ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ道楽の日々

ショパンの曲の耳コピというか「思い出しコピー」とリハモ (その③)

 

前回の続き。 よく聞くショパンのメジャーな曲の耳コピというか「思い出しコピー」してみようと思い立って、モトのキーからキーを半音下げて記憶からアウトプットしたコードがこれ(モトのキーってC#マイナーだった?よく覚えてないけどとりあえずその体(てい)で。モトのキー(ほんとにC#だったっけ?)にしたいときは、何にもついてない大半のコードに「♯」をつけて、♭の「b」を取っ払って、「♯」にはもう一個「♯」をつけて、全体を半音上げると、そうなるはず...):

キー:Cm⇔Cmaj(←もと曲から半音下げ、たぶん...)

【イントロ】 G の単音ユニゾンから  Cm 

【Aパート】 Cm    Cm     Dø    G7   

                        Cm    Aø/C(=Cm6)   Gm/D  D7    Gm

                         Abmaj7  Bb7  Ebmaj     Abmaj7  Bb7  Ebmaj

                         Abmaj7    Bb7  Ebmaj      Abmaj7   Dø/Ab(=Fm6)  Gsus  G7

                         Ab°     G7     Ab°     G7 

       Cm     Cm    Dø       G7   

                         Cm   Dø   Cm/Eb   Cmaj/E     Fm  Cmaj/E  Fm  F#°  

        とだんだん盛り上がっていって、

                        Cm/G   F#°   Cm/G  F#° Cm/G   F#°(A°かも?でも実質同じ。) 

       と最高潮に盛り上がってから、

                       Cm/G この曲のクライマックスのキメコード から、

         Cm/G   Fm6/Ab    F#°   Cm/G ... 

        みたいなかんじで徐々にクールダウンしていって、

      【 Aパート】の終盤になって、ようやっと  G(G7かな?)  にたどり着いてから、それからは以下のように進んでいく:

       1回目は G(G7かな?)⇒Cmajに一件落着してから【Bパート】に行く

       2回目は、G(G7かな?)⇒アウトロ(コーダ)に飛ぶ   

 

【Bパート】 G7(9)  Cmaj  Cmaj/E  G7  Cmaj/G  G7 Cmaj/G  G7

        Fmaj   A7(b9)  Dm  Cmaj/E(またはEm?)  Fmaj6  G7(13)

                        Cmaj  D7(9)  G7  ときてからの展開は以下:

                         ⇒ 1回目は Bパートのあたまに戻る

       ⇒2回目は ⇒ Cmajに一件落着してから  Gmaj   Cm6/G  Gmaj  Cm6  Gmaj/D  D7  Gmaj ⇒Bパートのあたまに戻る    

       ⇒3回目は【Aパート】に戻る             

 

【アウトロ】 あんまり覚えてないけどこんな感じだった?↓

       Cm  Dø/C を何度か繰り返して最後は Cm/G  Cm/Eb ⇒ Cm 。

 

今回の記事では、

上記の曲(モトのキー(たぶんC#m?)から半音下げ)で:

① この曲でショパンが狙ったインパクトはこれだよね!、 と、

② この曲が当時スゴイ!っと思われた理由はこれかな~?

みたいなことを書こうと思っていたので、今日はそれを書いていくよ。 といっても、上記のコード進行であってるかな? だいたい「思い出しコピー」だからね、しかも、これから書く内容には、メロディーラインやベースラインがからんでくるんだけど、ウロ覚えだからちがってるかもしれない。という箇所は、リハモ&アレンジしたよ!ってことで進めていくよっ!

 

① この曲でショパンが狙ったインパクトはこれだよね!

について。 私が思った、この曲でショパンが狙ったインパクトとは、ずばり、

「チラ見せと、ジラし」だ!

ショパンが狙った「チラ見せと、ジラし」が如実に表れている箇所は、

この曲のAパートの終盤に、ジリジリと盛り上がりを見せた後に、一気にキメコードを打ち放ってから、右手が高音域からバラバラバラバラと乱れ打ちで下がってくる、この曲を聞いた誰もがいっぺんに覚えてしまう、あのパートだ!

どうしてここが、「チラ見せと、ジラし」なのか?

