音楽の彼岸のピアノ遊び

大人のピアノ道楽を満喫するピアノ一人遊びの日々

大人のピアノは調律師に注目する

 

最近は、動画の普及のおかげで、

今までピアノの世界において長らく脚光を浴びずに「ピアノの裏方」の地位に甘んじてきた

ピアノの調律師さんたちが、

大変ためになる有益な動画をどんどんアップしておられて、

とても有難いことだ。

 

個人的に、特にためになった種類の動画は、調律師さんによる:

① ピアノのメンテナンス方法(温度・湿度の管理)

② グランドピアノのフタじゃなくて屋根や鍵盤ブタ開閉時のコツや注意点

③ ピアノのペダルの構造と、ペダルの実際の使い方

 

などだ。

調律師じゃなければこんなに詳しく説明できないだろう!と、恐れ入ることしきりである。

 

① ピアノのメンテナンス方法(温度・湿度の管理)

私は、子どもの頃に10年以上ピアノを習っていたが、ピアノのための温度や湿度の管理についてピアノの先生から指導された記憶は一度も無い。 もっとも、私が子どもの頃にはエアコンなんて無かったし、昔の家は、冬場を除いて窓は網戸で梅雨時も外気が常に家の中に入ってくるし冬は隙間風が入ってくるような家の造りだったから、ピアノのための温度や湿度の管理なんていう概念そのものが無かったと思う、というか、管理することなんて不可能だったのだ。 

だが、今もどうだろうか? 今現在「ピアノの温度・湿度管理」で検索して出てくるピアノ教師のサイトの、いかに少ないことか!「梅雨ですね~、」という時候の書き出しばかりがヒットしてくることが、ピアノのコンディション管理に対する世の一般のピアノ教師の意識を端的に表しているのではなかろうか。 

大人が読むに足る温度・湿度管理情報がアップされているサイトは、例外なく、ピアノ販売店や調律師によるサイトだ。 だから、ピアノ調律師さんのコンテンツに注目する必要が有ると、私は確信したのだ。 また、

「大人ピアノ再開組」のほうが、大人からピアノを始める人よりも、ピアノの温度・湿度管理への意識が低いかもしれないから、要注意だ。 私のように、子ども時代に先生から言われた記憶がなく、また、自分の年齢によっては、家の中の湿度管理が不可能な時代だったかもしれないからだ。 親は親で、家計をやり繰りして子どもにピアノを買ってあげたら、忙しい家事や学校行事の合間に子どものピアノレッスンの付き添い・発表会・コンクールなど、ピアノの温度湿度なんて考える余裕もなかっただろう。 それから、

今までの人生でピアノしか楽器の経験が無い人も、温度・湿度が楽器に及ぼす影響についての意識が低いだろうから、要注意だ。 三味線やヴァイオリン、ギターといった、小型の楽器を弾く人のほうが、意識は高いだろう。 小さい物体ほど、大気の温度・湿度の影響を受けやすいのが、この世の物理だからだ。 雨の日の寄席(演芸場)で、俗曲の芸人さんが、「雨の日は、すぐにお三味線の調子が狂うんですよ、ごめんなさいね...」と言いながら、高座(実演)中に何度も、曲と曲との間に調弦(チューニング)するのを見て、三味線という楽器のデリケートさを目の当たりにしたことがある(そして、三味線奏者の絶対音感の鋭さも)。

