おんがくの彼岸(ひがん)

「出すぎた杭」の大人ピアノならではの自由と醍醐味(だいごみ)を楽しむtokyotoadのブログ

ピアノに関して「高温多湿の日本!」という表現のウソ

 

前回の記事:

ピアノと、エアコンの「湿度戻り」 - おんがくの彼岸(ひがん)

を書いてから、ピアノの湿度管理について、ネット上の英語の情報を見てみた。

そして、わかったことは、よく言われる、

「高温多湿の日本!」という表現がいかにウソ八百であるか! 

ということだ。

だいたい、日本の気候を「高温多湿!」と単純化すること自体がウソ八百だ!

冬のことが抜け落ちてるよ! 

たとえば、

「夏は高温多湿で冬はカラカラに乾燥しまくりの関東地方!」

っていうのは当たってるよ。

「夏は高温多湿で冬は豪雪で低温多湿の北陸~東北日本海側!」

っていうのも当たらずも遠からずだろう。

でもね、ピアノの維持管理に関して言えば、

これらの表現はウソになるよ。だって、

ピアノは室内に置くでしょ?

しかも、今は21世紀。

夏は屋外の最高気温が28度で、って38度じゃないよ、今の感覚だったらたった28度ぽっきりで「暑すぎる~っ!」と網戸にして扇風機を回していたバブル前の昭和の時代.....、じゃないんだ! 

21世紀の夏に窓を網戸にして涼がとれるか! 熱風が吹き込んでくるよ! 日本全国フェーン現象化してるじゃないか!

私が子どもの頃は、冷房なんてなくって扇風機しかなかったけど、今と比べて夏はとっても涼しくて、夕方になると、網戸を通して、蝉の鳴き声とともに涼しい風がそよそよ入ってきて心地よかった!

なのに、21世紀は、5月あたりから冷房つけはじめるじゃない? もうメチャクチャな暑さだよ!

だから、野外フェスのステージじゃない限り、

ピアノがある場所は、冷暖房完備の場所だ。

とくに、個人宅は、そうでしょ? 

エアコンの「湿度戻り」や熱中症対策やカビ雑菌やダニの繁殖のこともあって、

梅雨~夏~秋雨のころまでエアコン(冷房・除湿)をつけっぱなしの家が多いと思う。

だから、ピアノに関しては、

「通年、常温乾燥の日本!」が正しい。

いや、前回の記事の「エアコンの湿度戻り」があるから、

「春~秋は常温で乾燥⇔多湿の振れ幅が激しく、冬は常温乾燥の日本!」

だね。

でも、これって、日本だけが特殊じゃないんだ。

ニューヨークも、イギリスも、同じなんだ。 だって、

世界各地の一般住宅の多くは、夏の冷房と冬の暖房が完備されるようになったから。

イギリスの室内は、空調が無ければ夏の室内は湿度が80%、冬は20%台まで落ち込むそうだ。 イギリスの冬は日が短くて暗くて一日中雨模様でビショビショジメジメだから、冬の室内の湿度が20%台なのは完全に暖房によるものだ。 イギリスは夏の冷房がどれだけ普及したか知らないけど、水に囲まれた島国で、大西洋から偏西風に乗って湿った空気がどんどんやってきて、一年中曇りがちのサエない天気のイギリスが、カラっと乾燥しているはずがない(イギリスの写真や絵画や、イギリスの映画やドラマを見てごらん、空の色がさ、はっきりしない浮かない色してるでしょ)。

NYも同じく、夏と冬の湿度の振れ幅が巨大。 イーストリバーとハドソン川という水に挟まれた中洲のコンクリートジャングル島のマンハッタンの夏はメチャクチャ暑いから、室内ではエアコン冷房をガンガンつけまくりだし(冷房=除湿のこと。)、冬は札幌くらい寒いから室内では暖房たきまくり! なんせ、アメリカは産油国だからね、日本みたいに省エネしなくてもいいから。 調律師としても活躍しているアメリカ人ジャズピアニストさんの記事によると、ニューヨークの屋内の湿度は季節によって15%~85%も変動するんだって。 コンクリートジャングルのマンハッタン島を中心に広がるNY市は、さしずめ東京23区や大阪中心部のような都心の住宅地域だから、緑が少なくて夏の日照りは都心レベル。 NY市の住宅がイギリスの屋内と同様の振れ幅で年間湿度が変動する。 日本の屋内だって同じようなもんだ!