ここのくだりのコード進行は、以下の通りだ(モト曲から半音下げたキー、のはず...): 

       Cm   Dø   Cm/Eb   Cmaj/E     Fm  Cmaj/E  Fm  F#°  

        とだんだん盛り上がっていって、

       Cm/G   F#°   Cm/G  F#° Cm/G   F#°(A°かも?でも実質同じ。)

       と最高潮に盛り上がってから、

         Cm/G この曲のクライマックスのキメコード で、

    右手が高音域でバラバラバラバラとアルペジオで下っていき、それから、

      Cm/G   Fm6/Ab    F#°   Cm/G ... 

    みたいなかんじで徐々にクールダウンしていって、

   【 Aパート】の終盤になって、ようやっと  G(G7かな?)  にたどり着いて、 

 

というくだり。 ここのくだりのベースラインに注目すると、

 Cm/C   Dø/D   Cm/Eb   Cmaj/E     Fm/F  Cmaj/E  Fm/F  F#°/F#  

 Cm/G   F#°/F#   Cm/G  F#°/F# Cm/G   F#°/F#(Aかも?でも実質同じ。) 

  Cm/G  Cm/G   Fm6/Ab    F#°/F#   Cm/G    G(G7かな?)/G

そして、 Cmajに解決して【Bパート】に入っていく。

ベース音だけ書きだすと:

/C   /D   /Eb  /E     /F  /E  /F  /F#  

 /G   /F#   /G  /F# /G   /F#(Aかも?でも実質同じ。) 

/G  /G   /Ab   /F#  /G  /G

と、みごとな半音スライド(最初だけ全音)のベースラインが、

ジリッジリッと上がっていき、クライマックスの/G

で盛り上がりの頂点になるようになっている。 しかも、

ジリッジリッと上がっていきながら、たまに:

/F  /E  /F  なんて、いったん下がってみたりして、聴く人の気持ちをジラすのだ。 そして最終段階は:

/G   /F#   /G  /F# /G   /F#(Aかも?でも実質同じ。)

と、半音上がったり下がったりで「もうどうするどうする!?」みたいにお客さんをジラし上げてからの、

Cm/Gキメコードが炸裂するのである。 このキメコードと右手アルペジオバランバランによって、お客さんはカタルシスの快感に酔いしれるわけだ。 ショパンうまいっ!  

また、「チラ見せ」と言ったのは、この盛り上がりにおいて、ショパンは、最後のカタルシスの快感を打ち出す「Cm/G」キメコードを、ジリッジリッの盛り上がりプロセスの中にあらかじめチラチラ見せているのだ: 

Cm/C   Dø/D   Cm/Eb   Cmaj/E     Fm/F  Cmaj/E  Fm/F  F#°/F#  

 Cm/G   F#°/F#   Cm/G  F#°/F# Cm/G   F#°/F#(Aかも?でも実質同じ。)

Cm/G!    

つまり、ショパンは、ジリジリ盛り上がっていくこのジラしプロセスの終着点である、「Cm/G」を、あたかもスカートの裾(すそ)をヒラヒラさせて中のパンツをチラチラ見せるかのごとく「チラ見せ」というか音楽だから「チラ聞かせ」させているのである。 ショパンずるいっ! 

このような「チラ見せ」テクは、他のジャンルのエンターテインメントも使われている。 典型的な例が、テレビ時代劇「遠山の金さん」の終盤シーンだ。 現在、東映時代劇チャンネルで週一で公開されている、杉良太郎さん主演の「遠山の金さん」を見れば明白だ。 ショパンのこの曲におけるキメコードの「Cm/G」は、「遠山の金さん」においては、金さんの「桜吹雪の彫り物」と同じ機能をしている。 「遠山の金さん」において、クラマックスのお白洲のシーンの直前に、金さんは、悪者たちに殺されそうな「いい者」を助け出すために、悪の巣窟に入っていき、そこであらかじめ彼らに「桜吹雪」を見せつける。 ね、「チラ見せ」でしょ? ここで、桜吹雪」を「チラ見せ」させられたテレビ視聴者たちは、結末のお白洲のシーンで金さんこと北町奉行遠山金四郎がかた肌脱いで悪者たちにそれを見せつける、クライマックスのカタルシスのシーンを無意識に予見するのだ。 ちなみにショパンは、この「チラ見せ」を、出しては引っ込め(Cm/G   F#°/F#)、出しては引っ込め(Cm/G   F#°/F#)、もいちど出しては引っ込めて(Cm/G   F#°/F#)、と、なんと3回も!繰り返している、という念の入れようだ。この部分だ:

