noteに書いた記事のコピペです👇
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昨日書いた記事に関連する内容です👇
近年、
「中高年になったら絶対音感が半音~全音ズレた」という経験談が、ネットに増えてきましたね。
私が「絶対音感は50歳ぐらいからズレ始めて、60歳頃に完全に失われるという説がある」という話を聞いたのは、コロナ前の2010年代後半でした。
当時スタートして間もないRick Beato氏の音楽チャンネルの動画でした。
当時のネット上には「絶対音感ビジネス」を謳うピアノ教師や音楽レッスンサイトが鈴なりに有りました。
「絶対音感が無い者は、人にあらず」みたいな風潮が、あからさまに音楽教育業界にありました。
私は、
「もしBeato氏が紹介する説が本当なら、60歳以上のピアニストやピアノ教師は「人にあらず!」になってしまうなぁ。 それにしても、「絶対音感ビジネス」って一体何なんだろうなぁ?
と思って、私は、当時から書いていたはてなブログに、この説について書きました。
その後、「絶対音感ビジネス」は急速になりをひそめていきました。
ところで、
中高年のピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、どうですか?
40代以降のピアノの先生方、あなたの絶対音感、ズレはじめていませんか?
50代以降のピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、半音くらいズレてしまっていませんか?
そして、
60以降のピアノ教師のみなさん、あなたの絶対音感、完全に無くなってしまっていませんか?
そして、暗譜で弾こうとすると、鍵盤の音と脳内に記憶した音のつながりが全く無くなってしまっていて、鍵盤を見ても頭の中が真っ白になってしまって、どの鍵盤を叩けば正しい音が出るのかわからなくなって、弾くのが怖くなっていませんか?
仮にそうなら、
中高年の生徒さんに対して、
聴音の訓練をさせたり、
暗譜を奨励したりなんて、
絶対にできませんよね。
だって自分ができないんだもの!
ピアノ教師なのに!
もしそうなら、
自分がすでに出来ないことを、人さまからお金をもらって教えちゃいけませんよぉ。アコギな稼業ですよぉ。
それよりも、
もしそうなら、
絶対音感がズレたり完全に失われたご自分自身が
譜面を間違えずに完璧にピアノを弾くために、
ミスタッチなく完璧に暗譜で弾くために、
どのような日々の努力や工夫を積んでいるか?
を、お伝え差し上げるべきだと思います。
それこそが、
中高年の生徒さんに最も必要な内容ではありませんか?
根拠の無い精神論よりも、
中高年のピアノ愛好家たちの根幹に関わる内容を、
お伝え差し上げてはいかがでしょうか?
一方、
中高年でピアノを習っているピアノ愛好家さんたちは、
いくら聴音ドリルをやっても全然聞き取れない!
どんなに頑張って暗譜しても、ついちがう音を弾いてしまってミスタッチしまくる!
ソルフェージュをやっても、一向に音感がつかない!
のは、
貴方に音楽の才能が無いのではなくて、
単にあなたが齢をとったから!
かもしれません。
私が50代でピアノを再開したのは今から10年ほど前ですが、
その時に、私が小学校の頃に内心自慢していた絶対音感が、半音~全音ズレてしまっていることに気がつきました。
当初は、どこかの音大がアップしている「絶対音感ドリル」をやってみたりしましたが、もう笑っちゃうぐらい、できませんでした!
それから、パソコンに入れている自分の好きな曲を次から次へと、キーを当てる練習をしました。でも、一向に当たりませんでした。
私はとても絶望しました。
その頃に、Rick Beato氏の動画を視て、「絶対音感は50歳ぐらいからズレ始めて、60歳頃に完全に失われるという説がある」ということを知りました。
そして、
ストラヴィンスキーやコルトレーンは相対音感しか持っていなかったというBeato氏の動画を視て、どんなに心が救われたことか!
で、私はあっさり、絶対音感を捨てて、相対音感の世界を目指しました。
実は、
2010年代に参加していたピアノ会で、40代ぐらいの女性から、私と全く同じことを聞いていました。
彼女も、子どもの頃にあった絶対音感が、中年になってピアノを再開したら、半音ズレてしまっていたそうです。
松任谷正隆さんもインタビューでそのように話しています(ネット上にあります)。
これらを読んで、いかがですか?
「どうせ素人のピアノ愛好家の話でしょ? それに松任谷正隆はポップスの人。 我々クラシック音楽家は絶対音感がズレることなんて絶対に有りえない!」
とおっしゃいますか?
リヒテルって人、クラシックピアニストですか?
リヒテルが加齢によって絶対音感が半音ズレてしまって、実際に楽譜どおりにピアノを弾いても、自分の脳内では半音下のキーに聞こえてしまっていたことが、Beato氏の以下の動画で引用されています(英語の字幕有り)👇
リヒテルと同様に絶対音感がズレてしまったと語っているアメリカ人のピアニストはこの人でしょうね👇ウィキペディア
👆リヒテルって、二流のピアニストですか?
