ピアノ方丈記

音楽の彼岸にて【指の健康寿命を気遣いながら!】シニアのピアノ一人遊びの日々

夏バテの耳にやさしい、なごめる 日本のおんがく

 

8月にはいって、暑さからの脱水症状からなのか、ずっと不調。 が、そんなときに、食べて救われたのが、ふっくらあったかいご飯と、お味噌汁。 胃壁にスーッと、しみ入っていきました。

 

それらで救われていくうちに、耳も癒されたい! と、作り始めた、コゥズィ~でカムフィ~(comfy(←comfortable))な日本のおんがくの再生リストが、どんどん膨れ上がって、もう数時間の長さに。 

 

「クラシックピアノのメタル弾き」にエクスポーズされすぎて、耳がバテ気味の人もホッとすること請け合いの、耳にやさしい、極私的な癒し&なごみミュージシャンのリストです:

 

① 松任谷由実: 押しも押されもせぬ、日本のおんがくの絶対的代表であり、今のミレニアム中に、必ず日本の伝統文化の歴史上の主要人物に名を連ねることが確実な、松任谷由実(由実さん作詞作曲歌唱&正隆さん編曲プロデュースの夫婦ユニット)。 無数の大ヒット曲がまぶしすぎて、「なごめるのか?」と思う向きもあるかもしれないが、すべてのアルバム一枚一枚に、かならず、至高のなごみチューンが含まれている! 正隆さんの、がっつかない、でも、すべてがそろっている、育ちの良さを感じさせるアレンジが、癒し感に貢献している。 アルバム単位でなごみ感を感じられるのは:MISSLIM、14番目の月、 OLIVE、悲しいほどお天気、 昨晩お会いしましょう、VOYAGERなど。 アナログ録音の時代の音源は、アーバンなサウンドも、ほっこり暖かくて耳にやさしい。 

 

② 大貫妙子: J-popの「なごみの女王」といえば、この人! オツなコード進行&やさしく穏やかな歌声で、1970年代以来、ずっと日本を癒し続けている。 さすが第一人者、編曲やプロデュース、サポートミュージシャンに、歴代の日本のおんがくを代表する人たちが名を連ねていて、圧倒的な安心感。 大船(おおぶね)に乗った気分で聴ける。 アルバム:GreySkies、クリシェアヴァンチュール、プリッシマ、Pure Acoustic 2018 など多数。

 

③ 矢野顕子: ブッとび感&YMO時代の教授プロデュースのイメージがあるが、ピアノ弾き語りのアルバムや、YMOメンバーはじめ現在の大御所たちがバックアップする1970年代のアルバムに、アナログ的なごみ感がある。 数々の名曲のアッコちゃん流アレンジも秀逸! アルバム:ト・キ・メ・キ、SUPER FOLK SONG など。 

 

④ さだまさし:  オフコース(⑤)とともに、ギラギライケイケのバブル時代に世間から「暗い」と迫害を受けたアーティストといえば、さだまさしだ。 しかし、歌詞の高い叙情性と、優しく美しい音楽は、ユーミン(①)とともに、未来の日本の伝統文化に名を刻まれるに違いない。 タモリ倶楽部で、「江東区から頼まれてもいないのに勝手に江東区の区歌を作ってしまう企画」のときに、あの音楽巧者のレキシ氏が大絶賛したのが、さださんが作曲した豊島区の区歌だ。 区歌をいちばん頻繁に歌うのは誰か?といった、お客さん目線に立った曲作りは、さすがプロ! 従来の区歌特有の古臭さにキッチリ別れを告げて、80年代フォーク&ニューミュージック風に進化させていて、しかも健全で美しく誰でも歌いやすいメロディー、その上に「さだまさし」感もちゃんと出ている、完璧な作り! 私が自治体の担当者だったら、ぜったいに、さださんと仕事をする!  話は大きくそれたが、21世紀の今だからこそ、よりいっそう、心に染み入ってくるのが、さださんのサウンドだ。  アルバム: 風見鶏、私花集、夢供養 など。

  

⑤ オフコース: バブル時代、隠れキリシタンのような生き方を余儀なくされたのが、さだまさしファンとオフコースファンだった。 だが、21世紀の「枯れた日本」に、オフコースサウンドは、慈雨のように染み入ってゆく。 とりわけ、「さよなら」で全国区になる前のアルバムは、素朴で、癒し感が強い。 小田さんのメロディーと歌声がとかくフィーチャーされるが、鈴木さんのジャズ文法によるアレンジ&コーラスが、じつはとても効いているので、21世紀になって聞いても、洗練されたサウンドとして聴けるんだと思う。 横浜(東京湾沿いの地域)の持つハイカラな港町感と、神奈川県っぽい、のんびり感が漂う「潮の香り」に、癒される。  アルバム:ワインの匂い、SONG IS LOVE、COLLECTION、JUNKTIONなど。