Cm/G   F#°/F#   Cm/G  F#°/F# Cm/G   F#°/F#(←/Aかもしれないけど実質同じ) 

上記のこの「出しては引っ込め」x3 のくだりは、「遠山の金さん」では、お白洲のシーンで、悪もんたちが最後の悪あがきをするくだりに相当する:

悪もん: お奉行様、いったい全体、私どもが犯人であることを証明できる人がいるんですか?

いいもん(若い娘): ....、! そうだわ! お奉行様、「金さん」がいます! 私を助け出してくれた金さんが、この人たちの悪だくみの一部始終を聞いています! 

悪もん: 「金さん」だって?  お奉行様、かつてスリを働いていたこの娘の言うことを信じるのですか? それに、だいたい、その「金さん」とやらは、いったいどこにいるんですか? お奉行様、その「金さん」とやらを、ここに出してください。  

悪もんたち: そうだそうだ、その「金さん」とやらを出してもらおうじゃねぇか! そうだ!その金公を出せ! 出せよ、出してみなよ!(ワイワイガヤガヤ)

のくだり。 このシーンでチラ見せさせられている「Cm/G」は、「片肌脱いで桜吹雪の彫り物を見せつけながら悪の巣窟で悪もんたちをやっつける遊び人の金さん」だ。 このくだりを見ている視聴者の顔はどんなだろう? そう、結末を予感しているから、悪もんたちがこの後見事にギャフン!と言わされて打ちしおれる姿を期待してニヤニヤしながら見ているはずだ。 そして、北町奉行遠山左衛門尉景元(遠山の金さん)が「桜吹雪Cm/G!」を見せつけて悪者たちをギャフン!といわせた、そのあとに裁きを申し渡すシーンが、Cm/G!のコードで高音域から乱れ打ってくる、雷鳴のごとく鳴り響く右手アルペジオに相当する。 ほら、金さんの怒りのお裁きの声に聞こえてきたでしょ?:

町奉行遠山左衛門尉景元(遠山の金さん): 裁きを申し渡す! 越後屋某、浪人某、口入屋某、打ち首獄門! 余の者は終生遠島を申しつける。 また、今回の一件を陰で取り仕切った勘定奉行某においては、追って評定所より切腹の沙汰が有ろう。 一同の者を引っ立てい!

このように、ショパンのこの曲がピアノ好きに人気なのは、この曲が「遠山の金さん」に代表される「勧善懲悪の時代劇」と同じような、シンプルで解りやすいストーリー構成になっているのと、「チラ見せとジラし」からの「テッパンの結末」という、誰にでもわかりやすいエンタメ性を有しているからだろう。

この曲のわかりやすさは、ショパンが即興で弾いたとされる曲だからかもしれない。 頭の中であらかじめ曲のストーリーを組み立ててから弾き始めただろうが、即興演奏だから、そんなに込み入ったストーリー展開は目論(もくろ)まず、シンプルな構成の曲になったのかもしれない。 即興演奏だから、コード進行は分かりやすい展開にしておいて、その分、弾き始めにいきなり Vコードのトニック単音のユニゾンを大音量でかまして客をビックリさせ、「これから一体何が始まるんだ?」と客の興味をグッと引きつけてから、右手と左手をポリリズムアルペジオ演奏したり、上記の「チラ見せ&ジラしテク」からの派手でキャッチーなクライマックス部分を、曲の序盤終わりと最後にドカン!ドカン!と入れたりして、効果的に聴衆の心をつかめた結果、今もショパンの人気曲のひとつになっているのかもしれない。