オーストラリアの北部は常夏の熱帯気候で、エアコンつけなければ高温多湿なんだって(21世紀のNYや東京の夏より涼しいかもしれないけどね...)。 常夏の地方の屋内でエアコンつけていればいつも常温乾燥状態! 冷房とは、除湿して空気を冷やすことだから。

アメリカでは、同じカリフォルニア州でも、サンフランシスコとロサンゼルス(LA)では気候が大違いのようで、LA地域の「ザ・ヴァリー(the Valley)」と呼ばれる地域から出る中古ピアノはガタガタになっているものが多いんだって。理由は、蒸し暑い夏にエアコンつけまくるから、過乾燥でピアノの痛みが激しいそうだ(と、ある動画主さんが話していた。「the Valley」はシリコンバレーじゃなくてLAにあるサン・フェルナンド・ヴァリーの通称のようだ←wiki

だいたいね、アメリカやオーストラリアみたいな国土が大きい国が、気候が一種類のわけないもん。 日本だって地方によって気候が様々なんだから。

ヨーロッパ大陸だって、この温暖化で夏の屋内は高温多湿!じゃないかな。日本の夏の室内のほうがよっぽど涼しくて乾燥しているよ(湿度戻りはあるけれど)。

だから、

「高温多湿の日本!」という表現は大ウソだ!

「ピアノのためには、湿度は40%~60%に」なんていうけれど、

夏場だってちょっと冷房つけると湿度は30%台に落ち込むことがあるから、あわてて加湿機をつけるよ。 そして、しばらくして、部屋が冷えて冷房がオフになると今度は湿度戻りであっという間に湿度が60%を超えていくから、除湿機を鬼のように稼働させる!

       ↑ 複数ある湿度計のどれかの数値がそうなるとね...。

     (そこがトリッキーなところよ...。 除湿器の湿度設定をしてもね、

      どの湿度計が正しい数値を表示しているのか、わかんないんだよね、

      表示湿度に10%以上も差があるとね...。

      市販の湿度計の間の表示湿度のバラツキは普通のことらしいよ。)

冬場の床暖房やエアコンの暖房で、ピアノは干からびるが、これも日本に限ったことじゃない。 床暖房や暖房でピアノが痛むことは世界各地で起きている。

 

もう「高温多湿の日本!」とか「日本は夏の多湿と冬の乾燥の差が激しい」なんていう表現は、やめにしたほうがいい。 

21世紀の日本の屋内は、そうじゃないんだから。 そして、

世界各地で、夏にエアコン冷房して冬は暖房入れてるんだから。

世界中どこでも、年間を通じて室内の湿度の乱高下が起きている。 日本に限ったことじゃないんだ! なのに、

日本人の「専門家」と呼ばれる人たちが、日本だけをことさらにネガティブに特別扱いして日本の一般ピープルを「啓蒙」しようとすることは、「情報のねじ曲がり」を生むことになり、結果的に日本の一般ピープルのためにならない。

「専門家」たちが「高温多湿の日本!」と自虐的に繰り返すことによって、私のような一般ピープルの愚かな頭の中には「乾燥は良いことだ!」というイメージが出来上がってしまい、その結果、夏の冷房や冬の暖房で起こる過乾燥を見過ごして、ピアノをはじめあらゆる木製・竹製・皮革製の楽器をミイラにし、自分までミイラ寸前のカピカピ状態にしてしまう。

 

湿度の乱高下は、世界各地のピアノ所有者が共通して抱える問題なのだ。

じゃなきゃ、どこかの国が「ダンプチェイサー」なんて作らないでしょ?

