ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ一人遊びの日々

ピアノと、夏のエアコン冷房による過乾燥と湿度戻り

 

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を書いてから、夏場のピアノの湿度管理に注意しているが、これは容易ならざることだね。

 

大変さの原因は:

 

夏のエアコン冷房による過乾燥と「湿度戻り

住んでいる家やマンションの冷房設備によって、また、ピアノが置いてある部屋の特性によって、夏のエアコン冷房による過乾燥と「湿度戻り」による多湿、という湿度の乱高下への対処は、ピアノ所有者それぞれに異なるだろう。 

私の場合は、晴れた夏の日の午後~夕方のエアコン冷房によってピアノの置いてある部屋の湿度は40%を割り込む。 そういう日は、気化式加湿器をフル回転にして、なんとか40%を下回らないレベルに維持するのがやっとだ。 逆に、夏の明け方に、エアコンの「湿度戻り」が原因なのか、湿度が突然上昇して60%を超えていく。 

部屋の温度は一日中ほぼ一定で、変わったとしても2℃の範囲内に収まるが、湿度の変化は35%~65%の間で乱高下する。 エアコン冷房が室内の温度を一定に保つために、いかに「湿度の一定」を犠牲にしているか、を実感した。 

全館空調の家や、何十畳の広いリビングルームの一角にグランドピアノを置いているような場合は、ピアノのための湿度の管理は容易ではないだろう。 また、ピアノの練習部屋みたいな狭い部屋にピアノを置いている場合は、空間が狭いだけに湿度の変化も激しいかもしれない。 

日本や英語のサイトや動画を見た結果、21世紀の住環境において、世界中どこでも、ピアノの一番の敵は年間の湿度の大幅な変動過乾燥であることを知った。 ところが、とくに日本の場合は、「高温多湿のモンスーン気候の日本!」というイメージが刷り込まれてしまっているが、これは夏の屋外の話であり、冷房が効いた夏の室内の状態は異なることが大きく見落とされている!ということを私は感じている。 

大いに見落とされているのが、夏のエアコン冷房による過乾燥である、と私は思った。 

不思議なことに、「夏場のエアコン冷房による肌荒れ」に関する情報はゴマンとあるのに、「夏場のエアコン冷房によるピアノの過乾燥」に関する情報はほとんど無い。 人間と同じ温度&湿度が、ピアノにとっても良いということだが、私たちの脳の中で、夏場のエアコン冷房による過乾燥による肌荒れが、ピアノのケアに結びついていないようだ、調律師も含めて! 

ピアノが置いてある環境によっては、夏場に加湿器を使う必要がある場合もあるだろう。 というか、私は実際、昨日の午後に加湿器をフル稼働させて、湿度がなんとか40%を切らないように奮闘していた。 譜面台の端にアナログ湿度計のひとつを置いて弾いていると、ものの10分もしない間に湿度が10%変化する。針がゆっくり動くのが目視で確認できるほどだ。 扉も窓も閉め切った部屋の中で、温度はほとんど変わらないのに湿度だけが急に変化するのは、エアコンが原因としか思えない。 湿度の変化は、エアコンの冷房が稼働しているかオフになって送風状態になったかで変化するようであるが、原因がよくわからない時もある。  

いままでの、「ピアノ趣味とは、ピアノを練習して上手くなること!」という「お子様ピアノレッスン」の刷り込み状態から、ようやく、「どんなにパッセージを完璧に弾けても、メンテナンスの悪いピアノからは悪い音しか出ない!大人のピアノは、まずはピアノのメンテナンスから!」という大人ピアノの世界に、大変遅まきながら、ようやく移行しはじめている。

 

市販の湿度計の表示のバラツキ

上記の①に書いた、私の場合のピアノを置いてある部屋の「湿度の変化は35%~65%の間で乱高下する」というのは、複数の温湿度計を総合した数値だ。 つまり、私が同時期に買った複数の湿度計のうち、湿度計A(誤差±2%)は35%~55%、湿度計B(±5%)は40%~60%、湿度計C(±5%)は45%~65%を表示するという振れ幅だ。 さて、これらの湿度計ABCの、いったいどれが正確な数値を示しているのだろうか? 食塩水をつかった実験をすると、湿度計の正確さを調べることができるそうだがそんな綿密で根気のいることは私にはできないよ! ネットでちょっと調べただけですぐにわかったのは、私がポチったような数千円程度の市販の湿度計では、「湿度高め or 乾燥気味」程度のザックリとしたことしかわからない、ということだ。 だから、「ピアノの部屋には湿度計を置いて湿度を管理しましょう!」という文言は、確かに合ってはいるが、湿度計をたった1個置いている場合は、その湿度計の数値にヤマを張る博打になっているということだ。 というのは、湿度が高めに表示される湿度計が40%と表示されている場合、実際の湿度は30%台の可能性があるからだ。 逆に、湿度が低めに表示される湿度計を使っている場合は、湿度が59%と表示されていても、実際の湿度は60%を超えている可能性があるからだ。 さあ、こうなってくると、いったいどの湿度計の数値を信じればいいんですか? そういうこともあって、ピアノメーカーやピアノ販売業者のサイトには、幅を持たせた湿度の目標が謳われているのだろうか?  市販の湿度計の数値がアテにならないことについての実験は、日本の農家の方のサイトや全館空調住宅を購入した方のサイトが、ググればすぐに出てくる。 また、ピアノワールドのフォーラム(英語)で、市販のお手頃価格の湿度計がアテにならないという内容を、ある調律師さんが述べている。 ピアノ管理でよくいわれる「湿度40%~60%」を目標にはしているのだが、市販の湿度計の表示にはバラツキがあるということを知ったので、真面目にとりくみすぎても甲斐がない、と思った。