ちなみに、聴衆は、クライマックスのキメコード「Cm/G!」が鳴り響いた後のストーリー展開を、本能的に予見できていた。 それは、西洋クラシック音楽では、「Cm/G」ときたら、その次に必ずくるのは「G7」で、そこから「C (mかmaj)」になって「これにて一件落着!」するからである。 このコード進行は、[カデンシャル64( I/V = Iコードの第2転回形) ⇒ V7]という実質的なV7コードから⇒ Iコードに解決する、西洋音楽で最もテッパンの一件落着パターン(ケイデンス)、つまり、西洋音楽において最もお決まりの、「時代劇の勧善懲悪エンディング」といえるケイデンスだ。  

 

【追記】:この、盛り上がるくだりの最後のコードのベース音が「/A」だったかもね、とあとで思ったよ。つまり、こうだったかも:

Cm/G   F#°/F#   Cm/G  F#°/F# Cm/G   F#°/F#じゃなくて/Aかも... 

つまり、最後のF#°は、だったかも。 でも、

ジャズ好きなら「たいして変わんないでしょ」って思うだろう。 F#°とA°は、コードを構成する音が同じ、コンディミだ。 そして、ぶっちゃけ、F#°とA°は両方とも、D7(b9)のルートレスの形ともいえる。 これらのコードは同じ機能を持っている。 だから、この盛り上がるくだりを一言で言えば:

  D7⇒[Cm/G⇒G7] ⇒Cmaj(アウトロ前はCm)

    II ⇒ [カデンシャル64⇒V7] ⇒ I 

という、ツーファイブの構成になっている。 ただのツーファイブですぐに持っていくんじゃ芸が無いから、ショパンは、ジラしテクやチラ見せテクや、IIと同じ働きをする異なるコードを使って、聴く人を飽きさせずにハラハラドキドキさせることをやっているんだね。 まるでジェットコースターに乗って、最初にゴトゴトと登っていった後に、高いところから一気に滑り降りる!みたいなスリリングでエキサイティングなストーリーを作っているんだね。

たしかに、この部分のコードをF#°じゃなくてにしたほうが、よりドラマチック感が出る。 だって、「二回下がった( Cm/G ⇒ F#°/F#)から三度目も下がるとおもったら、あれっ!? こんどは上に上がったよ(Cm/G ⇒ A°/A)!?てお客さんが思った瞬間に、キメコードのCm/Gが壮絶右手アルペジオで炸裂して、お客さんたちはウヒャーっ!」てなる。 ショパン考えてるね! うん、たぶんだったと思う。 そうであっても、そうじゃなくても、ショパンのモト曲と違っていた方が、私のリハモだよ!

 

【追記②】

ショパンは、この曲で、チラ見せテク、ジラしテクと同様に、「引っ張りテク」も使っている。

【Aパート】のジリッジリッと盛り上がって最高潮クライマックス!の下りのちょっと前に、こんなコード進行がある:           

       Abmaj7    Bb7  Ebmaj      Abmaj7    Bb7  Ebmaj   

       Abmaj7    Bb7  Ebmaj      Abmaj7   Dø/Ab(=Fm6)  Gsus  G7

                       Ab°           G7            Ab°            G7 

      Cm     Cm      Dø       G7 ....  

   の、   Ab°     G7     Ab°     G7  の部分だ。 この部分は、この曲のストーリーが

  G7   ⇒ Cm   

   V7  ⇒ I(この場合は i )

に一件落着するプロセス(ケイデンス)を、引きのばしている部分だ。 しかも、

      [ Ab°   G7 ] x 2  となっていて、ベースラインが /Ab ⇒ /G ⇒ /Ab ⇒ /G と半音上がったり下りたりする、ジラしテクを使っている。 そしてさ、この半音上がったり下がったりの「Ab°  G7   Ab°   G7」の部分って、その後に来る真打のクライマックス「遠山の金さん」シーンの「Cm/G   F#°/F#   Cm/G  F#°/F# Cm/G   F#°/F#」の半音上がったり下がったりジラしシーンの前哨戦というか前フリになってるんだよね! お客さんたちは、この前フリの半音上がったり下がったり「Ab°  G7   Ab°   G7」を聴いているから、真打の「遠山の金さん」シーンがすんなり入ってくるんだ。 ショパン仕込みがカンペキ! このような「ジラし&引っ張りテク」の箇所を全部、単なるツーファイブみたいに「骨だけの進行」に要約して弾いてみると、ショパンがこの曲の構成をどのように膨らませて、お客さんたちの期待をマネジメントして魅了しているのかが、よくわかる。 「ジラし&引っ張りテク」の箇所が無くても、この曲のコード進行は十分ドラマチックだけど、「ジラし&引っ張りテク」の演出によって、めちゃくちゃドラマチックなストーリーになったんだなぁ、と思う。

この一連のことから私が感じるのは、

ショパン、女性にモテただろうな~!

