ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ一人遊びの日々

ピアノを買う前に(私が個人的に)押さえておきたかったポイント(その③のオマケ:へバーデン結節について)

 

前回の記事:

ピアノを買う前に(私が個人的に)押さえておきたかったポイント(その③) - ピアノ方丈記

を書こうと思った理由は、

 

大人ピアノや、

シニアピアや、

中高年ピアノと呼ばれる

'ピアノ教育'ビジネスが狙う新たなターゲット層において、

へバーデン結節がまだ十分に認知されていないために、今後、

真面目で練習熱心な中高年ピアノ愛好家の間で

へバーデン結節が爆発的に増加するのではないか、

という黙示的ヴィジョンが見えたからだ。

 

数年前(コロナ以前)、まだピアノ会に参加していた時に、ある還暦前後のご婦人と何度か一緒になった。 その人はショパンの左手アルペジオがデフォルトの大曲をバランバランと弾く人だったが、ピアノ会の後の雑談で、「子育てが終わってまたピアノを弾くようになって、一時期一日8時間も9時間も練習していたら、指がとても醜くなってしまった。[私は]バカだった...」と話されて、指を見せてくれた。 可憐な手のひらの、か細い指のすべての関節が、ゴツゴツ節くれだって、失礼だが「たしかに見た目が悪い指だなぁ、魔女の手みたいだなぁ」と私は内心思ったのだ。 あの人の、あのゴツゴツと節くれだった指は、へバーデン結節だったのだろうか?と、今になって思う。 難曲の大作をバランバランと弾く彼女の演奏の音がモコモコと冴えなかったのは、彼女が身長160cmもなくてすでに還暦前後で筋力や体力が無かっただけだろうか? へバーデン結節になってしまって、弾きたくても指が痛くて思うように弾けずに「守りに徹した演奏」だったのではあるまいか? 

ところが私は、彼女の言葉の「1日8時間も9時間も」のところを都合よく解釈して、「自分は1日に多くても4時間も弾くことなんてないから、大丈夫だろう」とタカをくくってしまっていたのだ! そして、左手の小指がへバーデン結節になってしまった。 私もバカですというか大バカ者です\(^o^)/。 

 

思い当たることは、まだある。 50代になってからピアノを再開して、子供の頃に習っていたピアノの先生にまた習いに行っていた時のことだ。 シニア向けピアノコンクールの話になって、「コンクールの常連のシニアの男性がいる。もともと上手な人だが、小指[の音]が弱い」と、コンクールの審査員も務めるその先生が批判的にもらした一言を、私は聞き逃さなかった。 「そうか、中高年のお遊びコンクールでさえも、小指が弱くて音が出ないと、審査員の耳にとまって、おそらく減点対象になるんだな」と私は判断した。 だから、「自分はコンクールに出るつもりなんてないけど、小指が弾く音はしっかりと弾かなければいけないんだ!」と、自分を教条的に追い込んでいったともいえる。 ところが、今になって思えば、その「小指の音が弱い」シニアの男性は、どうして小指の音が弱かったのだろうか? もしかすると、すでに小指がへバーデン結節になっていて、小指の音を強く弾きたくても痛くて弾くことができなかった可能性も有る。 そんな事情があったとしても、コンクールでは考慮されない。 どんな事情であれ、小指の音が弱ければ、審査員に「小指[の音]が弱い」とネガティブに評価される。 これに対して、自分の指の健康寿命ピアノの悪魔と取引して無理して小指の音を強く弾く参加者は、高い評価を受ける。 コンクールの一寸先は地獄の一丁目かもしれないなんて、コンクール主催者も審査員も知ったこっちゃないんだ! 

 

まだある。 海外で活躍しておそらくその国に骨を埋めるであろう、高齢の超大御所の女性ジャズピアニストのソロピアノ即興演奏を、何年か前にテレビで視たことがあるが、往年の力強い演奏の面影は無く、ケンバンの上を年老いた両手がアワアワオロオロとさまよいながらの即興演奏だった。 はっきりいって、演奏のひどさが際立ってしまっただけの放送だったが、彼女のアワアワオロオロな手の動きは、彼女の【脳⇔指】の神経連携の老化だけが原因だろうか? 高齢の彼女がもしへバーデン結節を患っていて、指をかばいながら弾くから、アドリブでひらめいたコードを叩くことにためらいが生じて、アワアワオロオロな演奏になってしまったとも考えられまいか。 比較するのもおこがましくて失礼だが、こんなドシロートの私でも、左手の小指がへバーデン結節になってから、アドリブで「あのケンバンを弾きたい!」と思った瞬間に「あのケンバンはちょっと離れているから、あそこまで跳ぶと指に無理がかかるから、よしておこうかな」と瞬時にとまどって、手が空中で迷ってアワアワオロオロしてしまうのだ。 

長くなりそうだから今日はここまで。続くかな?続くだろうね...。

と書いた直後に今後書くだろう内容を一言で言い切ると:

年寄りの冷や水(笑)で桶屋が儲かる です。 つまり、

「人生ホッと一息できる年齢になってから、今までの怒涛の労働でチマチマ貯金したおカネで夢に見ることすらできなかった憧れのピアノを買い、「ピアニストのようにショパンやリストを弾いてみたい」と夢見る中高年のピアノ愛好家さんたちが、ピアノのレッスンや発表会やコンクールに向けて、年齢甲斐(としがい)も無く(笑)必死に猛練習した結果、次々とへバーデン結節になりますと、

最初に ①ピアノメーカーが儲かり、

次に ②ピアノ教育・コンクール商法が儲かり、

最後に ③整形外科や接骨院が儲かるという、

すばらしい経済効果が生まれますねっ 」と、

年齢甲斐(としがい)も無く(笑)調子こいてピアノをガンガン弾きまくって左手の小指がへバーデン結節になっちまった、

こんな大バカ者\(^o^)/の私でも、見通せました。 

ちなみに、

ショパンは、38歳でピアニストとして陰りが出始め、その1年後の39歳でこの世を去りました(←日本語ウィキ)。 また、

片手で12度に届いたリストは、ピアニストとして全盛期だった35歳で早くも現役ピアニストを引退しました(←英語ウィキ)。 

え~っと、

わたし今何歳だっけ\(^o^)/?(←大バカ者)

へバーデン結節、真面目な練習熱心さんの'名誉の負傷'でも何でもなくて

単な身の程知らずのバカ\(^o^)/が年寄りの冷や水(笑)して自ら招いたバカ\(^o^)/の証明に他ならない。

そして、この記事を書いている時点で、「大人ピアノ」「シニアピアノ」「中高年ピアノ」を売り込むピアノ教育ビジネスは、そのターゲット層の「大人」「シニア」「中高年」に対して、ピアノの練習によるへバーデン結節発症のリスクについての注意喚起をちゃんと行っているだろうか? いないでしょう? これは危ない! 私のような「大人」や「中高年」や「シニア」は気を付けなければ!と私は思ったのだよ。 「ピアノは中高年の脳トレになりますよ」なんて言って私たちの財布を狙う側は、私たちの指の健康寿命のことなんて、これっぽっちも考えていないのだ! 自分の指の健康寿命は自分で守るしかないのが、「大人ピアノ」「中高年ピアノ」「シニアピアノ」ブームの、お粗末すぎる現実だ


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