おんがくの彼岸(ひがん)

「出すぎた杭」の大人ピアノならではの自由と醍醐味(だいごみ)を楽しむtokyotoadのブログ

ピアノと、エアコンの「湿度戻り」

 

ピアノのための湿度管理とエアコンの「湿度戻り」の関係についての記事が現時点でネット上に見当たらないので、

今現在の自分の考えや試行錯誤を以下にまとめる:

 

以下の内容は、私の個人的な体験に基づくものなので、他の人が参考にすると、効果が無いばかりか、かえって逆効果になる可能性もある。 ピアノの維持管理は、ピアノ個体・置かれた場所の環境・所有者の意識・...といった、多くの要素に大きく左右されるからだ。 要は、何事も、自分の脳で考えて試行錯誤して、自分の場合の最適な方法を、自分で工夫し続けていくことしかないのだ。

 

ピアノの湿度管理とエアコンの「湿度戻り」の関係について、調べるようになったのは、ピアノを置いている部屋の湿度の乱高下に気づいたからだ。

部屋の温度を一定に保つのは造作もないのだが、湿度の変化が急激に起こるので、その理由が皆目わからなかった。 

ネットで調べたら、エアコンには「湿度戻り」という現象があり、それによって、急激な湿度の変化が起こることを知った。

エアコンといっても、エアコンが部屋ごとに設置されている場合と、全館空調の家とでは、「湿度戻り」の性質も違うかもしれないので、結局は、自分自身で、ピアノの置いてある部屋の湿度の変化をモニターして、それに応じて対策をとる以外に方法は無いんだな、と思った。

 

ピアノの湿度管理だけでなく、ギターや三味線や和太鼓の湿度管理に関するサイトも、大いに参考になっている。 ピアノより小型の楽器のギターは、大型のピアノよりも温度や湿度の変化の影響を受けやすい、と思うからだ。 和太鼓は、動物の皮を張っているために、湿度の変化をシビアに受けやすく、最悪の場合、皮が破れてしまって、使い物にならなくなり、皮の張り替えが必要になる。 三味線は、ギター(木材)と和太鼓(皮革)のデリケートさを併せ持っている。 

 ↑ 三味線や和太鼓に使われている動物の皮革は、木材よりも環境の変化に弱い、と想像する。 理由は、動物の細胞壁は植物の細胞壁より薄くて弱いからだ。 「便秘解消にサラダが良い」というのは、植物の繊維の細胞壁が分厚いので人間の腸内で消化されにくいからだ。 肉や魚なんて、胃袋に入った段階で胃酸で溶けてしまう。

これらの小型楽器に比べれば、ピアノの湿度管理は単純ゆるやかなのかもしれないが、大型楽器のピアノでやっかいなのは、入れ物である部屋全体の湿度を常時管理する必要があることだ。 とはいえ、小型楽器を弾く人はギターなり三味線なりを何本も所有しているだろうから、結局は部屋全体の湿度管理をする必要があるのだろう。

 

住宅の進化がピアノの維持管理に与える影響は、思いのほか大きそうである。「多湿の日本!」というお題目は、もはや、高気密住宅や全館空調の住宅には当てはまらないようだ。 夏の室内は「低温乾燥の日本!」になっていることが多いし、一日のうちに「低温乾燥の日本!」⇔「低温多湿の日本!」⇔「常温多湿の日本!」⇔「常温乾燥の日本!」⇔「多湿の日本!」と目まぐるしく変化する部屋もあるだろう。 エアコンや空調設備の「湿度戻り」現象が、その原因のようだ。 現代の住宅に例外なく備わっているエアコンは、室内の温度を一定に保つことにおいては優秀だが、それは、「湿度の一定」を犠牲にして成り立っているようだ。 そのため、夏場には、室内の温度は一日中変わらないのに、湿度だけが乱高下する状態が生まれる。 一方、冬場の室内は、一日中エアコン暖房が稼働して過乾燥状態になり、楽器の破損につながる可能性もある、というか、実際に私は、過乾燥が原因と思われる、アップライトピアノの響板割れとアクションハンマーの破損、電子ピアノのアクションハンマーの破損、海外の民族楽器の太鼓の皮やぶれを経験した。 部屋のフローリングの床材が欠けたのも、過乾燥が原因だったのではないか、と今さらながら思う。 とりわけ、アップライトピアノのアクションハンマーの破損は痛過ぎて、後悔先に立たず!であった。 ハンマー交換後にそのキーだけ音質が著しく異なってしまったことで、実質的にピアノが「終わってしまった」のかもしれない...と感じたからだ。 過乾燥は、楽器を破損させ、その価値を無にする。 スタインウェイピアノのオーナーたちが湿度管理に神経質なのも、ポールソンさんのファンドに買われた後のスタインウェイジャパンの社長さんが高級家具業界出身者だったのも、一理有りそうだ。 富裕層が投資対象として購入することもあるスタインウェイピアノは、高級家具と同様に、乾燥などによる破損によって、資産価値が著しく棄損するからだろう。