ってことだ。 ピアノの即興演奏でこの「チラ見せ、ジラし、引っ張りテク」だからね、人間関係でもさぞかしモテただろうね。 だいたい、何か一芸において「モテのテク」に秀でた人って、他の分野でもそれが発現するものだ。 同じ人がやることだからね。 ショパンの「モテのテク」は、彼の仕事に、社交に、恋愛に、ふだんの生活に、発揮されていたことだろう。 その証拠に、21世紀の今も、「ピアノを弾いています。ショパンが大好きなんです!ウフっ!」て小首をかしげながら夢見がちに言うピアノ好きがあまたいるもんね。 ショパンの「モテのテク」は時空を超えて今なお強力だ。 ぶっちゃけ、人間、世間様に気に入ってもらえてなんぼだからね。 私も見習おう。

 

② この曲が当時スゴイ!っと思われた理由はこれかな~?

については、追ってアップしたい。 

 

tokyotoad

 

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↑ 不本意にもこんな野暮なことを書かなければならないのは、過去にちまたのピアノの先生方に、この記事の内容をパクったブログ記事を挙げられたことが何度かあったからです。 トホホ...。ピアノの先生さんたちよ、ちったぁ「品格」ってぇもんをお持ちなさいよ...。

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このブログ「おんがくの彼岸(ひがん)」は、私 tokyotoad が、中学卒業時に家の経済的な事情で諦めた(←諦めて命拾いした!と、今しみじみ振り返って背筋がゾッとしている)、「自分の思いのままに自由自在に音楽を表現する」という夢の追求を、35年ぶりに再開して、独学で試行錯誤をつづけて、なんとかそのスタート地点に立つまでの過程で考えたことや感じたことを記録したものです。

「おんがくの彼岸(ひがん)」というタイトルは、「人間が叡智を結集して追求したその果てに有る、どのジャンルにも属さないと同時に、あらゆるジャンルでもある、最も進化した究極の音楽が鳴っている場所」、という意味でつけました。 そして、最も進化した究極の音楽が鳴っているその場所には、無音静寂の中に自然界の音(ホワイトノイズ)だけが鳴っているのではないか?と感じます(ジョン・ケイジはそれを表現しようとしたのではなかろうか?)。 西洋クラシック音楽を含めた民族音楽から20世紀の音楽やノイズなどの実験音楽まで、地上のあらゆるジャンルの音楽を一度にすべて鳴らしたら、すべての音の波長が互いにオフセットされるのではないか? 人間が鳴らした音がすべてキャンセルされて無音静寂になったところに、波の音や風の音や虫や鳥や動物の鳴き声が混ざり合いキャンセルされた、花鳥風月のホワイトノイズだけが響いている。 そのとき、前頭葉の理論や方法論で塗り固められた音楽から解き放たれた人間は、自分の身の中のひとつひとつの細胞の原子の振動が起こす生命の波長に、静かに耳を傾けて、自分の存在の原点であり、自分にとって最も大切な音楽である、命の響きを、全身全霊で感じる。 そして、その衝動を感じるままに声をあげ、手を叩き、地面を踏み鳴らし、全身を楽器にして踊る。 そばに落ちていた木の棒を拾い上げて傍らの岩を叩き、ここに、新たな音楽の彼岸(無音静寂)への人間の旅が始まる。

tokyotoadのtoadはガマガエル(ヒキガエル)のことです。昔から東京の都心や郊外に住んでいる、動作がのろくてぎこちない、不器用で地味な動物ですが、ひとたび大きく成長すると、冷やかしにかみついたネコが目を回すほどの、変な毒というかガマの油を皮膚に持っているみたいです。