ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ一人遊びの日々

「ピアノの死神」と指の健康寿命を取引しないために

 

ピアノの死神なんて書くとショッキングだが、ピアノを突き指弾きぶっ叩き弾きで連日のように長時間弾いていたらへバーデン結節になった時に、最初に浮かんだ思いが、

「私は、ピアノの悪魔と指の健康寿命を取引してしまったんだ...なんてバカだったんだ...orz...」

だった。

私はバカだった...」という思いは、数年前にピアノ会でご一緒したご婦人も漏らされていた言葉だ。 そのご婦人は、ショパンの大曲をバランバランと弾かれる方だったが、「一日8~9時間もピアノを連日弾いていたら、指が醜くなってしまって...」と、両手を広げて節くれだった手の指を見せてくれた。 パッと見たところ、その人は、両手の全部の指の全部の関節がゴツゴツと節くれだっていた。 

私の場合は、左手の小指だけだが、ピアノ以前に実生活でも微妙に支障が出てきているので、今はピアノを弾く時に左手の小指を使わない。 つまり、9本指でピアノを弾くようになったのだ。 

 

小指は、実は、とても重要な役目をしているそうだ。 以前読んだ身体操作の本かブログに、「道を極めた方々が罰として小指を詰めるのは、小指を失うと体に力が入りにくくなるからである」と書いてあった。 身体操作の本をいろいろ読んで試行錯誤するうちに、私もそう思うようになった。 小指の動きは体幹とつながっていると感じられるようになってきたからだ。 だから、左手の小指がへバーデン結節になって、骨の肥大によって物理的に曲がりにくくなったり、肥大化した骨が神経を圧迫して曲げると痛むようになると、小指に力を入れにくくなり、事実上小指を失ったのと同じになるかもしれない、と私は実感している。 これは、手の指の健康寿命にとって重大な損失だ。 実際、私の左手の小指は、右手の小指よりも曲がらなくなってしまっているし、ふだんの生活でふとした拍子に痛みが走る。

 

私は医者でも医療従事者でもないが、へバーデン結節になるメカニズムを直観した。 以前、「江戸時代の人骨から当時の人々を知る」みたいなテーマの特別展示を国立科学博物館見に行ったときに、心に残った展示があったのだ。 人骨を見るのは怖かったけど、「自分のご先祖様たちがどういう骨格をしていたのか知りたい」という気持ちのほうが強くて見に行ったのだ。 江戸時代は、土葬があったし、火葬しても今みたいな火力じゃないから、お骨が保存されがちだったのだろう。 以前、品川あたりの再開発工事現場で複数の人骨が見つかって、最初は「殺人事件か!?」だったが、そののちに、そのあたりが江戸時代に墓地で、発見というか発掘されたお骨は当時に埋葬された人々のものだったことがわかった、というニュースがあったと思う。 そのような昔の人々のお骨を、大学などで研究させてもらって、当時の人々はどのような姿かたちをしていたかを知るための貴重な手がかりとして使わせてもらっているのだろう。 

私が今でも覚えている展示は、「人間の骨は、長年の習慣や運動の連続によって、変形したり肥大化したりする」ということを、まざまざと見せてくれた。 ひとつは、当時の女性のお骨。帯をいつも締めていたため、肋骨が締め上げられて胸郭が細長くなってしまっていた。 ヨーロッパ女性の胴体を締め上げたコルセットや、中国女性のてん足と同じように、日本女性の骨格は、着物に帯という服飾習慣によって変形していたのだ。 現代もそうだ。 外反母趾スマホ首は、現代人特有の骨の変形だ。 我々の骨のレントゲンやMRI画像が、後世に研究されるかもしれない。

もうひとつの展示が、飛脚と思われる人の足の骨。かかとの骨が異常に肥大化していた。これは、飛脚が走るたびに、かかとが衝撃を受け続けた結果、脚を守るためにかかとの骨が肥大化したのだろう、との説明だった。 私のへバーデン結節の小指も同じではないか! 突き指弾きぶっ叩き弾きが常態化したことで、小指の関節の骨が、打鍵の衝撃から小指を守ろうと肥大化してくれたのだ! 私の骨!有難う!というか、ごめんなさい!あなたの主は大バカ者\(^o^)/です! ということを、私は痛感したのだ...。 

今回はここまで。  

 

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