 

私が、ピアノのための湿度管理で参考にしているサイトは以下のとおりだ。 ピアノ調律師さんたちが綴った内容に戦慄を覚えたり、ピアノの専門家ではない理数系の人たちの深い知見に平伏してばかりだ。 下記のリンク先の掲載主の皆様に心から感謝する次第だ。(もちろん、下記や他のサイトの内容のうち、自分が納得した内容だけを参考にしている)

 は、特に参考になったサイト:

ピッチ変動と湿度の関係|渡辺ピアノ調律事務所

快適住宅設備とピアノ | 鎌倉ピアノ芸術社 | Tel : 0467-47-1502

ピアノクリニックヨコヤマ|ヨーロッパ輸入ピアノ専門店・調律・ピアノ修理・ピアノ買取 ←国産ピアノも同様の湿度管理が必要。

エアコン除湿の難しさ。必要な熱をいかに適度に取り入れるか | さとるパパの住宅論

ピアノにとって湿度の乱高下は大敵 | 太田忠の縦横無尽

ピアノにとって最も重要な「湿度管理」 | 太田忠の縦横無尽

新築へピアノを置く時の置き場所や間取り以外の注意点について│トシブログ~ピアノユーザーのための調律師ブログ~

ギターの湿度管理(湿度変化によるピッチの上がり下がりはピアノと同じ):https://www.soundhouse.co.jp/contents/column/index?post=1391

湿度管理 | さとるパパの住宅論 ←とても参考になる(アナログ湿度計の誤差の考察など)

みんな間違っている湿度の話

太鼓はどのような場所に保管すればいいのか? - よくある質問 - 川田太鼓工房

湿度戻り(湿気戻り)に悩まされる私💦|みかん好き|note

エアコンの湿度戻り | 「家は、空調。」セカンドチャンネル

全館空調のメリットデメリットと我が家の電気代*入れ替え費用に驚愕! | 憧れのフレンチシックインテリアへ

ピアノのお手入れ | ピアノ調律センター・エムパレス

電子ピアノは梅雨にも強いけれど、ケアはしてあげよう!

ピアノの為に湿度を一定にする3つの効果的対策を考えてみた! | dotmillis

雨の日の高湿度はエアコンと除湿機の併用で解決!【除湿機活躍しすぎです】 - shosanblog

みはりん坊Wを買うと家作りが理解しやすくなる | 「家は、空調。」24時間全館冷房(除湿)by 一条工務店

 

 

ピアノのための理想的な室温・湿度は、室温20度・湿度50%です」

と、ありとあらゆるピアノ販売/調律関係サイトに、お題目のように謳われている。

しかし、 コンサートホールの、温度・湿度が一定に保たれたピアノ保管庫ではない、

一般住宅に住む一般ピープルにとって、最も知りたい情報は、「室温20度・湿度50%」ではないはずだ。 私がそうだ。

だってそうでしょう?

年間を通じて、室温20度の部屋で暮らしている人って、ほぼいないでしょう?

夏場は、電力逼迫や省エネを意識して室温が28度になることもあるし、冬場は室温が20度を下回ることもある。

だから、

「ピアノのための理想的な室温・湿度は、室温20度・湿度50%です」

と言われると、

「じゃあ、たとえば、夏場に室温25度の時は、湿度を何%にすればいいの?」

って聞きたくなるでしょう?

専用のピアノ部屋にピアノを置いてあっても、夏場の室温20度って、弾く人が寒すぎない? 私は凍えてしまうよ。 だから、

「夏場に室温25度の時は湿度を何%にすればいいの?」 

でも、

それを直接調律師さんに聞ける雰囲気ってある?

なんか、遠慮しちゃうんだよね。

さらに、

「ピアノのための理想的な室温・湿度は、室温20度・湿度50%です」

の、「湿度50%」って、

「相対湿度が50%」ってことだそうだよ。

相対湿度って、何?

絶対湿度っていう言葉もあるけど、

どう違うの?