(余談: 神奈川出身のミュージシャン(オフコースサザンオールスターズ、杏里、TUBE、ゆず、いきものがかり、など)と、千葉出身のミュージシャン(X-JAPAN氣志團ジャガーさん、など)を比べると、各県の特徴があって興味深い。 江戸の下町エリアとの距離的な近さからか、田舎もんが背伸びしてセレブって「スカしている」ことを「野暮」と切って捨てる、歌舞(かぶ)いたケレン味と、日本有数の暴れ川「坂東太郎(利根川)」がもたらす豊かで広大な大地と海によって、江戸の台所として巨大な富を蓄えた農業/漁業コミュニティをゆりかごに生み出される、地力(じりき)があるのに、それをひけらかすことを粋(いき)とせず、逆に「キワモノ」のオブラートで包みこむ、真の意味での洗練性がある、実(じつ)のある文化が千葉、という気がする。 対して、文明開化ミナト横浜を有し、はるか古代から東西日本を結ぶ大動脈東海道と、江戸時代の「巡礼」という名の庶民のレジャーバケイションのメジャーなデスティネーション(大山、江の島、鎌倉、金沢八景、箱根、そして富士山へのルートの大半)が多い「武蔵国の南端&相模国」の、お日様と太平洋(相模湾)をいつも南に見て生きる、朗(ほが)らかな開放感と、潮風に抱かれたのんびり感が、神奈川の文化といった感じがある。)

 

 ⑥ 杏里: ギラギライケイケだったバブル時代に、一服の清涼感をもたらしてくれたアルバムといえばこれだ! 時代が感じられる豪華絢爛な編曲の上に、杏里の素直で伸びやかな歌声が爽やかな、宝石箱のようなバラード名曲アルバムが、MEDITATIONだ。

 

⑦ 大江千里: NYで活動する「全盛期のJ-popと、ジャズとの融合」の象徴。 本場の人たちでは決してこうはいかない、なごみ感あふれる、癒される、これこそ日本のおんがく! それを、ジャズの本場で堂々と発信し続けている。 自身の大ヒット曲をアレンジしたピアノソロアルバムは、J-popのスタンダードナンバーが、いかにジャズと親和性が高いかの、雄弁な証明だ。   アルバム:Boys and Girls、COLLECTIVE SCRIBBLE

 

 ⑧ ゴンチチ: 茶目っ気に加えて、和事(わごと)や人形浄瑠璃に通じる、繊細で柔らかな上方文化の余裕が、ラテンギターを媒体にアウトプットされると、こうなるのか。 軽やかな日本のなごみサウンドを生み出し続けるゴンチチは、アコギ愛好家はもちろん、おんがく好きの南十字星だ。

 

⑨ フェビアン・レザ・パネ: 大貫妙子女史(②)のライブ盤を聞いていたら、「ピアノがメチャクチャいい~!んだけど、誰だろう?」と思ったら、この人が弾いていた! 細密精緻でありながら、やさしく、あたたかく、海洋民族の日本人のDNAに静かに共鳴する、「海上の道」の体現者だ。 「クラシックピアノのメタル弾き」で耳にタコができたら、フェビアンさんのピアノを聴いて、さらさらと洗い流そう。 それに、「この、なごみ感、誰かと似ているな~」と思っていたら、NHKテレビ体操でコアな信奉者を集めていた名川太郎さんに、どことなく通じる気がする(つまり、能ある鷹ならではの、優しい音)。 また、曲の構築性の土台が、ふと教授を思い起させる時もあって、気がついたら三人とも同じ大学の同じ学科出身だった。   

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⑩ 栗コーダーカルテッド: 小学校の音楽の授業の縦笛ピーピー練習によって、大きなトラウマを負ってしまっている、戦後の日本の耳に、ほんとうのウッドウィンドの音色を聞かせてくれて、深い傷を癒してくれた。 バロック以前の西洋音楽が日本というフィルターを通して現代によみがえったらこうなりました、という感慨。 子供向け教育番組や各種CMを通して、日本の音楽文化の穏やかでやさしい中心を作り続けている。 楽しく懐かしく美しいオリジナル曲のほかに、アレンジ愛好家にとっては目からウロコのカバー曲の数々に、新鮮な驚き&愉悦と、メンバーのみなさんの水も漏らさぬ高度な音楽性への敬意がこみ上げてくる(とくに、テクノポリス(by YMO)、スリラー(byマイケル・ジャクソン)、犬姫(by渋さ知らズ)のカバーなど。そして「陽気なブースカ(by高梨純)」のカバーはモノスゴイ!)。

 

⑪ 図書館: J-popのひとつの完成を象徴するようなバンド。 リキみがこれっぽっちもなくて、てんこ盛り感もぜんぜんなくて、オラオラ感もマウンティング感もまったく無い、どこまでも自然体で、懐かしい音楽。 オッドミーターづかいに、民謡や盆踊りの源流を感じて、日本の伝統音楽を代々継承してきた人たちたちへの畏敬と感謝の念をも沸いてくる「図書礼賛」や、J-popの歴史が凝縮されたような「最終電車」が極めて秀逸だが、1stアルバムと2ndアルバム、全ての曲がすばらしい。 日本はついに、独自の伝統音楽のベースに、西洋音楽を自家薬籠中の物(じかやくろうちゅうのもの)にして、日本独自の癒し系ポップスを完成させた!  

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ほかにも個別の曲ベースでたくさんありますが、アルバム単位のものだと、今のところこんな感じです。 誰もが、自分の好みに合った、なごめる音楽のリストを心に持っているもの。 自分だけの癒し系日本のおんがくの再生リストを作って、夏バテしたりヘコんだ時に聞くと、心にじんわり栄養がしみてきます。

 

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