 

ダンプチェイサーは、アメリカで発明されたんじゃないかな、と想像する。 ネーミングがアメリカっぽいし、アメリカ特有の住宅事情があるのではないか? それは、マンハッタンなどの大都市部を除いて、アメリカの家が一般に大きいことではないのか。 日本と違って土地が安いアメリカの家は大きくなりがちで、各部屋も大きいだろう。 何十畳にもなるリビングルームの一角にピアノを置くこともあるだろう。 加えて、夏の冷房と、冬の暖房だ。 アメリカ人は、冬の屋内ではTシャツで過ごしているというイメージがあるけれど、それは、スコットランドなど北ヨーロッパの移民の子孫たちがもともと寒くても薄着で平気ということもあるかもしれないが、冬場にガンガン暖房を炊くこともあるのではなかろうか。 そんな室内環境で、加湿器1台回したって焼け石に水だろう。 ピアノがみるみる干からびるのが容易に想像できる。 「ピアノの内部から湿度を調節する」という考え方は、そんな住宅事情も背景にあるのかもしれない。 「ダンプチェイサー」について調律師さんたちの間で意見が分かれているのは、日本も海外も同じみたいだ。

 

20220719に追記:こんな記事があった。ヨーロッパのピアノ愛好者たちの家のピアノは大丈夫なのか?ヨーロッパのピアノメーカーの工場には冷房が完備されているのか?

news.goo.ne.jp

 

tokyotoad

 

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このブログ「おんがくの彼岸(ひがん)」は、私 tokyotoad が、中学卒業時に家の経済的な事情で諦めた(←諦めて命拾いした!と、今しみじみ振り返って背筋がゾッとしている)、「自分の思いのままに自由自在に音楽を表現する」という夢の追求を、35年ぶりに再開して、独学で試行錯誤をつづけて、なんとかそのスタート地点に立つまでの過程で考えたことや感じたことを記録したものです。

「おんがくの彼岸(ひがん)」というタイトルは、「人間が叡智を結集して追求したその果てに有る、どのジャンルにも属さないと同時に、あらゆるジャンルでもある、最も進化した究極の音楽が鳴っている場所」、という意味でつけました。 そして、最も進化した究極の音楽が鳴っているその場所には、無音静寂の中に自然界の音(ホワイトノイズ)だけが鳴っているのではないか?と感じます(ジョン・ケイジはそれを表現しようとしたのではなかろうか?)。 西洋クラシック音楽を含めた民族音楽から20世紀の音楽やノイズなどの実験音楽まで、地上のあらゆるジャンルの音楽を一度にすべて鳴らしたら、すべての音の波長が互いにオフセットされるのではないか? 人間が鳴らした音がすべてキャンセルされて無音静寂になったところに、波の音や風の音や虫や鳥や動物の鳴き声が混ざり合いキャンセルされた、花鳥風月のホワイトノイズだけが響いている。 そのとき、前頭葉の理論や方法論で塗り固められた音楽から解き放たれた人間は、自分の身の中のひとつひとつの細胞の原子の振動が起こす生命の波長に、静かに耳を傾けて、自分の存在の原点であり、自分にとって最も大切な音楽である、命の響きを、全身全霊で感じる。 そして、その衝動を感じるままに声をあげ、手を叩き、地面を踏み鳴らし、全身を楽器にして踊る。 そばに落ちていた木の棒を拾い上げて傍らの岩を叩き、ここに、新たな音楽の彼岸(無音静寂)への人間の旅が始まる。

tokyotoadのtoadはガマガエル(ヒキガエル)のことです。昔から東京の都心や郊外に住んでいる、動作がのろくてぎこちない、不器用で地味な動物ですが、ひとたび大きく成長すると、冷やかしにかみついたネコが目を回すほどの、変な毒というかガマの油を皮膚に持っているみたいです。

 

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↑ 不本意にもこんな野暮なことを書かなければならないのは、過去にちまたのピアノの先生方に、この記事の内容をパクったブログ記事を挙げられたことが何度かあったからです。 トホホ...。ピアノの先生さんたちよ、ちったぁ「品格」ってぇもんをお持ちなさいよ...。