って思わずにはいられない。

さらに、追い打ちをかけるのが、

湿度計ごとの表示のバラツキだ。 

湿度計Aと湿度計Bの間で湿度の表示が10%違うということが、実際に起こる。

これが悩ましいポイントは、

アナログ湿度計の表示湿度が40%を下回っている一方で、

デジタル湿度計の表示が40%台半ば、という場合だ。

ピアノのための湿度の下限は一般に40%や45%と言われるからだ。

こういうことが実際に起こるので、

私は、上記のサイトを参考にしながら、自分のピアノのための適切な湿度管理を試行錯誤している。

湿度計は、個体ごとに誤差があるので、できれば湿度計を複数持つと、表示のバラツキを実際に目の当たりにできる。

口コミサイトや商品レビューや、なによりも、自分の個人的な経験から、

デジタル湿度計は、アナログ湿度計よりも、表示湿度が高い傾向がある、と感じている。

絶対湿度が計れる湿度計は、空気の中の水分の量がわかるので便利だと思うが、表示の数値が高めに出るような気がしている(が、上記のリンク先のひとつは、「見張りん坊Wの表示はかなり正確」と書いている。もちろん、それを信じるかどうかは、自分次第だ)。

そんなことをしているうちに、とうとう、自分の喉(のど)で湿度を感知しようとするようになった。 表示数値がバラバラな複数の湿度計よりも、今、自分の喉がカラカラに乾燥しているかどうか?の感覚の方が信用できるのではないか?と思うようになった。 人間の喉がカラカラに乾燥していたら、ピアノにとっても乾燥し過ぎだろう、と思うのだ。 結局、計測器を参考にしながら、最終的には、自分が持って生まれた「野生の勘」に頼ることになるんだなぁ、と実感している。 それが王道だ。高度にテクノロジー化した現代人の一生も、実のところは石器時代と変わらず、野生の勘で生き延びていくしかないんだ。

大型楽器であるピアノの湿度管理は、一日のあいだに起こる湿度の乱高下よりも、年間の季節の変化による湿度の振れ幅の大きさに注意をする必要があるのだろう。 とはいっても、晴れた日の24時間内に室内の湿度が40%上下動するのを見るのは、あまり気持ちの良いものではない。 エアコン稼働時の乾燥状態と、送風時(エアコン停止中)の「湿度戻り」の状態の、ギャップの大きさを実感している。 そして、絶対湿度の観念に興味が湧いてくる。

 

除湿器・加湿器:

除湿器や加湿器や、除湿と加湿が一体型になったものなどが売られていて、調律師さんのお勧めの機種の情報をネット上で得ることができるが、夏も加湿器を稼働させて冷房による過乾燥をくい止める必要がある家もあるかもしれない。 夏場のエアコンの使用は、【冷房による空気の過乾燥 ⇔ 冷房停止時の「湿度戻り」による湿度の急上昇】という、湿度の乱高下をまねく可能性があるので、 単純に「夏は除湿器だけ・冬は加湿器だけ」とはいかないようだ。

 

上述の内容とカブるが:

私がピアノのための湿度管理に注意している理由は、

過去に、過乾燥が原因とみられる破損をアコースティックピアノと電子ピアノで経験したからだ。

アコースティックピアノ(アップライト)は、響板割れが発生し、アクションが破損した。

響板割れは、ある時突然、その日に来た調律師さんに指摘された。

アクションの破損は、そのキーのアクションハンマー部分を交換することになり、その結果、そのキーの音だけ、新しいアクションハンマーになって、フェルトが挟まったような音になってしまった。 ピアノを弾いていて、とても気になってしかたがない。 次回の調律で音を調整してもらうつもりだが、年数の経ったピアノの、ひとつのキーのアクションハンマーが破損して交換すると、そのキーだけが他のキーの音と全く異なる音になってしまって、事実上は、そのピアノは「終わってしまった」ことになってしまうのかもしれない、と、思ったのだ。 もっと湿度、とくに過乾燥に注意していれば、愛着の有るピアノを「終わらせる」ことはなかったかもしれない、と、悔やんでも悔やみきれない!

