぐにわかります。
イギリスのクラシックピアノレッスンを「robotic(ロボティック。ロボットのような)」と表現し、クラシックピアノ経験者がジャズピアノに挑戦する際に直面する心理的なブロックについて語り合う、イギリスのジャズピアニストたちの対談動画を最近視ました。これです👇
https://www.youtube.com/watch?v=wzluLrGxrDk
👆ジャズに挑む日本のクラシックピアノ経験者が直面する心理的ブロックと寸分たがわぬ、全く同じ内容を話しています。
アメリカのピアノ教師の団体か何かの模範演奏をアップする動画を視ましたが、模範演奏をするピアノの先生の演奏が、まさにroboticで、演奏音も一本調子のガナるような音で、お世辞にも美しい演奏とはとてもいえないものでした。
ところが、コメント欄には、「この先生がどんな楽譜も初見で演奏していることが、驚嘆すべきことなのだ」という、誰かのコメントが付いていました。
初見崇拝と機械的な再現演奏が賞賛される文化的背景を感じましたが、
日本人のピアノ教師の演奏のほうが遥かに音がマシだと思いました。
(アメリカは西洋クラシック音楽の '輸入国' であり、アメリカ人が真に自分のものにしている音楽はジャズだと私は思います。 アメリカは、ヨーロッパでは、ありません。 アメリカをヨーロッパと同一視すると、とんだ誤解を育んでしまうことになると、個人的に注意しています。)
大陸ヨーロッパの事情は知りませんが、すくなくともイギリスとアメリカにおけるクラシックピアノ教育は、日本のそれと大差ないことが、よくわかります。
欧米帰りの日本人音楽家(とくに自費留学者)の言うことを真に受けて、彼らが吹聴する '情報' に振り回されてしまう…、そういうことのないようにすることも、非常に重要なポイントだと思います。
欧米帰りの自費留学者は、そもそも自費(というか実際には親のおカネ)で留学しているため、国費留学生のような矜持に欠けていると考えられます。
また、留学先の国の言葉が片言程度で留学に踏み切る人も少なくない思われるので、彼らが情報を誤解して取り込んでいる可能性が否めません。
さらに、欧米では、有色人種の日本人は基本的には差別の対象ですので、彼らは留学先で、母国のプライドを剥奪されている可能性が高い。
そういう人たちがひとたび母国である日本に帰国すると、潰されたプライドを補填するかのように、日本人の同胞たちを見下して威張り散らす可能性が有る。
私も若い頃に英語圏に数年住む機会があり、かの地の現地専門学校を卒業した経験があるので、留学先で彼らが置かれた環境や彼らの心理が、よくわかります。
欧米の情報が知りたければ、欧米人が書いたサイトや動画から直接情報を得るようにするのが、日本国内にいる日本人にとって一番有益な方法だと思います。
今は、自動翻訳や、動画の字幕機能が有ります。 真に熱中している分野の内容は、熱中して読み続けているうちに、自然に専門用語が覚えられて、必ずスラスラわかるようになると、私の実体験から思います。 私が、そのようにして、英語の音楽動画を聴くことが出来るようになったからです。
真に熱中しているものは、続けていれば必ず掌握できることを、私は知っています。
次回に続きます。
~ピアノ方丈記~