 

私は、空調による過乾燥が原因とみられるピアノの響板割れとアクションパーツの損傷を経験したので、二度とこのような愚行を繰り返さないために、大変遅まきながら、大人のピアノの中核であるピアノ自体のメンテナンスを探求していこうと思う。 ただし、発狂するまで正確に突き詰めることはしない、というか、上記のように、実際問題として湿度を正確に管理するなんて不可能だと、個人的に感じているし、「ピアノは非常に繊細な楽器です!」といっても、ピアノは大型の楽器なので、小型の楽器でしかも木よりも乾燥に弱い竹で出来ている尺八よりも、はるかに図太い楽器だ、と私は思う。 湿度の管理はザックリとしかできないことがわかったし、ザックリでもやらないよりはやったほうがよい、ということもよくわかった。

 ※尺八のメンテナンスに関するサイト:https://www.soundhouse.co.jp/contents/staff-blog/index?post=482

  ↑上記のサイトの文章の中に「乾燥したヨーロッパでは」みたいな内容が書かれているが、これも誤解がある。正しくは、「ヨーロッパの乾燥した屋内環境では」であろう。ひとくちに「ヨーロッパ」と言っても海に囲まれた島国のイギリス(高湿度)とドイツの内陸部と地中海沿岸諸国では気候が大きく違うだろうし、屋内で暖房を炊く冬は、どの国でも「乾燥したヨーロッパ」になるのは自明の理だ。そして、今年も熱波に襲われ山火事や多発するヨーロッパの夏は、もはや冷涼ではない。日本の夏の、冷房が効いた屋内の方がよっぽど冷涼で乾燥している。その国や地域の「気候」と、ピアノを置く室内の環境は、まったく違うものだということに、どういうわけか人間は気がつかないようだ。

tokyotoad1.hatenablog.com

 

tokyotoad

 

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このブログ「おんがくの彼岸(ひがん)」は、私 tokyotoad が、中学卒業時に家の経済的な事情で諦めた(←諦めて命拾いした!と、今しみじみ振り返って背筋がゾッとしている)、「自分の思いのままに自由自在に音楽を表現する」という夢の追求を、35年ぶりに再開して、独学で試行錯誤をつづけて、なんとかそのスタート地点に立つまでの過程で考えたことや感じたことを記録したものです。

「おんがくの彼岸(ひがん)」というタイトルは、「人間が叡智を結集して追求したその果てに有る、どのジャンルにも属さないと同時に、あらゆるジャンルでもある、最も進化した究極の音楽が鳴っている場所」、という意味でつけました。 そして、最も進化した究極の音楽が鳴っているその場所には、無音静寂の中に自然界の音(ホワイトノイズ)だけが鳴っているのではないか?と感じます(ジョン・ケイジはそれを表現しようとしたのではなかろうか?)。 西洋クラシック音楽を含めた民族音楽から20世紀の音楽やノイズなどの実験音楽まで、地上のあらゆるジャンルの音楽を一度にすべて鳴らしたら、すべての音の波長が互いにオフセットされるのではないか? 人間が鳴らした音がすべてキャンセルされて無音静寂になったところに、波の音や風の音や虫や鳥や動物の鳴き声が混ざり合いキャンセルされた、花鳥風月のホワイトノイズだけが響いている。 そのとき、前頭葉の理論や方法論で塗り固められた音楽から解き放たれた人間は、自分の身の中のひとつひとつの細胞の原子の振動が起こす生命の波長に、静かに耳を傾けて、自分の存在の原点であり、自分にとって最も大切な音楽である、命の響きを、全身全霊で感じる。 そして、その衝動を感じるままに声をあげ、手を叩き、地面を踏み鳴らし、全身を楽器にして踊る。 そばに落ちていた木の棒を拾い上げて傍らの岩を叩き、ここに、新たな音楽の彼岸(無音静寂)への人間の旅が始まる。

tokyotoadのtoadはガマガエル(ヒキガエル)のことです。昔から東京の都心や郊外に住んでいる、動作がのろくてぎこちない、不器用で地味な動物ですが、ひとたび大きく成長すると、冷やかしにかみついたネコが目を回すほどの、変な毒というかガマの油を皮膚に持っているみたいです。

 

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↑ 不本意にもこんな野暮なことを書かなければならないのは、過去にちまたのピアノの先生方に、この記事の内容をパクったブログ記事を挙げられたことが何度かあったからです。 トホホ...。ピアノの先生さんたちよ、ちったぁ「品格」ってぇもんをお持ちなさいよ...。