市井(しせい)のピアノの先生たちの、ピアノの温度・湿度管理の意識が低い理由が、なんとなく想像できる。 彼女/彼らは、自腹を切ってピアノを買った経験がほとんど無いからではあるまいか? これに対して、大人のピアノ愛好家が新しくピアノを購入する際に、親に買ってもらうことは、まず無いだろう。 自腹を切って購入した、しかも高額の商品には、思い入れが強くなるものだ。 日々の生活にどんどんお金が出て行く中で、それよりも多くお金を稼いで、まとまった金額を貯めることは、容易なことではない。 人生の時間を切り売りして毎日フルタイムで働き、毎日の通勤や職場の人間関係などに苦労しながら働いて貯めたお金でようやく買えたピアノだからこそ、ピアノは自分の労働価値、つまり、自分の人生で費やした労働時間・価値の一部が形になったものだからこそ、大人のピアノ愛好者は、ピアノ維持管理に対する意識が高くなるのだろう。 管理を怠ってピアノが痛むと、自分の人生の時間を削った代わりに得たお金の価値を踏みつけることになる、という、自己否定を避けたい気持ちが働くからだ。 また、ピアノの先生たちは、ピアノの購入に関しての選択肢が無かったのではないか。 子どもの頃から通うピアノ教室が使う国産メーカーのピアノを買い替える人生であったはずだ。 国産ピアノを買い替えた末に、温度・湿度に気を遣う高級輸入ピアノを親の援助で手に入れて、晴れて「ピアノのお稽古すごろく」の「上がり」に到達できる人は、少ないのではないか。 ほとんどの先生は、輸入ピアノに比べて品質管理が楽な国産ピアノの、品質が安定した新品を買ってもらってきたことだろう。 これに対して、大人のピアノ愛好者たちは、最初から輸入ピアノを購入したり、特注ピアノや、あえて大手メーカーを避けて「こだわり国産ブランド」に興味を持ったり、輸入・国産問わず中古ピアノに興味を持ったりと、購入するピアノの個体も千差万別だろう。 いろいろなメーカーや新品/中古や各個体の音色を聴き比べた結果、こだわり抜いて選んで買った、自分のお気に入りの一台だからこそ、その維持管理に注意が向くのであろう。 ピアノの維持管理の情報のやりとりが、素人ピアノ愛好家の間で活発になされるのも、そういう背景があるのではなかろうか。 

 

② グランドピアノのフタじゃなくて屋根や鍵盤ブタ開閉時のコツや注意点

子どもの頃に習ったピアノの先生の家にはグランドピアノが2台あったが、フタじゃなくて屋根が開いた状態を一度も見たことがなかった。 レッスン室が広くないこともあったのだろうが、小柄な先生が一人でフタじゃなくて屋根を開閉することが難しかったこともあったのではないだろうか(とても小柄な先生だったので、一人ではちょっと無理っぽい...)。 それから、

「グランドピアノの蓋(ふた)」と連呼して書いている権威ありげなピアノ教師のサイトも見かけた(鍵盤蓋ではなく、明らかに屋根のことを意味している内容!)。 ピアノ教師にグランドピアノのフタじゃなくて屋根の開閉の仕方を教えてもらった覚えがある、グランドピアノを持っている生徒が果たして何人いるだろうか?

「グランドピアノを買った⇒音がモコモコ。音がこもって聞こえる」という悩みは、屋根を閉じたまま弾いているからではないのか? グランドピアノは、屋根を全開/半開やちょっと開け/屋根を閉じた、各状態で、出る音が大きく異なると、実感している。 そういえば、子どもの頃のピアノの先生の家のグランドピアノも音がモコモコしていたので、私はそのピアノメーカーのピアノに対する印象が良くない。 自分の家のアップライトピアノのクリアで伸びのある音の方が好きだったのは、ピアノメーカーの違いだけではなく、そういうことも関係していたのではないか?と、今思う。 

グランドピアノの場合は屋根を大きく開けた状態で弾くのが理想だろう。 ただし、大人のピアノ愛好者がグランドピアノを購入する場合は、屋根を自分ひとりで開閉できるかどうか?についても検討するとよいかもしれない。 グランドピアノのサイズが大きくなれば、屋根も当然重くなる。 お金があって買えて、理想的な「入れ物」の中に置けても、自分で使いこなせなければ、悲しい。 「50畳のリビングにフルコンを!」と思う前に、自分の体格や筋力や年齢を考えたほうが賢明な人もいるのではなかろうか。 

 