電子ピアノも、木部のアクションが破損して、修理を呼んだ。 電子ピアノだから、音の質の変化はなかったが、過乾燥に注意をしていれば、修理にお金を使う必要は無かった。 電子ピアノは、電子ピアノに特有の難しさがあると思う。 それは、「電子ピアノだから丈夫で壊れにくい」という思い込みだろう。 電子楽器には半導体が使われている。 半導体が湿気を嫌うことは、こんな私でも知っている。 30年以上前、半導体の在庫は、大きなガラス瓶に入れて、シリカゲル(湿気吸収剤)を一緒に詰め込んで保管していた。 上記にリストしたサイトのひとつに、室内が異常に高湿度になって電子楽器が動かなくなった話が載っているが、これも、エアコン停止後の「湿度戻り」によって大量の湿気が部屋内に流れ込んで湿度が急上昇したことが原因ではあるまいか? 半導体については、サイレント機能を搭載したアコースティックピアノも同様で、アコースティックピアノの所有者は湿度の管理に注意するだろうが、サイレントシステムという電子機能を搭載していることにも留意するべきだろう。 電子ピアノには、アコースティックピアノと同じような木製のアクションを搭載したモデルがあり、そのうえ、電子ピアノはアコースティックピアノに比べて小型だ。 小さい物体は、大きい物体よりも、環境の変化の影響を受けやすい。 つまり、電子ピアノのほうが、コンサートグランドピアノよりも、環境の変化をシビアに受けるといえる。  

 

「高温多湿の日本!」「モンスーン気候の日本!」「いつもジメジメしている日本!」と、「いつも進んでいる西洋」に対して自虐的に唱えられていた頃を覚えている世代の私のような人間は、「多湿は悪いことで、乾燥は正義だ!」と無意識に思う、世代的なマインドセットが有るように思う。 実は、日本は、北から南に細長く、春夏秋冬がはっきりしていて、日本国内の各地で気候が大きく異なる。 おなじ冬でも、豪雪に見舞われる地域もあれば、雨も降らずに極度に乾燥する地域もある。 関東平野は、冬の間は、北関東の山岳地からの「からっ風」が吹き下ろして、湿度が低くなって乾燥する。 江戸の頃、「火付け」の犯罪が極刑で処罰されたのは、そんな冬場にひとたび火事が起きれば、伝統的な家屋は面白いように燃え、からっ風に乗ってあっという間に近隣に延焼し、多数の焼死者が出る甚大な被害になったからである。 そうはいっても、換気の無い場所は、夏場に湿気がたまって、カビの温床になる。 わたしは、子どもの頃から、カビの発生を敵視してきた。 子どものころ、押し入れに大切にしまっていたお人形さんたちが、緑のカビに覆われてしまって、泣く泣く捨てたという、記憶。 社会人になって、洋服クローゼットの奥に閉まっていた「晴れの日」用のワンピースを、友人の結婚披露宴に行く当日に取り出したら、緑のカビが生えていたという、記憶。 フルタイムの仕事と家庭で1分でも時間が惜しいなか、風呂場のカビは風呂掃除の時間を増やす。 よって、カビを生む多湿は悪!カビが生えない乾燥は正義!というのが、私の人生だった。

加えて、一般庶民の家にエアコンというものが無かった1970年代には、湿度管理なんていう概念自体が、そもそも無かった。 せいぜい扇風機を回して換気するしか、方法が無かったのだ。 一般家庭の住居の湿度管理なんてそもそも不可能だった時代に子ども時代を過ごしたという、世代的な要因も大きい。 

それに、子ども時代はもちろんのこと、中年以降にピアノを再開してからも、ピアノの先生からピアノの湿度管理について言われたこともなく、過去の調律師さんから言われた記憶もなく、「乾燥していることは良いことだ!」とずっと思っていたことで、新築の家で冬場の過乾燥を何年も放置し続けて、愛着の有るピアノに響板割れとアクション破損を起こしてしまった。 湿度管理に思いが及ぶことなんて、なかったんだ。 

それよりも、「ミスタッチしないで弾かなければ!」「もっとバラバラと速弾きできるようになりたい!」「左手がもっと動くようになりたい!」「脱力して弾けるようになりたい!」「響きの良い音で弾きたい!」「音色を上手にコントロールしたい!」「先生にダメ出しされないように、もっと上達したい!」.......。 ピアノを独学するようになっても、そんなことばかりが強迫観念のように頭の中に渦巻いていた。

その結果、どうなったか? 自分なりに安定した高速弾きができるようになり、左手がはるかに動くようになり、芯のある良い音が出るようになった、その一方で、「長年の友」と思ってきたピアノを、カピカピに干からびさせて、響板に何本も亀裂が入り、アクション交換したキーの音だけ違った響きになったガラクタにしてしまい、ポンコツを通り越してもはやクズのピアノを得意げに弾いていたのだ!