他にも、当時54歳のオスカーピーターソンが、「E♭」の音を聞いて「E」と答えてしまった後でお茶を濁すような仕草をしている場面もありましたね。
それから、
ジャズのビブラフォンの神ゲイリー・バートンが、病から回復した後のライブのリハーサルで、共演者のチック・コリアに「なんでD♭のキーで弾くんだ?」と何度も問いただした(チック・コリアは実際にはFのキーで弾いていた!)逸話も紹介されています。
ピーターソンもバートンも、ジャズの神様ですよ。
なのに、齢をとったら絶対音感がずれてしまっていた!
音楽の現人神たちが絶対音感がズレたのに、市井のピアノ教師がズレないことが、あるんでしょうか?
「絶対音感がズレる」とは、自分の頭の中で認識している音と、実際の鍵盤から鳴る音が、違ってしまうということです。
これが、頭を混乱させて、ミスタッチを量産する原因になる。
👆ということだと、私は単なる素人のピアノ好きですが、個人的にそう実感しています。
上記の動画の中で、Beato氏の個人的な経験も語られています。
「50歳を超えたら、あるときギターのチューニングをした後で音を確認したら完璧な「E♭」のチューニングになっていた」そうです。
ギターの弦は、最低音の「E」から基本的に完全4度でチューニングしますが「E A D G B E」(GB間だけメイジャーサード)、
自分が「E」にチューニングしたと思っていた最低音が、実際には「E♭」にチューンされていて、それをベースに高音の弦をチューニングしてしまったので、開放弦で鳴らしたら「bE bA bD bG bB bE」の音が出た!ということです。
中高年に「ピアノは脳トレになります!」と宣伝するピアノ教育界は、一体何の脳トレをさせてあげるんでしょう?
ピアノ初心者中高年に「ピアノは楽しいですよ!」って宣伝するけど、たぶん初心者だから絶対音感が無い、または、あったとしても既に狂ったり、完全に失ってしまっている可能性が非常に高い中高年のピアノ初心者にとって、ピアノは一体どう楽しめるんでしょうか?
そもそも、
大人の中高年向けにやたらとピアノを訴求するあなたがたは、いったい何歳ですか?
👇それから、この動画。
私は動画の最初で流れるベートーベンの第九のキーを反射的に手近のキーボードで押さえたら、見事にD♭でした!
そして、
この動画の最後にBeato氏が想像していることが、もし本当だとしたら、
すでに耳が聞こえなくなった上に50代だったベートーベンが脳内で奏でていた第九のキーと、私の脳内のキーは合っているということになりますね!👇
👇今から7年ぐらい前にBeato氏がアップした動画です。
Beato氏の「大人になってから絶対音感を獲得することは不可能だ」との説への反論と、それに対するBeato氏の再反論の動画です。
Beato氏本人は、もともと相対音感だけの人ですが、自分の子どもが赤ちゃんのころから音楽に触れさせることで、その子がどんな不協和音も瞬時に答えられる子に成長した、その動画が当時バズりました。👇
👆ネット上には、Beato氏の説に反論する人たちの動画も有ります。
私は、大人になってから訓練しても絶対音感を獲得できるかどうかは、よくわかりません。
「絶対音感を獲得した!」と思っていても、実際には自分の脳内に、自分にとっての音叉(おんさ)として使う「reference tone = 参照用の音」が出来て、音楽を聴いたら自分の脳内の「音叉(おんさ)」に照らし合わせて音を判断しているのかもしれません。
50代以降から私はそうです。
私が自分の経験から実感しているのは、
「ピアノ教育によって子どもの頃に絶対音感を獲得した人は、中高年になると、絶対音感がズレ始めて、還暦前後になると、ズレるどころではない!フリーダムになってしまって、まったく使い物にならなくなる!」
ということです。
その結果、脳内で認識している音と、実際にケンバンから鳴る音が違ってしまうために、思ってもいないようなミスタッチが増えはじめる、ということです。
つまり、中高年のピアノは、ミスタッチ在りき。ミスタッチがデフォルトなんだと、思います。
ミスタッチ無く弾くことは、たぶん、限りなく不可能か、あるいは、
本人にとって無駄なばかりか、人間の自然に抗(あらが)う不条理な負担を強いることになる、と思います。
だから、
中高年にとっての「完璧な演奏」とは、一曲の中で何度もミスタッチする演奏なんだと思います。
そういう加齢によるどうしようもないミスタッチは、
聴くほうが、それを聴かないようにすれば良いのだと思います。
中高年のミスタッチに、いちいち目くじらを立てない!
あなただって、中高年になったら、絶対音感がズレたらどんな恐しいことになるのか絶対に分かります。
中高年のピアノ愛好家にとって、いちばん参考になるのは、
絶対音感が使い物にならなくなった中高年のピアノ教師たちが実際に演奏する姿だと思います。
それが、中高年の私たちが、いろいろな意味で参考にするとよい内容だと思います。
絶対音感を失っていない若いピアニストや若いピアノ教師の実演は、
中高年にとってフラストレーションと絶望感を増すばかりだと思います。
年寄りは同年代の一流演奏家の演奏を参考にするのが、自然だと思います。
絶対音感がズレたり、もはや絶対音感失ってしまった人がピアノを弾く際に直面する大変さを実感できない、若い人たちが言うことや演奏は、まぁ、話半分で聞き流すぐらいでちょうどいいだろう、と思います。
~ピアノ方丈記~