③ ピアノのペダルの構造と、ペダルの実際の使い方

ペダルの構造がわかると、がぜんペダリングが具体的に実感できる!と、下記の調律師さんの動画を視て実感した。 

下記の動画は、前半が調律師さんによるペダルの構造の説明、後半がピアニストさんによる実際のペダルの使い方の説明だが、前半部分をとばして後半部分しか見ない視聴者が多いようだ。 これは大変もったいないことだ。 ハーフペダルのメカニズムについて、前半部分の調律師さんの説明を視るのと視ないのとでは、雲泥の差になるだろう:

www.youtube.com

www.youtube.com

各種ペダルとペダリング方法について、上記の動画と、上記動画に登場するピアニストさんによる別の動画と、スタインウェイのロンドンショールームで撮影しているイギリス人ピアニストさんの動画(現地のピアノ雑誌との連動動画)を視たら、とてもよくわかってしまった。 あとは自分で試行錯誤して、自分のピアノに合った塩梅(あんばい)を探していけばよい。 

ソステヌートペダルについては、そのイギリス人ピアニストさんによる動画がとても面白かった。 一般に「ソステヌートペダル使用定番曲」といわれているクラシック曲について、ソステヌートペダルを使わずに、もっと曲の世界観や音の響き方にふさわしい表現を追求するぺダリング方法を紹介している。 ソステヌートペダルといえばスタインウェイなのに(笑)! スタインウェイのロンドン店、余裕だな~。

 ( ↑ 後記:スタインウェイの普及版ブランド「ボストン」や「エセックス」(だったかな?)のアップライトピアノにソステヌートペダルが付いていないんじゃないかな?などに配慮してなのかもしれない、と思った。)

 

tokyotoad

 

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このブログ「おんがくの彼岸(ひがん)」は、私 tokyotoad が、中学卒業時に家の経済的な事情で諦めた(←諦めて命拾いした!と、今じぶんの人生をしみじみ振り返って背筋がゾッとしている)「自分の思いのままに自由自在に音楽を表現する」という夢の追求を、35年ぶりに再開して、独学で試行錯誤をつづけて、なんとかそのスタート地点に立つまでの過程で考えたことや感じたことを記録したものです。

「おんがくの彼岸(ひがん)」というタイトルは、「人間が叡智を結集して追求したその果てに有る、どのジャンルにも属さないと同時に、あらゆるジャンルでもある、最も進化した究極の音楽が鳴っている場所」、という意味でつけました。 そして、最も進化した究極の音楽が鳴っているその場所には、無音静寂の中に自然界の音(ホワイトノイズ)だけが鳴っているのではないか?と感じます(ジョン・ケイジはそれを表現しようとしたのではなかろうか?)。 西洋クラシック音楽を含めた民族音楽から20世紀の音楽やノイズなどの実験音楽まで、地上のあらゆるジャンルの音楽を一度にすべて鳴らしたら、すべての音の波長が互いにオフセットされるのではないか? 人間が鳴らした音がすべてキャンセルされて無音静寂になったところに、波の音や風の音や虫や鳥や動物の鳴き声が混ざり合いキャンセルされた、花鳥風月のホワイトノイズだけが響いている。 そのとき、前頭葉の理論や方法論で塗り固められた音楽から解き放たれた人間は、自分の身の中のひとつひとつの細胞の原子の振動が起こす生命の波長に、静かに耳を傾けて、自分の存在の原点であり、自分にとって最も大切な音楽である、命の響きを、全身全霊で感じる。 そして、その衝動を感じるままに声をあげ、手を叩き、地面を踏み鳴らし、全身を楽器にして踊る。 そばに落ちていた木の棒を拾い上げて傍らの岩を叩き、ここに、新たな音楽の彼岸(無音静寂)への人間の旅が始まる。

tokyotoadのtoadはガマガエル(ヒキガエル)のことです。昔から東京の都心や郊外に住んでいる、動作がのろくてぎこちない、不器用で地味な動物ですが、ひとたび大きく成長すると、冷やかしにかみついたネコが目を回すほどの、変な毒というかガマの油を皮膚に持っているみたいです。

 

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↑ 不本意にもこんな野暮なことを書かなければならないのは、過去にちまたのピアノの先生方に、この記事の内容をパクったブログ記事を挙げられたことが何度かあったからです。 トホホ...。ピアノの先生さんたちよ、ちったぁ「品格」ってぇもんをお持ちなさいよ...。