「ピアノが上手くなりたい!」という、強迫観念のような焦燥感にかられてハノンを狂ったようにやったりミスなく弾けるまで何度も何度も狂ったように練習した、その末路にあったのは、「最も愛情を注ぐべきピアノの健康をニグレクトし続けて、自らの手でツブした」という、最低最悪の所業だった。

「大人のピアノ」は、決してこうあってはならない! と、涙ながらに自戒の念を込めて、自らに言う。

「大人のピアノ」は、自分の人生に楽しみをもたらしてくれる、自分の音楽のいちばん身近にいる大切な友達である、物言わぬピアノの健康を第一に思いやって、いつも最適のコンディションにしてあげて、ピアノと一緒にピアノの演奏を楽しむことだ!

ということに、今さらながら気がついた。

 

「大人のピアノ」は、ほぼ例外なく、自腹を切ってピアノを買う。 自腹を切って、自分が働いて稼いで貯めたお金で買うからこそ、買ったピアノは大切にしたい。 そのためのノウハウは、ピアノレッスンでは教えてもらえないのが現実だ。 調律師や楽器店や、質問サイトでの大人のピアノ愛好家たちのやりとりや、ピアノの「入れ物」である部屋や家の空調に関するサイトから、情報を得るしかない。 ピアノのコンディションのために部屋の湿度を管理するための、これらの学びや、湿度計の購入や、湿度管理の試行錯誤のほうが、手の形や指使いやミスタッチなく暗譜して弾くことやハノンよりも、長期的にはるかに重要だ。 なんせ、自分がこだわって買って家に迎え入れた、愛着もひとしおのピアノが、自分によるニグレクトによってポンコツのクズ同然になって、お粗末な音しか出なくなったら、ピアノという楽器を演奏する楽しみの中核を成す楽器自体が崩壊するからだ。

大人のピアノには、まず第一にピアノのコンディションを気遣う視点がふさわしい。 ピアノ教師に言われるままに楽譜を弾いてマルをもらうだけの「お子様ピアノ」の世界から、大変遅まきながら私も少しずつ卒業しかかっている。 

 

tokyotoad

 

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このブログ「おんがくの彼岸(ひがん)」は、私 tokyotoad が、中学卒業時に家の経済的な事情で諦めた(←諦めて命拾いした!と、今しみじみ振り返って背筋がゾッとしている)、「自分の思いのままに自由自在に音楽を表現する」という夢の追求を、35年ぶりに再開して、独学で試行錯誤をつづけて、なんとかそのスタート地点に立つまでの過程で考えたことや感じたことを記録したものです。

「おんがくの彼岸(ひがん)」というタイトルは、「人間が叡智を結集して追求したその果てに有る、どのジャンルにも属さないと同時に、あらゆるジャンルでもある、最も進化した究極の音楽が鳴っている場所」、という意味でつけました。 そして、最も進化した究極の音楽が鳴っているその場所には、無音静寂の中に自然界の音(ホワイトノイズ)だけが鳴っているのではないか?と感じます(ジョン・ケイジはそれを表現しようとしたのではなかろうか?)。 西洋クラシック音楽を含めた民族音楽から20世紀の音楽やノイズなどの実験音楽まで、地上のあらゆるジャンルの音楽を一度にすべて鳴らしたら、すべての音の波長が互いにオフセットされるのではないか? 人間が鳴らした音がすべてキャンセルされて無音静寂になったところに、波の音や風の音や虫や鳥や動物の鳴き声が混ざり合いキャンセルされた、花鳥風月のホワイトノイズだけが響いている。 そのとき、前頭葉の理論や方法論で塗り固められた音楽から解き放たれた人間は、自分の身の中のひとつひとつの細胞の原子の振動が起こす生命の波長に、静かに耳を傾けて、自分の存在の原点であり、自分にとって最も大切な音楽である、命の響きを、全身全霊で感じる。 そして、その衝動を感じるままに声をあげ、手を叩き、地面を踏み鳴らし、全身を楽器にして踊る。 そばに落ちていた木の棒を拾い上げて傍らの岩を叩き、ここに、新たな音楽の彼岸(無音静寂)への人間の旅が始まる。

tokyotoadのtoadはガマガエル(ヒキガエル)のことです。昔から東京の都心や郊外に住んでいる、動作がのろくてぎこちない、不器用で地味な動物ですが、ひとたび大きく成長すると、冷やかしにかみついたネコが目を回すほどの、変な毒というかガマの油を皮膚に持っているみたいです。

 

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↑ 不本意にもこんな野暮なことを書かなければならないのは、過去にちまたのピアノの先生方に、この記事の内容をパクったブログ記事を挙げられたことが何度かあったからです。 トホホ...。ピアノの先生さんたちよ、ちったぁ「品格」ってぇもんをお持ちなさいよ...。